5月14~15日、ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第3戦がフランス、マニ-クール・サーキットで開催された。スプリントカップの今季第2ラウンドとなった今戦は、土曜のレース1でチームWRTの32号車アウディR8 LMS GT3(シャルル・ウィーツ/ドリス・ファントル組)が優勝。日曜に行われたレース2ではアコーディスASPチームの89号車メルセデスAMG GT3(ラファエル・マルチェッロ/ティムール・ボグスラフスキ組)がポール・トゥ・ウインを飾っている。
週末の両日ともに晴天に恵まれた2022年シーズンの3戦目。土曜と日曜にそれぞれ予選と60分間の決勝レースを行うフォーマットで行われたマニ-クールでのイベントは、アウディ勢と“強豪”アコーディスASPのメルセデスAMGが火花を散らす展開となった。
土曜に開催されたレース1の予選では、11号車アウディR8 LMS(トレソル・バイ・カー・コレクション)がポールポジションを獲得し、チームWRTの32号車が続いてアウディがフロントロウを独占。さらに26号車アウディR8 LMS(サンテロック・ジュニア・チーム)が3番手につけた。
現地18時に開始されたレース1は、シモン・ガシェ駆る11号車アウディがスタートで首位を守った一方、ウィーツが乗り込んだ32号車は同門の26号車に先行を許す展開に。しかし、レース開始から20分を迎える前に現王者が26号車アウディを攻略し2番手に復帰する。
これで勢いに乗ったWRTのエースカーは、レース中盤に設けられたピットウインドウが開くとすぐにピットに向かい11号車に対するアンダーカットを敢行。これが見事に成功し、レース後半にトップに浮上した32号車は、6番手スタートからピットでの逆転を含む順位アップで2番手まで上がってきた89号車メルセデス(アコーディスASPチーム)の追撃を振り切ってトップチェッカー。スプリントカップ1勝目をマークするとともに、今季開幕戦イモラに続くシーズン2勝目を挙げた。
ポールシッターの11号車は3位でフィニッシュし表彰台を獲得した。序盤に32号車と2番手を争った26号車は、僚友25号車アウディに次ぐ総合6位でシルバーカップ優勝を果たしている。
■マルチェッロが稼いだ大量マージンで独走優勝
日曜のレース2に向けた予選は、前日のレース1予選の結果とは対称的にメルセデスが速さを発揮し、アコーディスASPチームの89号車と88号車メルセデスAMG GT3がフロントロウを独占した。
現地15時に開始された決勝レース2では、2台のメルセデスが好スタートを切った一方、3番手グリッドを確保した25号車アウディは、ターン1で33号車アウディR8 LMS(チームWRT)にインを突かれて順位をひとつ落とす。また、4番手につけていた前日のウイナー32号車アウディはターン1でグラベルに飛び出し、14番手までポジションを落としてしまう。
ポールシッターのマルチェッロ駆る89号車はレース序盤から大逃げの体勢に入り、ラップを重ねるごとに2番手以下を引き離していく。その後方では88号車メルセデスを交わした33号車のクリストファー・ミースと25号車アウディのパトリック・ニーダーハウザーが2番手を争う接近戦を展開した。
ピット作業後のレース後半も89号車優位の状態が崩れないなか、2番手争いは88号車メルセデスが3番手に順位を上げ、33号車と25号車のアウディ勢に挟まれる格好でレースが進んでいく。
終盤、2番手を走る33号車アウディに、ピットでのアンセーフリリースによるペナルティが出され、レース結果に10秒が加算されることに。また、25号車には88号車に対するコリジョンを理由とするタイムペナルティが下り、こちらは5秒加算とのアナウンスがなされる。
スタートから60分後、独走状態にあった89号車がトップでチェッカーフラッグを受け、スプリントカップ今季2勝目を飾った。2番手グループは3台がファイナルラップまで接近戦を演じるも、互いに決め手を欠き33号車、88号車、25号車の順でフィニッシュ。しかし、前述のペナルティにより88号車メルセデスが2位、25号車アウディが3位となり、33号車アウディは4位でレースを終えている。
そこから1.8秒遅れて5位でフィニッシュしたAFコルセ53号車フェラーリ488 GT3がレース2のシルバーカップを制した。スタート直後のコースオフで順位を下げた32号車アウディはその後、怒涛の追い上げをみせて総合6位でチェッカーを受けている。
ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・パワード・バイ・AWSの次戦第4戦は6月3~5日、南仏のポール・リカール・サーキットで開催される『ポール・リカール1000km』だ。