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 5月20〜22日、FIA-F2第4ラウンドがスペインのバルセロナで開催された。佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)はフリー走行では速さをみせるも、予選での四輪脱輪によるベストタイム抹消が響き、予想以上に苦しい週末となってしまった。

 前戦はあと一歩のところでFCYとセーフティカーのタイミングによって表彰台を逃した万璃音。しかしマシンバランスやチームの雰囲気は上昇気流に乗っており、自信をもってスペイン大会を迎えた。その勢いもあり、金曜フリー走行は13周を走って12番手タイムをマーク。セットアップのフィーリングも悪くなく、チームメイトとの差も僅差。チームメイトよりも速いコーナーもいくつかあり、予選への期待も高まった。

 しかし、予選ではチームメイトがポールポジションを獲得するなか、万璃音は四輪脱輪のペナルティでベストタイム抹消となってしまい、19番手。他者のペナルティもあったが、決勝レース1は18番手グリッドからのスタートを強いられることになった。

 26周のレース1では、予選の上位10台がリバースグリッド。タイヤ交換の義務はない。タイヤマネージメントに自信がある万璃音だったが、今回はスタートがいまひとつでポジションアップが叶わず。均衡した戦いのまま17位でチェッカーを受けた。レース後、エンジニアとデータを検証しながら、日曜日のレース2に向けて遅くまでミーティングが続けられた。

 37周のレース2のタイヤはプライムとオプションが選択できるが、万璃音はテスト時からタイヤマネージメントに優れておりプライムでのスタートを希望したものの、チーム側の戦略に従い、オプションでスタートして早めにタイヤ交換を済ませ、プライムで引っ張ることになった。

FIA-F2バルセロナ 佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)
FIA-F2バルセロナ 佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)

 スタートは前日の問題が解決していたが、加速に鋭さがみえず、またしてもポジションアップできないまま19番手で1コーナーをクリア。シケイン手前での接触を避け、1周目から厳しい戦いとなった。しかしオプションを選択していたため、周囲の混乱が落ち着くとすぐに自分のペースを取り戻し、積極果敢に攻めていく。

 タイヤをセーブしつつペースを上げた万璃音だったが、8周目でピットイン。予想以上に早めのタイヤ交換だったため、レース中盤から終盤にかけて慎重にタイヤマネージメントをしながらチェッカーを目指した。結果は19位。バルセロナは期待が大きかっただけに、予想以上に悔しい週末となってしまった。

「予選の結果がすべてに悪影響をもたらしましたね。いろいろな意味で、自分に勢いはあったと思います。チームメイトとデータを比較しても、全体的に大きく差をつけられているコーナーはなくて、差をつけられているコーナーでも0秒1から0秒05の差。予選で自分がベストラップをマークした周ではターン9で飛び出してしまった時に0秒04の差がついてしまいました。縁石の一番高いところに乗って撥ねてしまい、それで脱輪をとられてタイム抹消。そのタイムが有効だったら予選はミスがあったにせよ7番手か8番手はいけたと思います」と万璃音は振り返った。

「決勝レース1はスタートで違和感を感じたので、あとでデータをチェックしたら、データエンジニアのマッピングがずれていて、マシンが前に進まない状況になっていました。1周まわって、1コーナー、2コーナーは大丈夫だったのですが、シケインの立ち上がりでトラクションが感じられず、厳しい戦いを強いられました」

「レース2もスタートが良くなかったです。マッピングは悪くなかったと思いますが、加速しづらい状況で、ハードタイヤを履いたマシンに前に出られてしまい、シケインでも接触を避けるために引いたせいで、遅いマシンを抜き返すのになかなか手こずってしまい、本来の自分のペースを取り戻すのにロスしてしまいました」

「自分はプライムでスタートしたかったのですが、オプションでスタートするというチームの戦略に従いました。レース中盤はタイヤをセーブしつつ最後まで良いペースで走り切ることに集中していましたが、前のマシンのペースが悪く、それを抜くためにプッシュしたらタイヤがダメになるし、タイヤをセーブしつつオーバーテイクするにはタイム的には限界で、最後の10周はラバーが無くて辛かったです」

 万璃音は「結論から言えば、予選のタイム抹消と、今日の戦略ミスがすべて。プライムでスタートしておけば違った結果になっていたと思います」としつつも、「次はモナコ。予選がすべてのサーキットだけに、ポールポジションを狙うしかないと思っています」と次戦に向けて意気込んだ。

FIA-F2バルセロナ 佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)
FIA-F2バルセロナ 佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)