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 ノア/ヴォクシー、ステップワゴンはこれまで5ナンバーサイズをキープしてきたが、フルモデルチェンジを機に全車3ナンバーに。ユーザーのなかには「絶対5ナンバーがイイ!!」という声も多かったのも事実である。だからこそ20余年車幅1700mm以下のモデルをラインアップさせていたワケだ。

 新型モデルたちの大型化は今までのユーザーを捨てたのか? ってな気もするが、この判断、果たして正しいのか!? じつは3ナンバー化はユーザーにとって決して悪ではないというが、果たして。

文:青山尚暉/写真:トヨタ・ホンダ・日産

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ずっと死守してたのに……Mクラスミニバンも3ナンバーの時代に

ステップワゴンやノア/ヴォクシーといったミドルクラスミニバンはこれまで5ナンバーサイズを死守していた。だが新型モデルから全車3ナンバーに

 “家族の幸せ”のためにあるとも言えるMクラスボックス型ミニバンは、1996年に初代がデビューし、大ヒット作となったホンダ・ステップワゴンをはじめ、そのあとに続いた日産セレナ(FFモデルは1999年~)、トヨタ・ノア&ヴォクシー(2001年~)もまた、元々は5ナンバーサイズを基本としていた。誰もが扱いやすく、ママでもスイスイと運転できるサイズ感と、想像を超えた室内の広さのアンバランスさもまた、大きな魅力だったのだ。

 先代までのステップワゴン、ノア&ヴォクシー、そしてセレナも基本ボディは5ナンバーサイズの全幅1695mmをキープ。先代ノア&ヴォクシーのエアログレードの全幅が1735mm、セレナハイウェイスターの全幅が1740mmと言っても、それはエアロパーツなどの付加物があるためで、実際の車幅感覚、そしてミラー・トゥ・ミラーの全幅は5/3ナンバーモデルにかかわらず違いはなかったのである(先代ステップワゴンはスパーダを含む全車全幅1695mmの5ナンバー)。

車幅アップは仕方ない!? 安全性と走行安定性のためだった

 ところがだ。新型ノア&ヴォクシーは標準車、エアログレードともに全幅1730mm。6代目となる新型ステップワゴンも全幅1750mmに統一され、3ナンバーミニバンとなったのだ。ユーザーの中には、5ナンバーボディだから親しみやすく、扱いやすいからノア&ヴォクシーやステップワゴン、セレナに決めた……という人もいるはずで、5ナンバー派にとって、新型モデルのボディサイズ拡大は、裏切られたと感じてもおかしくないかも知れない。

今やカローラですら3ナンバーサイズに!! 安全基準などをクリアするには5ナンバーはもうキツイ!?

 だが、周りを見渡してみると、世界のコンパクトカーの基準となり続けているVWゴルフでさえ全幅1800mm(先代)、その下のVWポロでさえ全幅1750mmだ。日本を代表するコンパクトカーのトヨタ・カローラも全幅1745mmもある時代なのだ。世の中のクルマがどんどん幅広くなっている……と嘆くかも知れないが、それが現実でもある。理由はもちろん居住性の向上もあるが、忘れてはいけないのは、側面衝突での安全性確保のためのワイドボディ化、そして走行安定性を高めるワイドトレッド化である。

車幅で税金が変わるのは昔の話!! 今は排気量で支払額が変わる

 ところで、今でも3ナンバー車は税金が高い!! と思ってはいないだろうか。実は、車幅で税金が異なることはない。自動車税の税額は、排気量によって決まるのである。極端な例を挙げれば、エンジンの排気量が999ccの自家用車の場合、自動車税が29500円と安く済むものの、車幅が1701mm以上であれば、ナンバーは3ナンバーとなるのである。具体例を挙げれば、VWのコンパクトSUV、T-CROSSのエンジンは999ccターボながら、全幅が1785mmあるため、3ナンバーというわけだ。

 つまり3ナンバーだからと言って、税金が高くなることはない。1998ccのエンジンを積んでいる場合、全幅が1695mmなら5ナンバー、全幅が1730mmなら3ナンバーになるだけ。自動車税は同額だ。ただし、エンジンの排気量が2001cc以上だと、全幅が5ナンバー枠に収まる1695mmでも3ナンバーとなる。

新型ノア/ヴォクシーは車幅アップも全長は減! 運転のしやすさは向上

新型ノア/ヴォクシーの車幅アップが注目されがちだが、じつは先代モデルのエアロモデルよりも全幅が小さくなっているのだ

 さて、本題に戻ろう。新型ノア&ヴォクシーとステップワゴンが全車3ナンバー化された件である。エアログレードのみになったヴォクシーの場合、実は先代の車幅はエアロパーツによって1735mmだった。それが新型はノア&ヴォクシーともにエアロ、非エアログレードを問わず全幅1730mmになったのだから、ヴォクシーのエアログレード比較では、新型が5mm幅狭くなったとも言えるのだ。

 ちなみにトレッドは先代のエアログレードでフロント1500mm、リヤ1480mm。同新型はフロント1500mm、リヤ1515mmと、リヤのみ広がっているが、それは走行安定性を高める効果もあり、しかしリヤで僅か15mmの拡大でしかない。

 また、ボディ全長は5ナンバー時代の先代とまったく同じ4695mm(エアログレードは先代の4710mmから4695mmに減少)。最小回転半径も5・5mをキープしているから、全車3ナンバーになった新型ノア&ヴォクシーが、先代より大きく走りにくいということにはならないと考えていい。

 運転席に着座すれば、新型の巨大なフロントウインドー、極細Aピラーと大型三角窓、すっきりとしたインパネデザインによって、むしろ先代より運転のしやすさを実感できるほどなのである。

まさかのステップワゴン巨大化も取り回しはむしろ向上か!?

一方、新型ステップワゴンは3サイズともに拡大。だが最小回転半径が5.4mのため、取り回し性に大きな差はないのだ

 新型ステップワゴンは先代が全車全幅1695mmだから、標準車、エアログレードのスパーダを問わず5ナンバーだった。それが新型ではいきなり全車全幅1750mmとなり、ステップワゴン史上初のワイドボディ化、3ナンバー化されたのだ。

 トレッドも先代のフロント1470mm、リヤ1485mmから、新型はフロント1485mm、リヤ1500mmに広げられている。ただし、それは走行性能に寄与したとしても、スパーダ同士で全長70mmの拡大(4760mm→4830mm)は気になるものの、16インチタイヤ装着車の最小回転半径が5・4mをキープしていることから、車幅55mmの拡大による3ナンバー化が、そのまま運転のしやすさに大きく影響するとは言い難い。

 余談だが、筆者が80年代後半、新車のならし運転で京都を訪れた際、観光地の駐車場の一部に「3ナンバー、外車お断り」なんていう張り紙があったのを思い出すが、今では地方でもそんな駐車場などまずないはずだ。

3ナンバー化はメリット多し! 進化の度合いはお見事すぎた

 結論としては、車幅1695mmが1800mmオーバーになったとしたら、慣れるまで運転しにくいと感じるかも知れないが、1695mmから1750mm程度の車幅アップは、運転においてほとんど気にならないレベルではないだろうか。繰り返しになるが、走行性能や側面衝突の安全性の向上といったメリットのほうが上回ると言っていい。

 ちなみに日本の道でも車幅1800mm以下ならまず困らない。5ナンバー時代から乗り継いでいるロイヤルカスタマーも多いトヨタ・クラウンが車幅1800mmを守っているのもそのためなのだ。

 いずれにしても、3ナンバー専用ボディとなったノア&ヴォクシー、ステップワゴンともに、3ナンバー化に躊躇することなどまったくナンセンス。そんなことより中身の飛躍的な進化に目を向けるべき2台なのではないだろうか。

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