緊急の暑さ対策を強いられたラリー1カー。トヨタはルーフ開口部を大型化【WRC Topic】

 新時代のラリー1マシンが深刻な熱問題を抱えているということが、WRC世界ラリー選手権第4戦『ラリー・ポルトガル』で明らかになった。

 ポルトガルは気温が30度に届くか届かないかで、まだそれほどは暑くなかったが、それでもマシンによっては車内温度が70度に達し、選手が熱中症になったり、ドライビングシューズが溶けたりといった問題が多く発生。2週間後に開催される第5戦『ラリー・イタリア・サルディニア』に向けて、早急な改善が求められた。

【動画】ロバンペラvsタナク、WRCクロアチアで優勝を争ったふたりの最終SSオンボード

 4月21~24日に開催されたWRC世界ラリー選手権第3戦クロアチアは、最終日に展開された逆転に次ぐ逆転劇を経て、カッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が優勝。2022シーズン2勝目をマークした。そのロバンペラを相手に最終パワーステージでガチンコ勝負を繰り広げたのが、総合2位となったオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)だ。WRC公式サイトでは、このふたりによって僅差で争われた最終ステージの戦いを2台のオンボード映像を並べた動画で紹介している。

 24日(日)の競技最終日にラリーを襲った予想外の降雨による混乱で、最終ステージのひとつ前のSS19でロバンペラの独走態勢が崩れ、1.4秒差でタナクがリードする展開となったクロアチア・ラリー。迎えた最終パワーステージでは両者のタイヤ選択が分かれるなか、先に出走したロバンペラが驚くべきペースを披露する。

レイン用とドライ用をクロスに履くWRCの異常なタイヤ戦術【WRC Topic】

 クロスオーバーというと、いま巷で人気のSUVを思い浮かべるかもしれないが、WRC世界ラリー選手権では異なる種類のタイヤの“クロス履き”のことををさす。どういうことかというと、右フロントと左リヤに溝が多く刻まれたレインタイヤを、左フロントと右リヤに浅溝のドライ路面用ハードタイヤを装着するといった具合に、前後左右で異なるタイヤを履くのだ。

 実際、先日開催されたWRC第3戦クロアチア・ラリーでは、トヨタのカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)がそのクロスオーバーで最終ステージを走行し、ぶっちぎりのベストタイムで逆転優勝を飾った

ヒョンデのヌービル、公道で“大幅な”速度違反犯し罰金26万円。1分のペナルティも追加

 ヒョンデ(旧ヒュンダイ)・シェル・モビスWRTのティエリー・ヌービルは、4月22日に行われたWRC世界ラリー選手権第3戦クロアチアのデイ1を総合2番手で終えたが、彼はデイ2開始前に今大会3度目のペナルティを受け、総合4番手に順位を落とすことになる。

 今大会も昨年からコンビを組むマルティン・ウィダグとともに、ヒョンデi20 Nラリー1を走らせているヌービル。彼らは総合2番手でデイ1のSS4を走り終えた後、リエゾン(移動区間)で2度にわたって発生したオルタネーターのトラブルにより、最後は自分たちでマシンを800m押してTC(タイムコントロール)4Aに到達した。