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 スーパーバイク世界選手権(SBK)オランダラウンドがTT・サーキット・アッセンで行われ、レース1とスーパーポール・レースはジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)、レース2ではアルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が優勝した。野左根航汰(GYTR・GRTヤマハ・ワールドSBKチーム)はレース1で17位、スーパーポール・レースでは14位だったが、レース2では転倒リタイアだった。

 オランダラウンドは、開幕戦をけがにより欠場したマイケル・ファン・デル・マーク(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)が復帰した。また、TPRチームペデルチーニレーシングから今季4戦のワイルドカード参戦が報じられていたレオン・ハスラムは、ロリス・クレッソンのチーム離脱により今大会にエントリーしている。

■レース1:レイ、接戦の優勝争いを制す

 レース1は気温18度、路面温度29度のドライコンディションでスタート。ホールショットを奪ったのはポールポジションスタートのトプラク・ラズガットリオグル(パタ・ヤマハwith BrixxワールドSBK)、2番手にはアンドレア・ロカテッリ(パタ・ヤマハwith BrixxワールドSBK)、3番手にレイ、4番手にアレックス・ロウズ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)が続く。

 レイは1周目にロカテッリをかわして2番手に浮上。トップを走るラズガットリオグルの背中にぴたりとつけると、4周目のメインストレートでラズガットリオグルをオーバーテイクした。

 トップに立ったレイと2番手に後退したラズガットリオグルは、ポジションを入れ替えても僅差を保ち緊迫した展開となる。その二人の後方には、3番手のロカテッリ、4番手のロウズ、5番手のバウティスタが続き、レースが中盤に入るとバウティスタがロウズをパスし、さらにロカテッリをかわすと3番手に浮上した。
 
 バウティスタはさらにトップのレイ、そのすぐ後ろを走る2番手のラズガットリオグルに猛然と迫る。一時は1秒以上あったギャップが12周目には0.5秒を切るまでになり、残り10周にはトップのレイ、2番手のラズガットリオグル、3番手のバウティスタがほぼワンパックとなった。
 
 残り9周、1コーナーでラズガットリオグルがレイに仕掛けるも止まり切れず、レイがトップをキープ。ラズガットリオグルは最終セクターでレイをオーバーテイクすることに成功するも、残り6周目の1コーナーではレイがトップを奪い返した。ラズガットリオグルはさらにバウティスタにもかわされ、3番手に後退する。
 
 2番手に浮上したバウティスタはさらにレイにも迫る。3番手のラズガットリオグルもバウティスタのすぐ後ろをキープ。残り2周に入ってレイから遅れ始めたバウティスタだったが、最終ラップには再びその差を詰める。しかし0.103秒及ばず、レイがトップでフィニッシュラインを通過した。
 
 レイは今季2勝目を飾り、2位はバウティスタ、3位はラズガットリオグル。奇しくも開幕戦アラゴンラウンドのレース1と同じ顔ぶれが同じ順位で表彰台を獲得した。
 
 4位はロカテッリ、5位にはイケル・レクオーナ(チームHRC)が入った。一時は3番手争いを展開したロウズは、マシントラブルによりピットに戻り、リタイアしている。野左根はファン・デル・マークと15番手争いを展開していたが、トラックリミット違反によってロングラップ・ペナルティを受けて14周目にこれを消化し、17位だった。

■レース2:レイとラズガットリオグルが転倒リタイア、バウティスタが優勝を飾る

 スーパーポール・レースは、グリッド上でガブリエル・ルイウ(ビーマックス・レーシング)のバイクに問題が発生し、スタートがディレイとなった。この影響で周回数は9周に短縮されて行われた。優勝を飾ったのはレイで、カワサキで挙げた100勝目となった。レイはSBKにおいて一つのメーカーで100勝を達成した初めてのライダーとなった。

 2番手でフィニッシュしたのはバウティスタ、3番手はラズガットリオグルだったが、バウティスタは最終ラップにトラックリミットを違反したことで1ポジション降格となり、最終結果は2位がラズガットリオグル、3位がバウティスタとなった。野左根は14位だった。

 レース2は気温14度、路面温度26度のドライコンディションで行われた。好スタートを切ったのは2番グリッドスタートのラズガットリオグルだった。ホールショットを奪うと、2番手にはロカテッリが続き、3番手にはバウティスタ、4番手にはレクオーナが続く。遅れをとったレイは5番手を走行し、オープニングラップにはギャレット・ガーロフ(GYTR・GRTヤマハ・ワールドSBKチーム)と接触。ともに転倒はなかったが、ガーロフはその後リタイア、レイはレースを続行している。
 
 レイは2周目にレクオーナをかわし、さらに3周目にはロカテッリをパスして3番手にポジションを上げた。一方、トップを走るラズガットリオグルに2番手のバウティスタがオーバーテイクを仕掛ける。この二人が攻防を繰り広げる間にレイが接近していく。
 
 4周目にバウティスタをかわし2番手に浮上したレイは、さらにラズガットリオグルに迫った。しかし2コーナーでラズガットリオグルがワイドになり、そのインサイドに入ったレイがスリップダウン。二人はともに転倒を喫し、トップ争いを展開していた二人がリタイアとなった。

 ラズガットリオグルとレイがリタイアすると、バウティスタが再びトップに立つ。2番手にはレクオーナ、3番手にはロカテッリが続く。バウティスタは次第に2番手のレクオーナを引き離していき、独走態勢を築いた。

 2番手を走るレクオーナもほぼ単独の走行だったが、レース中盤に入ると3番手のロカテッリが少しずつ差を縮めていく。残り8周にはその差が0.5秒を切るまでになった。さらにレクオーナに接近したロカテッリは、残り4周でレクオーナをオーバーテイク。ロカテッリが2番手に浮上し、レクオーナが3番手に後退した。
 
 バウティスタは最後まで独走態勢を維持し、2位に8秒以上のアドバンテージを築いて優勝を飾った。2位は終盤にポジションを上げたロカテッリ、3位はレクオーナだった。今季、MotoGPからSBKに戦いの場を移したレクオーナは、SBKで初の表彰台を獲得している。
 
 ロウズ、スコット・レディング(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)、アクセル・バッサーニ(モトコルサ・レーシング)によって争われた4位は、これを制したロウズが獲得。5番手でフィニッシュしたバッサーニに対し、レース後、トラックリミット違反による3秒加算のペナルティが科されたため、5位はレディング、6位はレディングだった。野左根は1周目の1コーナーで転倒を喫し、リタイアでレース2を終えた。

■WSS300レース2で岡谷が3位表彰台を獲得

 スーパースポーツ世界選手権(WSS)のレース1は、14周目に発生した転倒により赤旗終了となり、ドミニケ・エガーター(テンケイト・レーシング・ヤマハ)が優勝、2位がグレン・ヴァン・ストラーレン(EABレーシングチーム)、3位がニコロ・ブレガ(Aruba.itレーシング・スーパースポーツ・チーム)だった。レース2もエガーターが優勝し、オランダで2連勝を飾った。2位はレース1で転倒を喫したロレンソ・バルダッサーリ(エヴァンブロス.ワールドSSPヤマハチーム)、3位は同じくレース1で転倒したジャン・オンジュ(カワサキ・プチェッティ・レーシング)だった。
 
 スーパースポーツ300世界選手権(WSS300)では、レース1でビクター・スティーマン(MTMカワサキ)が優勝、2位がサミュエル・ディ・ソラ(リーダーチーム・フレンボ)、3位がブルーノ・イェラッチ(プロディーナ・レーシング・ワールドSSP300)、岡谷雄太(MTMカワサキ)は3位のイェラッチに0.124秒差の4位だった。レース2では岡谷が3位争いを制して今季初の表彰台を獲得した。優勝はユーゴ・デ・コンセリス(プロディーナ・レーシング・ワールドSSP300)、2位はアルバロ・ディアス(アルコ・モーター・ユニバーシティ・チーム)だった。