もっと詳しく

 5月1日、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第4戦『ヒュンダイ・モントレー・スポーツカー・チャンピオンシップ』の決勝レースがウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカで行われ、メイヤー・シャンク・レーシング(MSR)60号車アキュラARX-05との同陣営対決を制した、コニカミノルタ・アキュラARX-05の10号車アキュラDPi(リッキー・テイラー/フィリペ・アルバカーキ組)が2022年シーズン初優勝を飾った。

 強豪ウェイン・テイラー・レーシング(WTR)が走らせる10号車アキュラは、前日4月30日に行われた予選でポールポジションを獲得。快晴の空の下、定刻15時10分にスタートが切られた5月1日の決勝でもテイラーがホールショットを奪う。その背後で3番手からスタートしたキャデラック・レーシング02号車キャデラックDPi-V.Rが60号車アキュラに並びかけるも、60号車のオリバー・ジャービスが2番手を守った。

 落ち着いた展開をみせる序盤最初のドラマは、ラグナ・セカの名物コーナー“コークスクリュー”の手前で発生。スタートから10分後にセバスチャン・ブルデーが駆るキャデラック・レーシング01号車キャデラックDPi-V.Rがストップしてしまう。4番手を走っていたチップ・ガナッシのキャデラックは、その後再スタートを切ったがピットに直行。トラブルの復旧を試みるも最終的にはガレージに向かうことになった。

 スタートから31分、GTDのポールシッターで同クラス2番手を走っていた、ウィンワード・レーシングの57号車メルセデスAMG GT3の激しいクラッシュにより今戦唯一のコーション(セーフティカー)が入る。このタイミングでプロトタイプ車はほとんどがピットへ。ピット競争で3番手を走っていた02号車キャデラックがふたつ順位を下げ代わって第2戦のウイナー、JDCミラー・モータースポーツの5号車キャデラックDPi-V.Rが3番手に浮上する。02号車はコーションが長引く間に追加のスプラッシュも行った。

 レース再開後、スタートから1時間を経過した頃10号車に60号車が接近し2台のギャップが1秒を切る。これとほぼ同じタイミングでLMP2のリーダーが交代。スタート直後のスピンで順位を下げていた11号車オレカ07・ギブソン(PR1マティアセン・モータースポーツ)が僚友52号車オレカ07をパスしてトップに返り咲いた。しかしその約10分後、11号車オレカはターン4でコースオフを喫しポジションを3番手に下げてしまう。

 依然としてDPiクラスのトップ争いが続くなか総合3番手争いも白熱し、5号車キャデラックと31号車キャデラックDPi-V.R(ウェーレン・エンジニアリング・レーシング)のギャップが1秒以下となる。レース折り返しの1時間20分過ぎ、31号車がアンダーカットにでる。

 これに続いて60号車アキュラと5号車キャデラックがピットインしている間にアレックス・リンがドライブする02号車キャデラックがタイヤバリアに刺さったが、自力で脱出しリスタートを切ったためコーションは出ていない。直後に10号車アキュラがピットアウトして首位でコースに戻るが、アウトラップでトム・ブロンクビストの60号車に交わされ2番手となった。31号車キャデラックも60号車と同様にアンダーカットを成功させ順位アップに成功している。

 抜かれた10号車は60号車から離されず再逆転の機会を窺う。その瞬間が訪れたのは約20分後、トラフィックに引っかかった60号車にコークスクリューで並びかけたアルバカーキが、続く左コーナーでライバルのインを奪い軽く接触しながらオーバーテイクを決めた。

■パフ・モータースポーツ、“不運に泣いた”第3戦ロングビーチの雪辱果たす

DPiクラスのスタートシーン 2022年IMSA第4戦ラグナ・セカ
DPiクラスのスタートシーン 2022年IMSA第4戦ラグナ・セカ
メイヤー・シャンク・レーシングの60号車アキュラARX-05
メイヤー・シャンク・レーシングの60号車アキュラARX-05
優勝したコニカミノルタ・キャデラックDPi-V.Rのフィリペ・アルバカーキ(左)とリッキー・テイラー(右) 2022年IMSA第4戦ラグナ・セカ
優勝したコニカミノルタ・キャデラックDPi-V.Rのフィリペ・アルバカーキ(左)とリッキー・テイラー(右) 2022年IMSA第4戦ラグナ・セカ

 チェッカーまで残り45分、ふたたび2番手となった60号車アキュラが最後のピット作業を行う。翌周に3番手の31号車キャデラックがピットイン。ライバルから2周遅く10号車、5号車がピットに戻った。作業時間が短かったWTRはリードを保ったまま10号車をコースに送り出すことに成功する。ここではトップ4に順位変動なし。

 その後、約40分にわたってアルバカーキの10号車とブロンクビスト駆る60号車、2台のアキュラによる接近戦が繰り広げられたがコース上でのオーバーテイクには至らず。最終的にアルバカーキが今季のデイトナウイナーの追撃を1.080秒差で振り切りトップチェッカー。60号車が2位となりアキュラ勢がワン・ツー・フィニッシュを決めた。表彰台最後のポジションは予選6番手だった31号車キャデラックが獲得している。

 LMP2クラスでは終盤にルイ・デレトラズの快走でトップに浮上した、タワー・モータースポーツの8号車オレカ07(ジョン・ファラーノ/デレトラズ組)が逆転優勝を果たし、エラ・モータースポーツの18号車オレカ07がクラス2位表彰台を獲得した。

 同3位には、ペナルティの対象となるジャッキアップ中のタイヤ空転とペナルティ消化時のピット入口でのスピン、ファン・パブロ・モントーヤによるこれらふたつの“エラー”があったにもかかわらず、順位を取り戻したドラゴンスピードUSAの81号車オレカ07が入っている。

 GTDプロクラスは、前戦ロングビーチでコルベットのホイールナットが降ってくる不運に見舞われたパフ・モータースポーツの9号車ポルシェ911 GT3 R(マット・キャンベル/マシュー・ジャミネ組)が、レースの大部分を支配し後続を30秒以上引き離してのポール・トゥ・ウインを達成。

 2位はバッサー・サリバンの14号車レクサスRC F GT3で、1.2秒差の3位はBMW MチームRLLの25号車BMW M4 GT3となっている。序盤のコーション明けに一時トップに浮上した3号車シボレー・コルベットC8.R GTD(コルベット・レーシング)は、BMWに1.442秒届かず表彰台を逃した。

 GTDクラスでは96号車BMW M4 GT3(ターナー・モータースポーツ)がレースを引っ張っていたものの、終盤に16号車ポルシェ911 GT3 R(ライト・モータースポーツ)に逆転を許し首位陥落。16号車(ヤン・ヘイレン/ライアン・ハードウィック組)はそのままクラス優勝を果たした。

 一方の96号車BMWは、ファイナルラップの最終コーナーで39号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo(カーボーン・ウィズ・ペレグリン・レーシング)に並び掛けられると、最後は“鼻差”0.037秒競り負け3位となっている。

 IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の次戦第5戦『レクサス・グランプリ・アト・ミド・オハイオ』は2週間後の5月13~15日、ミド・オハイオ・スポーツカー・コースで開催される予定だ。

タワー・モータースポーツの8号車オレカ07・ギブソン
タワー・モータースポーツの8号車オレカ07・ギブソン
IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第4戦ラグナ・セカ GTDプロクラスのスタートシーン
IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第4戦ラグナ・セカ GTDプロクラスのスタートシーン
パフ・モータースポーツの9号車ポルシェ911 GT3 R
パフ・モータースポーツの9号車ポルシェ911 GT3 R
ライト・モータースポーツの16号車ポルシェ911 GT3 R
ライト・モータースポーツの16号車ポルシェ911 GT3 R