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 第106回インディアナポリス500マイルのプラクティスが5月17日からスタート。デイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシングの佐藤琢磨は、トップタイムで初日を終えていた。

 18日のプラクティス2日目は、昼頃から降り始めた雨が止まず、15時過ぎにキャンセルがアナウンスされた。

 琢磨は「初日はトラブルがあって走り始めが遅くなってしまったけど、なんとか最後にトゥを使ってタイムを出しました。でも仕上がりはまだまだ。今日やりたい事もあったので、走れないのは残念ですが仕方ないですね」と恨めしそうに空を見つめていた。

ファンにサインを行う佐藤琢磨
ファンにサインを行う佐藤琢磨

 19日のプラクティス3日目は、朝からインディアナポリス・モータースピードウェイを霧が覆ったが、12時のプラクティス開始時には晴天となった。昨日走れなかったこともあり、ほぼ全車が開始からすぐにコースに出て行った。

 初日トップタイムだっただけに、周囲に報道陣も多かったが、琢磨はいつものようにマシンに乗り込みコースインしていった。始めのうちは周回を多くこなすというより、単独で走ってはピットインを繰り返しデータの収集に勤めていた。

走行を重ねセッティングを煮詰める佐藤琢磨
走行を重ねセッティングを煮詰める佐藤琢磨

 一度ガレージに戻りマシンの使用を変更して来ると、今度はコース上のマシンを積極的に探すような格好で、グループランに終始した。他のマシンの前後で走ることによって、そのパック(集団)の中でのハンドリングやマシンの動き方を確認している。

 琢磨は前にマシンのいないノートゥの状態では目立ったタイムではないものの、グループランの中ではスピードが上がり、225mph台をマーク。一時7番手のタイムまで上げて来た。

 トップは初日同様にチップ・ガナッシのスコット・ディクソンで、ガナッシ勢は3台から5台のグループランを頻繁に実施し、チーム全体のスピードアップとハンドリングの確認を行っていた。その中でもディクソンは比較的早くタイムを出して来ており、ホンダ勢の中ではガナッシの仕上がりの良さが目立っていた。

 また琢磨もデイル・コイン・レーシングのチームメイト、ルーキーのデイビット・マルーカスと前後しながら走り、レースを想定したシミュレーションをしていた。琢磨の後を追うように走っていたマルーカスもペースが上がり始め、トップ10内のタイムを出した。初めてインディ500を走るルーキーとしては上出来の走りだった。

 プラクティスも残り30分となる頃に、琢磨はこの日最後のニュータイヤを投入し、グループランに合流。そこで3日目のトップとなる227.519mphをマークした。初日同様に最後でトップだったスコット・ディクソンを逆転したのだ。この日の合計ラップは117周だった。

3日目は117周を走行した佐藤琢磨
3日目は117周を走行した佐藤琢磨

 中一日空いたものの、連日のトップタイムに、琢磨のピットボックスはTVレポーターらにすぐさま囲まれた。

 琢磨はそれでも冷静にエンジニアのドン・ブリッカーとマシンのフィーリングについて確認を行っていた。

 マシンを降りた琢磨は「初日よりは良かったですね。昨日雨で走行ができなかったので、その分じっくりとデータを見直す事ができて、一段レベルの高いところから作業を始める事ができたし、トラフィックの中の動きもだいぶ良くなりました」

「今日は天候が暑くなったり涼しくなったりしたので、それに合わせてバランスを取るのが難しかった部分もありますけど、チームメイトのデイビットも最後は3番手のタイムだったし、良い1日だったと思います」と振り返る。

「まだまだトラフィックの中の動きとか詰めたい部分もあるし、全体の仕上がり具合としては8割くらい。でもトップグループに入れる速さはあるんじゃないかな。ガナッシ勢がすごく安定しているみたいだけど、アンドレッティ・オートスポートやペンスキー勢も淡々と何かやっていると思うので油断はできませんね」

「ノートゥだとライバルチームの方が速かったし、昨年と比べるとシボレー勢も良くなって来ていると思います。まだどうなるかわかりません」と、ライバルたちを分析する。

「明日(金曜日)からブーストが上がりますので、どうなるかですね。ブーストが上がると全然フィーリングも違って来るし、昨年まで予選で速かったデイル・コインのクルマがどんなものなのか楽しみです」と明日のファストフライデーに期待を寄せる。

 金曜日の走行はブーストが上がり、予選のシミュレーションに終始する。金曜日のタイムが予選を占う上で重要なポイントとなりそうだ。