ル・マン24時間レースのオーガナイザーであるACO(フランス西部自動車クラブ)は5月23日、6月11〜12日に決勝レースが予定されている第90回ル・マン24時間レースの名誉スターター、グランドマーシャル、および“スピリット・オブ・ル・マン”の受賞者を発表した。
トタルエナジーズのCEOであるパトリック・プヤンヌが62台のマシンをスタートさせるフラッグを振り、ル・マンを2度制したジェラール・ラルースがグランドマーシャルを務める。
さらにIMSAおよびNASCARの会長であるジム・フランスが、“スピリット・オブ・ル・マン”を受賞する。
トタルエナジーズ社は、ル・マンにおいてすべての車両で使用される再生可能燃料“エクセリウム・レーシング100”を今季から供給している。ワインの残滓から作られるこのバイオエタノール燃料は、すでにWEC世界耐久選手権とELMSヨーロッパ・ル・マン・シリーズにおいて、2022年シーズン冒頭から使用されている。
グランドマーシャルを務めるラルースは、1973年と1974年にマトラからル・マンに参戦し、いずれもアンリ・ペスカローロをコ・ドライバーに迎えて優勝している。また、1969年と1970年にはポルシェで2位を獲得。1974年に最後にル・マンに出場した後、彼は自分の名前を冠したF1チームを共同設立した。
2019年のハーレイ・ヘイウッド、2020年のエマニュエーレ・ピロに続き、昨年はデレック・ベルがグランドマーシャルを務めていた。
「グランドマーシャルに選ばれてとても光栄だ」と81歳になったラルースはコメントしている。
「ル・マン24時間は私の人生そのものであり、ACOのおかげで私はこのイベントの中心に立つことができる。これらの豪華な顔ぶれを前にし、おそらくは特別なものになるであろうレースを、先導してスタートするのが待ちきれない」
■過去には3人の日本人も受賞した“スピリット・オブ・ル・マン”
“スピリット・オブ・ル・マン”は、耐久レースの分野で多大な貢献をした人物に贈られるトロフィーだ。ACOによれば、この賞は「コミットメント、チーム・スピリット、競争心によって永続的なレースの価値を支持する」人物に、敬意を表すものである。
過去、日本人では29回ものル・マン出場を誇る寺田陽次郎氏、ニッサンのグループCエンジンを開発した後、東海大学を率いてル・マンに挑んだ林義正氏、そして元TMG代表を務めた木下美明氏が、このトロフィーを受賞している。
今回のジム・フランス会長の受賞は、ACOとIMSAがLMDh規格の創設によって達成した、プロトタイプレースのコンバージェンス(収束・収斂)を受けてのものとなる。LMDh車両は2023年から、欧米両シリーズのトップカテゴリーに参戦が可能となる。
両オーガナイザーの結束を示す取り組みとしては、サルト・サーキットのミュルサンヌ・ストレート上に位置する第1シケインが『デイトナ・シケイン』に、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイのバスストップは『ル・マン・シケイン』に改名されることが、すでに2022年1月に発表済みだ。
「過去10年にわたりACOと築いてきた関係に大きな誇りを感じている」と、フランスはコメントしている。
「IMSAとACOは、世界中のプロフェッショナルな耐久スポーツカーレースの管理者であり、ともに非常に明るい未来へのプラットフォームを構築してきた」
「親しい友人である(ACO会長の)ピエール・フィヨンやACO理事会のメンバーから、名誉ある“スピリット・オブ・ル・マン”トロフィーを授与されることになり、大変光栄に思っている」
「多くの尊敬すべき歴代受賞者の仲間入りをすることは、私と私の家族にとって、一生の宝物になるだろう」
ACO会長のフィヨンは、次のようにコメントしている。
「パトリック・プヤンヌ、ジェラール・ラルース、ジム・フランスを迎え、光栄に思うとともに、今年のイベントへの彼らの貢献に感謝している」
「新しい燃料、画期的な勝利、歴史的なパートナーシップに関連するこの3人は、ル・マン24時間の特徴である革新性、歴史、勝利への姿勢、チーム・スピリットを体現している」
「今年我々は、人数制限なく何万人ものファンを人数制限なく迎えることを、とりわけ楽しみにしている」