4月21~24日、クロアチアの首都ザグレブを拠点にWRC世界ラリー選手権2022年シーズンの第3戦『クロアチア・ラリー』が行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が優勝した。若き“フライング・フィン”が早くも今季2勝目を上げた同イベントの終了後、TOYOTA GAZOO Racingの豊田章男チームオーナー(トヨタ自動車社長)から恒例のコメントが発表されている。
今シーズン最初のフル・ターマック(舗装路)ラリーとして行われた第3戦クロアチアでは、週末をとおして続いた不安定な天候に各選手とチームが頭を悩ませるなか、GRヤリス・ラリー1を駆るロバンペラが初日から独走。しかし、21歳のフィンランド人ドライバーは土曜日にタイヤトラブルに見舞われ、後続車対して築いた1分以上のリードを失ってしまう。また、2番手と19.9秒差で迎えた最終日の24日(日)には予想外の雨によって最終ステージを前にオット・タナク(ヒョンデ[旧ヒュンダイ]i20 Nラリー1)にリードを奪われた。
1.4秒のビハインドで迎えた最終SS20、ロバンペラはこのステージで圧巻のスピードを披露。ライバルのタイムを5.6秒上回るステージベストタイムを記録し見事、再逆転での優勝を果たしている。
チームメイトのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、初日の2度のタイヤトラブルを乗り越え、今季初入賞となる総合5位でフィニッシュ。日本人WRCドライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合6位で続いた。
豊田氏のコメントの中で「君が速いドライバーだということは5年前からわかっている」と評されているエサペッカ・ラッピ(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、SS1でのクラッシュによりデイリタイアを喫した後、2日目に再出走を果たし計4本のSSでベストタイムをマークしている。
そんな活躍をみせた、TOYOTA GAZOO Racingのオーナーである豊田氏のコメント全文は以下のとおりだ。
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豊田章男(チームオーナー)
カッレ、ヨンネ、優勝おめでとう!
昨年、ふたりはSS1でリタイアしていました。今年のクロアチアで、ふたりがなんとしても雪辱を果たすことを願って見ていたので本当にうれしい! パワーステージでの逆転はすごかった! 優勝決定後のオーディエンスのカッレコールも感動でした。
天気も安定せず、決して楽なラリーではなかったと思いますが、カッレは最初からリスクを取った走りをしてくれていました。タイヤにダメージを負っても落ち着いて走り続け、追い上げられても逆に引き離していくほどの走りをしてくれていました。まだまだシーズンは始まったばかりです。今後も、さまざまな道で頼もしい走りを見せ続けて欲しいと思います。
チームはスウェーデン戦からの2カ月でさまざまなテスト走行をしてくれていました。今回のカッレの走りも、そんなチームの努力の表れだと思います。みんなの努力に感謝したいと思います。ここからは数週間おきにラリーが続いていきます。2カ月の頑張りが、さらによい結果となって表れることを願っています。
今回のラリーではウェザークルーと気象予報士、そしてグラベルクルーたちもがんばってくれていたと聞きました。毎朝4時起きで現場に入って情報を送り、路面の変化を予想してくれていたそうです。天候不順だったこともあり、かなり難しい判断の連続だったとのこと……。WRCはチーム全員での戦いであることを改めて感じました。
エルフィンは途中タイヤを傷めて後退しましたが、最後まで走り切ってくれました。今シーズンは悔しいラリーが続いていますが、ここで気持ちが切り替わったと思います。また次からよろしく頼みます。
エサペッカには一言……「焦らなくていいよ、落ち着いて!」君が速いドライバーだということは5年前からわかっているし、フィンランドの道でつくったGRヤリスのラリーカーが君に合わないわけがない。だから、落ち着いた走りさえしてくれれば、次から、きっと結果がついてきます。貴元はターマックでの経験をまたしっかり積み重ねてくれました。この経験は11月のターマックラリー、『ラリージャパン』にも繋がっていくと信じてます。その日を楽しみにしてますね。
いよいよシーズン中盤に入っていきます。チームのみんなは、勝利の数やタイトル獲得は意識せずに、とにかく“もっといいクルマづくり”を続けてください。そうすれば必ず結果もついてきます。そして、なによりトヨタのクルマづくりの力につながっていきます。エキサイティングなラリーを見せること、そして、もっといいクルマづくりを続けることで、応援してくださるファンの皆さまに恩返しをしていきましょう。
ファンの皆さまも、引き続き応援よろしくお願いいたします。