わが国における不整脈患者数は増加している。その中でも最も多くみられる心房細動の患者数は約170万人と推定されている。心房細動は特に加齢とともに増加するとされ、欧米では40歳以上になると4人に1人が心房細動を発症するといわれている。わが国でも高齢化に伴い患者数は増加傾向にあり、今後もさら……
感染性下痢症 (日経BP)
感染性下痢症についての主要なガイドラインとしては、国内では「JAID/JSC感染症治療ガイド2019」、国外では米国感染症学会(IDSA)のガイドラインがある。感染性腸炎は、当該国の疫学や市販薬により診断・治療戦略が異なるため、本章では「JAID/JSC感染症治療ガイド2019」を中心に解説する。また、旅行……
過敏性腸症候群 (日経BP)
過敏性腸症候群(IBS)の有病率は、診断基準によっても異なるが、わが国での疫学的調査では、2004年の一般人口を対象とした調査で6.1%、検診受診者を対象とした調査では14.2%、2008年のインターネット調査では13.1%と6~14%程度の有病率であり、頻度の高い疾患であるとともに、QOL障害が強い疾患で……
急性腹症 (日経BP)
急性腹症は救急外来を受診する患者の5~10%を占めるとされ、頻度の高い疾患である。腹痛患者のうち、致死的な患者は0.5%未満とされる一方、20%前後が重篤または手術が必要である。初期対応の遅れは重症化、死亡率の増加につながるため、早期の診断・治療介入が重要である。 急性腹症において頻度が……
機能性ディスペプシア (日経BP)
わが国ではHelicobacter pylori(H. pylori )除菌療法の定着に加え、若年世代のH. pylori感染率の低下によりH. pylori感染患者は激減し、同時に脂肪および蛋白質摂取量の増加、塩分摂取量の減少といった食習慣の変化により、現代では胃酸分泌の増加した胃内環境へと変化しており、さらにはストレス社……
口内炎 (日経BP)
口内炎(stomatitis)は、口腔内全体(口唇、舌、歯肉、口底、頬、硬口蓋、軟口蓋)の粘膜の炎症性疾患の総称であり、口腔粘膜炎(oral mucositis)ということができる。本章ではおもに「口腔粘膜炎」の用語を用い、他の口腔粘膜疾患との鑑別も含めて概説する。 口腔粘膜炎患者数の正確な把握は困難で……
虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞) (日経BP)
2014年の厚生労働省患者調査(傷病分類編)によると、わが国の心疾患(高血圧性のものを除く)の総患者数(継続的な治療を受けていると推測される患者数)は172.9万人と依然上昇している。加えて、2017年の厚生労働省人口動態統計では心疾患(高血圧性を除く)による死亡数は20.5万人と全体の15.3%を……
高血圧 (日経BP)
高血圧は生活習慣病の中で最も頻度が高い疾患であり、140/90mmHg以上を高血圧とすると、わが国には約4,300万人が罹患していると推定されており、その罹患者数は国民の高齢化によりさらに増加していくことが予想される。数多い高血圧患者の診療レベルを向上させるためには、客観的な証拠による診療方針……
脂質異常症 (日経BP)
脂質異常症とは血液中の脂質濃度が異常値を示す疾患であり、その診断・治療の目的は動脈硬化性疾患および急性膵炎の予防である。診断は原則として10時間以上の絶食後に採血した検体から総コレステロール(TC)、トリグリセライド(TG)、HDLコレステロール(HDL-C)を測定し、LDLコレステロール(LDL-C……
非アルコール性脂肪性肝疾患/非アルコール性脂肪肝炎 (日経BP)
C型肝炎がほぼ全例治癒し、B型肝炎の制御や感染予防対策が確立した時代になり、肝疾患の診療はパラダイムシフトを迎えた。ウイルス肝炎に替わり、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧を伴うメタボリック症候群と関連する非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)/非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が慢性肝疾患……