甲状腺機能異常症は、血中甲状腺ホルモン濃度が増加している甲状腺中毒症/機能亢進症と、逆に同ホルモン濃度が低下している甲状腺機能低下症に大別される。さらに、甲状腺自体の異常に起因する原発性甲状腺機能異常症では、甲状腺ホルモンおよび甲状腺刺激ホルモン(TSH)の両方が異常値を呈する顕性と……
肥満症 (日経BP)
わが国における体格指数(BMI)≧25kg/m2の肥満人口は2017年時点で男性31.3%、女性20.6%であり、戦後の増加傾向を経て最近10年は横ばいで推移している。 日本肥満学会より2000年に肥満症の診断基準が公表されて以降、2006年、2011年と改訂を重ね、2016年に「肥満症診療ガイドライン2016」が公表され……
高尿酸血症・痛風 (日経BP)
正常人の体内尿酸プールは成人男性でおよそ1200mg、血清中の尿酸濃度はおよそ7.0mg/dLが飽和濃度である。尿酸産生量はおよそ700mg/日で、このうち約500mg/日が尿中に排泄され、約200mg/日が汗、消化液などに排泄される。尿酸産生、プールの形成、尿酸排泄は定常状態にあるので、プールの増大は産生の増……
糖尿病 (日経BP)
近年、国内外で糖尿病患者が急増している。日本では、「国民健康・栄養調査」(2019年)によると「糖尿病が強く疑われる者」は男性 19.7%、女性 10.8%である。一方、糖尿病治療薬も相次いで開発・発売され、そのエビデンスも充実してきている。糖尿病の治療目的は単に血糖管理を行うだけでなく、合併症……
非結核性抗酸菌症 (日経BP)
非結核性抗酸菌(NTM)とは結核菌以外の培養可能な抗酸菌の総称であり、ヒトに病原性が報告されているものだけで40種類を超える。同菌による感染症がNTM症であり、大部分が肺の慢性疾患である肺NTM症である。ほかに皮膚・軟部感染症、全身感染症などがあるが、一般臨床での遭遇はまれである。 肺NTM症……
COPD(慢性閉塞性肺疾患) (日経BP)
COPDは、高齢者にみられる疾患で、息切れ(呼吸困難)が主徴であり、咳を伴うことがあり、ときに少量の痰を伴うこともある。病変は年余にわたり緩徐に進行するだけに、患者は長期にわたる息苦しさに悩まされる疾患である。患者は例外なく慢性喫煙者であり「タバコ病」といわれる所以である。 欧米では1……
胃炎 (日経BP)
胃炎は、胃に急性もしくは慢性に起こる炎症である。急性胃炎の原因としては薬物の粘膜傷害作用によるもの、飲酒、喫煙、ストレスによるものなどがある。慢性胃炎ではほとんどの原因がHelicobacter pylori(H. pylori )菌もしくは薬物によるものである。一般的には胃炎とは慢性胃炎を意味する。 厚生労……
慢性便秘症 (日経BP)
超高齢社会を本格的に迎えて慢性便秘患者は増加の一途である。慢性便秘患者はその大半は高齢者であり、また便秘薬といってもその副作用が出やすく、ときに治療を不十分にすると死の転帰をとることがあり注意が必要である。患者数が多い慢性便秘であるが、多くは消化器内科などの専門医ではなく非専門医……
ウイルス性肝炎・肝硬変 (日経BP)
わが国における慢性肝炎・肝硬変のおもな原因は肝炎ウイルス(B型肝炎ウイルス〈HBV〉、C型肝炎ウイルス〈HCV〉)感染であり、肝硬変の成因の約8割を占めている。他の原因として、アルコール、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、自己免疫性肝炎(AIH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)などがあるが、近年、N……
胃潰瘍・十二指腸潰瘍 (日経BP)
厚生労働省の傷病別年次推移のデータでの患者総数で1987年と2011年を比較すると、胃潰瘍は各々61.3万人、35.5万人、十二指腸潰瘍は各々23.7万人、4.2万人と急速に減少している。さらに人口動態統計では胃潰瘍・十二指腸潰瘍の死亡者数は、1950年の1万9,323人から大きく減少したが、1990年前後からは例……