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「30分しか時間がなく、すべてのメニューはこなせないので、時間を有効に使って走りたい」と語ってフリー走行に臨んだ野田樹潤(Juju)。

「ブレーキのテストやトラックリミットの感覚をつかみながら」徐々にタイムを詰めていった。14番手タイムは、チームメイトのビアンカ・バスタマンテだけでなく、今年1年目の新人ドライバーのなかで最速だった。

 しかし、セッションの最後にクラッシュした。

「ラスト1周だったので、少し試してみました。この後にセッションもないので、そういったことは今日しかできないと思って……」という野田は、16コーナーイン側の縁石に乗ってクルマが跳ね、そのままアウト側の壁にクラッシュした。

「金曜日の夜にチームが一生懸命クルマを直してくれたのですが、元の状態には戻っておらず、ストレートで真っ直ぐに走るのも苦労していて、正直まともにアタックできる状態ではありませんでした」という状態で臨んだ初めての予選。それでも、「少しでも経験を積みたいので、タイムが出ないことはわかりながらアタックしていました」という野田は予選最下位に終わった。

野田樹潤(Wシリーズ・アカデミー・チーム)のマシンを調整するチームクルー
野田樹潤(Wシリーズ・アカデミー・チーム)のマシンを調整するチームクルー

 予選からレースにかけてマシンを修正したものの、「金曜日に走ったときのフィーリングには戻っていなくて、自信を持って走ることができない状況」で、レース1は15台完走したなかで12位に終わる。

 予選でのセカンドファステストラップでグリッドを決めるレース2でも最下位からのスタートとなった野田。今度はスタートを決め、スタート直後に1台抜いたものの、1周目のバックストレートで追突されスピン。なんとかレースを続行できたものの、集団から大きく引き離された。

「ストレートでも前にクルマが見えないなかで走るのは精神的にもきつかったですし、追突された後にクルマのフィーリングも変わってしまい、慣れるのに数周かかってしまいました。ですが、昨日コーチと話していたことをやろうと落ち着いてレースを続けました」という思いで前を追いかけ、ラスト数周で自己ベストを記録した。

「あそこ(自己ベスト)は意地でした。前に追いつくのは無理という状況のなか、あのままズルズルとタイムを落としたまま走ることはしないようにと。最後に自己ベストを出して、何もなければ自分はいいポジションに行けたというところを見せたかった」という野田のレース2は、結局15位に終わった。

「週末を通して自分ではどうすることもできないことが多すぎて、決して満足のいく結果とはならなかったのですが、そのなかで自分ができることは精一杯やったので、自分としては頑張ったと思います。次はきちんとしたレースがしたいです」

 なお、レース後、スチュワード(審議委員)は野田に追突したテレサ・バビクコワ(チェコ)に次戦グリッド降格ペナルティを科している。

ガレージで作業が行われる野田樹潤(Wシリーズ・アカデミー・チーム)のマシン
ガレージで作業が行われる野田樹潤(Wシリーズ・アカデミー・チーム)のマシン