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クラシックカー15選シリーズその1:20年後、人気のクラシックカーになるのはどのクルマか? これからの定番になりそうなスポーティなモデルも含め、15モデルをご紹介する。

ここ10年にデビューしたクルマのうち、20年後に名車になるのはどれか? おそらく、小さなエンジンを積んだ量産型の日常車ではないだろう。そこで、近年市場デビューした、将来のクラシックとして望ましいクルマ15台を選んで紹介する。

「メルセデスSLS AMG」のように、約5000台しか生産されてなく、すでに新車時よりも中古車としての価格のほうが高いという投機的なモデルは別として、ここではこれらのモデルはすべて夢の車だが、その多くはかなり手頃な価格である。

新車で少なくとも117,000ユーロ(約1,580万円)、現在すでに中古モデルとして140,000ユーロ(約1,890万円)の価格となっているメルセデスSLS AMG。

今後の重要なクラシック作品15選

しかし、「BMW i3」、ネオビートル「VWビートル コンバーチブル」、愛すべき完全オフロードの「スズキ ジムニー」など、これから登場する将来のクラシックカーはとても安いので、多くの人が今すぐ購入できるだろう – 保存状態の良い個体を確保し、乾燥庫にしまって、後で使うために購入すべきだろう。でも、「i3」は定期的に充電してほしい。

我々は、過去15年間にデビューした以下の15台は、絶対にクラッシックになると確信している。

この15台は、明日のクラシックカーだ:

メルセデス SLS AMG
300SLドリームカーの遺伝子とともに: 2009年、メルセデスは「300SL(W198)」を21世紀へと導いた。571馬力の「メルセデスSLS AMG」のクラシックなステータスとともに伝説を復活させたのである。ガルウィングドアやワイドなフロントグリルなど、1950年代の先代を彷彿とさせるデザインだ。ボンネットの下には6.2リッターの自然吸気V8エンジンを搭載し、300km/hを超える最高速度を実現しており、まさに「300SL」のドリームカーの遺伝子が「SLS AMG」に息づいている。現在でも、中古車としての個体は貴重な存在だ。
大林晃平: 「SLS AMG」はメルセデス・ベンツのファンの中でもかなり好き嫌いがはっきりしたモデルで、ちょっとした踏み絵?みたいな存在である。好きな人にとっては、ガルウィングドアの一台で、6,2リッターで文句なし、という評価。苦手な人にはちょっとつかみどころのないような大柄なAMGという名前のスーパースポーツカー、そんな感じである。日本では1,500~2,000万円くらいで取引されている感じである(という値段からも人気などがわかるだろう)。20年後にもそこそこ人気はありそうですが、かつての「SL」のような存在にはならないとは思う。
BMW i3
新しい時代へ: 伝統主義者はいまだに「BMW i3」を鼻にかけている。電気モビリティは素晴らしいが、バッテリーカーはなぜそんなに醜くなければならないのか?と。「i3」の外観は、慣れが必要かもしれないが、デザインとしてはよく考えられている。CFRP製パッセンジャーセル、量産型電気駆動装置、エンジンを超えたサステイナビリティ: BMWは10年前にその基準を打ち立てた。「i3」は、技術的なマイルストーンであり、きっと将来的にはコレクターズアイテムとなるはずだ!
大林晃平: 「BMW i3」、個人的には好きな車である。特にレンジエクステンダーのほうは、電欠の心配なく乗れるし(といっても燃料タンクめちゃくちゃ小さいけれど)、内装も外装も未来的で素敵ではないか! でも正直値段が高すぎたのだと思う。いくら内容的に先進的なプレミアムラインだとしても、ちょっとこの価格を出して買う車かというと、ハードルが高すぎたのかもしれない。でも、今でもこのデザインや存在感はちょっと魅了的である。日本では激安価格で手に入るのでお好きな方は、ぜひ。20年たてば珍しい車として注目されるはずですから。
アルファロメオ8Cコンペティツィオーネ
頑固さが切り札: アルファロメオは、ユニークで時に頑固なスポーツカーデザインで知られている。60年代の「ティーポ33ストラダーレ」や80年代の「SZ」は、競合他車とは一線を画していた。「アルファ8Cコンペティツィオーネ」は、その排他性によって、再び特別な存在となるはずだ。
大林晃平: この車はじっくり見させてもらったこともあるし、ちょっとだけ運転させてもらったこともあるが、実車のつくりの良さと存在感は素晴らしく上質だった。少し時間がたった今でも、やっぱり格好いいし500台という希少性も考えれば魅力あふれるアルファロメオの限定モデルである。そんなことも反映してか、日本での現在の価格は2,500~3,000万円。妥当かな、とも思う。もちろん20年後でも安定のクラシックアイテム間違いなし。
ヴィーズマンGT MF5
夢の実現: 1988年、ヴィーズマン兄弟は自らのブランドで、ドイツでロードスターを作るという夢を実現させた。その後、モデルバリエーションが増え、2009年にはトップモデルの「GT MF5(BMW V10、507馬力搭載)が登場した。2013年の債務超過後、ブランドは歴史に残る存在となったが、クルマ自体の魅力は失われていない。
大林晃平: 残念、この車知りませんでした。で終わってはいけないので、ちょっと調べてみたら、一度倒産後、2022年(今年じゃん)にニューモデルを発表するとのこと。それがどんなものなのか、現時点では未定だが、登場の暁には、(たぶん)AUTO BILDでレポートするはず。一応この「GTMF5」の解説をしておけば、BMWベースで作られた自動車で、なんと日本でも中古車として売ってました(価格は応談でしたが・・・)。20年後ですか?? この車を知っている人がいたらラッキーかも(笑)。
フィアット500アバルト
最後の毒小人: 今や、本物の暴れ小人をラインナップしているメーカーは少ない。イタリアの「フィアット500」の「アバルト」仕様は、よりアグレッシブな外観で、より強固なシャシーと最高出力190馬力を備えている。30年後、その顧客層は、当時、若い世代の車に夢中だったグループで、昔を懐かしむために「500アバルト」を探していることだろう。
大林晃平: 東京や横浜の街に出れば、見かけない日はないほど普及したアバルト。中古車もよりどりみどり。限定車も多いし、お好きな一台を購入するのもよろしいかと。個人的には「トリブート フェラーリ」とか、「695エディツィオーネ マセラティ」が好きですが、そちらは400万円くらいと高値安定傾向です。そして20年後にもきっと人気者でしょう。普通のモデルは気軽に買えるうちに新車で買って、どんどん愛用してモーターライフをエンジョイしましょう。周囲の人に、もっとも威圧感を与えない自動車の一台ですからご近所様にもとやかく言われません。
ポールスター1
北欧のクールさ: 1,500台限定「ポールスター1」は希少価値あり。コレクターはすでにファーストエディションを手に入れている。ボルボの子会社であるポールスターの最初の車であり、電気自動車に続いてハイブリッドドライブを搭載した同ブランド唯一のモデルである。北欧のクールな外観は、ボルボのデザインがベースになっている。
大林晃平: まだ現車を見ていないのでなんとも・・・ですが、ポールスター1が20年後にクラシックカーになれるかっていうと・・・、うーん、微妙かも。これからBEVモデルは百花繚乱状態なので、ポールスターだけがクラシックモデルとして評価されるかというと・・・ちょっと怪しい。そもそも、ボルボと名乗らないでポールスターという別ブランドで行くという計画、これってうまくいくものなのでしょうか?と老婆心ながら思ってしまうのだけれど。
アウディS5(8T)
シンプルな美しさ: 最近、アウディがクラシックなクーペに挑戦することが少ないのは、とても残念なことだ。「100クーペS」は、このジャンルの最も美しい代表的なモデルのひとつであり、インゴルシュタット発のモデルである。そして、2007年に登場した「A5/S5」は、4つのリングがいかにシンプルでエレガントなものであるかを改めて示している。あたかもBMW 3シリーズクーペ(E90)の顔が青ざめたように見える。
大林晃平: 今現在、アウディでクラシック領域になっている車といえば……やはり初期のクアトロ、でしょうか。最初は「クアットロ」と呼ばれ、フルタイム4輪駆動システムのスポーツカーの始祖。ミッコラとかムートンとかピエヒの名前が自然と浮かぶ、あのカラヤンが愛用していたあのクーペ クアトロこそがアウディの歴史上クラシックと呼ぶことをためらわない一台であると思う。それからすると8TのS5が将来クラシックになるかというと、ちょっと怪しい部分が多い。アウディのほかのラインナップモデルとも似ているし、R8とかTTのほうがクラシックアイテムになる可能性が高いのではないでしょうか。
ジャガーFタイプ
ジャガーの若返りの泉: ジャガーは「Fタイプ」によって、これまでの埃っぽいイメージを払拭し、よりスポーティさを取り戻すことに成功した。均整のとれたクーペは技術的に細かく調整されており、2013年に発表されたその姿はほとんど古びていない。「Fタイプ」には、間違いなくクラシックの遺伝子が宿っている。
大林晃平: この手の企画で必ず登場するEタイプ「ジャギュアー」、あれはもう未来永劫クラシックでしょう。ではこの「F」対応はといえば、なかなかいいとこまで行ってるとおもうんですよ、オマージュの部分とかディテール処理とか。性能面でもハイパフォーマンスだし、十分にスポーツカーの範疇の一台であると思う。でも言うまでもなくEタイプほどのカリスマは持っていない。それでも純粋な内燃機関のスポーツカーとして、ずっとこれを愛用し、自然にクラシックカーになっていくというエイジングは、なかなか悪くはないのではないかとも思う。
シトロエンC4カクタス
伝統のユニークさ: 「シトロエンC4カクタス」の特別な特徴は一目瞭然だ。フロント、サイド、リアに配置されたエアクッション「エアバンプ」は、小さなダメージからクルマを守るためのものだ。こうした珍しいディテールが、現代のクラシックカーの魅力でもあるのだ。「C4カクタス」は、将来、ヴィンテージカーショーで話題になることだろう。
大林晃平: シトロエンの歴史から3台選ぶとなあんだ?普通はその場合、DS(絶対)、2CV(必須)の2台はお決まりの指定席に座っている。残りのポジションには、トラクションアヴァン?(順当)、Hトラック?(個人的には推薦したい)、CX?(まあDSにはかなわないからなぁ)、SM(選ばれても文句は言わないけど)、ヴィザ?(まさか)、エグザンティア(小林彰太郎さんならこれか)、カクタス?(うーん……)。
 「うーん」、の理由は確かにユニークでチャーミングな内外装はこの車だけの魅力だし、乗ってみても実にシトロエンらしいけれど、技術的な部分では特別に大したことのないモデルだからである。でも日本には限定で入っただけで今でも中古車市場では高値安定のカクタス。20年後に持っていれば、特にシトロエン好きの間では注目されること間違いなし。
テスラ モデルS
革命家: テスラは、電気自動車を日常的に使えるようにし、自動車業界に革命を起こした。新参ブランドが「モデルS」で市場を煽った展開には、大手メーカーも対抗できなかった。クルマの歴史は、もはやラグジュアリークラスの電気自動車を抜きにしては語れない。
大林晃平: テスラがクラシックカーになれるか?? バッテリー劣化しちゃってるだろうし、数々の電子デバイス機器もトラブっている可能性あるし、ちゃんと走るのかどうかが怪しい。(たぶん走らないかも)。まあ博物館とか、歴史資料館みたいなところに、「イーロンマスクという投資家が生み出したBEVとして展示される、という図式じゃないでしょうかねぇ。
スズキ ジムニー(GJ)
オフロードの仕組みはこうだ: パルプのような大量のSUVが長年にわたって自動車市場を蹂躙してきたが、クラシックなポテンシャルを持つものはごくわずかだ。そんな中でも、新型「スズキ ジムニー」は例外で、そのデザインは群を抜いて心地よい。この作品は、想像を絶するようなコピーや、不器用なレトロに陥ることなく、既存のクラシックカーを引用している。
大林晃平: ジムニーは日本の誇る名車(カルトカー)であることは間違いない。世の中のほかのどんな車にも似ていないことと、本物のオフロード性能を持つ車であること、そしてこの車だけを必要とする人が世の中に存在すること、それが名車たる理由である。人生最後の自動車、あがりの自動車がジムニー、そんな人を多く知っているし、その通りかもしれない、そんな自動車でもある。今から20年後、現行モデルがクラシックになっているかどうかはわからない。なぜならば、まだそのころもバリバリの現役で活躍しているはずで、クラシックカーになるような暇などないかもしれないほど必要とされているから。
VWビートル カブリオ
ライフスタイルビートル: VWは「ビートル」でピープルズカーの典型を作り上げ、そのスタイルに触発された後継者たちは新しい道を歩んだ。「ニュービートル」は、どちらかというと、いい時代のライフスタイルの対象だ。特に「ビートル カブリオ」は、30年後の晴れた日にガレージから転がり出てくるようなポテンシャルを持っている。
大林晃平: フォルクスワーゲンゴルフの着せ替え人形みたいな新型フォルクスワーゲン ビートルが、将来的にクラシックカーになれるかどうか、ちょっとよく分からない。一種のパイクカーだし、数も多いし、申し訳ないことに形だけの車だから。でも今になって世界的にニッサン フィガロが妙な人気者となっているように、可愛さで生き延びているかもしれない。可愛いいことは、絶妙にずるいけれど大切なファクターでもある。
ルノー アルピーヌA110
アルピーヌが覚醒: フランスのメーカーは2017年、1971年の同名クーペ美女へのオマージュとして、「アルピーヌA110」を発表した! しかし、レトロなデザインは首尾一貫しており、小型スポーツクーペの市場が薄くなる中で、アルピーヌは先を走っている。50年後のトリビュートにふさわしい、来るべきクラシックな作品だ。
大林晃平: カーグラフィックTVのオープニングテーマが流れると、ブガッティのエンジンがかかり、次に出てくるのが白い「A110」だったことを覚えているだろうか?オリジナルのA110とはそういう車であり、熱血な愛好家に支持され続けている偉大なアイコンである。では現代のA110はというと、さすがにそこまでのカリスマ性はないものの、将来的にはクラシックカーの仲間入りになれる要素は十分に持っていると思う。でもたった20年後くらいでは怪しい、かもしれない。最先端技術の自動車だし、せめて50年後くらいかなぁ、内燃機関禁止になっているかもしれないけれど、それくらい先でないとクラシックにはなれていないかも、そんな気がする。
ロータス エリーゼS3
チャップマンの遺産: 無駄を省いた一貫した軽量構造、小さなミッドエンジン、小さなサイズ、それはロータスの最も純粋な姿である。エリーゼ(ジェネレーション3)は、ロータスの創始者コーリン チャップマンのマントラを長年にわたって踏襲してきた、象徴的な1台だ。2021年、メーカーはモデルシリーズの終了を発表したが、これはアイデンティティにコストをかけるステップだ。「エリーゼS3」は、「最後の本物のロータス」としてカルト的な地位を獲得する。
大林晃平: 先日一番びっくりしてがっかりしたニュース。それはロータスのEVとして登場した自動車が、大きく重いSUVであったことだった。別にロータスがEVになることはまったく構わない。SUVであっても時代の流れなのかもしれない。だが豪華で大きく重いSUVのロータス・・・。コーリン チャップマンの思い描く車はやはり「エラン」であり、この「エリーゼ」のような軽い自動車なのではないだろうか。そういう意味でも「エリーゼ」はもちろん将来クラシックになりえる。一時期、接着剤が経年劣化ではがれる、とも言われていたがどうやら大丈夫そうだし、所有している人はどうか末永く大切にしてほしい。
パラゴン アルテガGT
地方のポルシェ: 昨日の失敗作が、明日は人気のクラシックカーに!? 2009年、自動車部品メーカーのパラゴンは、「アルテガGT」でスポーツカー界を震撼と考えた。153台生産の後、プロジェクトは債務超過で終了した。東ヴェストファーレン州のポルシェチェイサーは希少な存在であり続け、高いドライビングプレジャーとともに、クラシックなキャリアを保証するものだった。
大林晃平: 正直このパラゴンが20年後クラシックアイテムとして評価されるのかどうか、実に怪しい。なにしろ車そのものの絶対数が世の中にないし(見たことない)、おそらくかなりの自動車エンスージャストでも知らないだろうから・・・。蛇足ながらパラゴン アルテガGTはフォルクスワーゲン パサートに搭載されていたV6エンジンとDSGを搭載し、軽量(約1.2t)を特徴としたスポーツカーであったが、アルテガの2012年の経営破綻とともに姿を消した。実は日本にも上陸されており、800万円程度で販売されていたこともある。

Text: Marcel Nobis
Photo: autobild.de