雨のなかでフリー走行1回目と予選が行われたF1第4戦エミリア・ロマーニャGP初日から一夜明けた土曜日のイモラは、青空が広がった。午後12時30分から開始されたフリー走行2回目は、ドライコンディションのなかで60分間のセッションが行われた。
金曜日に完全に乾いた路面でドライタイヤの走行を行っていないため、どのチームも数時間後にスタートとなるスプリントと、日曜日のレースに向けたロングランを精力的に行っていた。
角田裕毅(アルファタウリ)はセッション前半にミディアムタイヤで14周走行した後、ソフトタイヤに履き替えて18周のロングランを行った。一方、チームメートのピエール・ガスリーは前半にソフトタイヤを履き、後半はミディアムタイヤを装着。テクニカルディレクターのジョディ・エギントンは「フリー走行2回目では、ソフトとミディアムの両コンパウンドを試し、双方ともにバランスはかなりよかった」とスプリントとレースに向けて、手応えを感じていた。
ただし、この日のイモラは午前中の段階で、午後ににわか雨が降る可能性があるという予報が出されていた。そのため、セッション後もスプリントのスタート時間となる午後4時30分まで、どのチームも空模様をうかがっていた。
しかし、心配されていた雨雲はサーキットの上空を訪れることなく、今年最初のスプリントはドライコンディションのなかでスタート。フリー走行2回目でソフトタイヤを履いた角田が18周のロングランを安定したペースで走っていたアルファタウリは、スプリントで2台そろってソフトタイヤを装着してスタートした。
前日の予選でQ1落ちして16番手からスタートすることになった角田は「日曜日のレースでポイントを獲得するには、スプリントでのスタートが鍵になる」という思いでスプリントに臨み、その言葉通り絶好のスタートを切った。スタートでランス・ストロール(アストンマーティン)とルイス・ハミルトン(メルセデス)の2台を抜き、さらに周冠宇(アルファロメオ)もかわして、一気に13番手までジャンプアップした。
「スタートをうまく決めることができました。あそこでポジションを上げることができたのが大きかった」と語った角田は、その後、DRSトレインのなかで、なかなか前を走るジョージ・ラッセル(メルセデス)をオーバーテイクできない我慢の走りを強いられた。
それでも、後方から迫ってきたハミルトンの攻撃に耐え抜き、ラッセルにかわされて角田の前を走っていたセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)を、残り2周でDRSを使ってオーバーテイク。元ワールドチャンピオンふたりを従えて、12番手でチェッカーフラッグを受けた。
「クルマに関しては、(予選順位ほど)悪くはないので、日曜日のレースに向けて、チームと話し合ってしっかりと準備したい」と、スプリント後に語った角田。チームのホームレースとなる日曜日は、ポイント獲得を目指して12番手からスタートする予定だ。