2022.05.21 - 全日本ラリー選手権 第4戦 YUHO RALLY TANGO supported by Nissin Mfg Leg1
苦闘のなか上位を目指すSUBARU勢
5月21日(土)、2022年全日本ラリー選手権第4戦『YUHO RALLY TANGO supported by Nissin Mfg』の競技初日が行われました。スバルWRX STIの鎌田卓麻/松本優一がJN1クラスの5番手、新井敏弘/田中直哉がJN1クラスの7番手につけており、さらなる順位アップを目指して最終日に挑みます。
■打開策を探る新井、トラブルを乗り越え順位を維持した鎌田
全8戦で開催される2022年シーズンの全日本ラリー選手権。その折り返しとなる第4戦は、丹後半島を舞台として開催されます。5月21日(土)に行われた初日は、終日曇り空で路面はドライという、安定したコンディションのもとで行われました。
SUBARU勢は、SS1で新井が6番手タイムをマーク、その新井から0.1秒差の7番手タイムで鎌田が続くかたちでスタートを切ります。鎌田は続くSS2、SS3と順調にタイムを伸ばしますが、午後のステージに入ってリヤデファレンシャルにトラブルが発生。SS5ではガードレールにヒットしてしまいますが、このSSのトップタイムから8.7秒差と、タイムロスを最小限に抑えてJN1クラス5番手のポジションを守り、この日をフィニッシュ。サービスでマシンを修復し、最終日にポジションアップの機会を狙います。
一方の新井は、持ち込んだセットアップが路面と合わず、SS1とSS5で刻んだ6番手タイムが最上位という戦いを強いられます。原因を究明してペースアップを図るべく、最終日に向けた準備を進めています。
なお、スバルBRZが参戦するJN3クラスでは、竹内源樹/木村悟士がクラス首位と8.6秒差の2番手につけています。逆転を期して、最終日に行われる6SSに臨みます。
■鎌田卓麻「クルマを修復してまだまだ頑張ります」
鎌田は、「SS1では失敗してしまいましたが、徐々に調子が上がり、そのままのペースを維持していきたいと思っていました。SS5ではリヤデファレンシャルにトラブルが出て、ガードレールにヒットしてしまったものの、足まわりなどへの影響はありません。今日は下り主体のステージ構成でしたが、明日は上り主体となるので、クルマには優しくなるかなと思います。上位の選手とは少しタイム差が離れてしまっていますが、クルマを修復してまだまだ頑張ります」と、最終日に向けて前向きなコメントを残しています。
一方、打開策を探る新井は、「不調の原因がまったく分からないので、今日の走行データを全部出して確認しないといけませんね。今回はセッティングとタイヤが合わなかったのが大きかったですね。足まわりを柔らかめにしてきたのが、外れてしまいました。熱に関して大きな問題はありませんが、明日に向けて『コレ』という答えがないのが辛いところです」と、振り返りました。
競技最終日の5月22日(日)は、SS7~SS12の6SSで争われます。初日に走行した3SSを2度逆走するかたちで構成され、SS走行距離は55.92km。それぞれポジションアップを目指すSUBARU勢の力走に応援をよろしくお願いします。
■2022.05.22 - 全日本ラリー選手権 第4戦 YUHO RALLY TANGO supported by Nissin Mfg Leg2
鎌田卓麻が5位、新井敏弘が7位で完走
5月22日(日)に競技最終日が行われた全日本ラリー選手権第4戦『YUHO RALLY TANGO supported by Nissin Mfg』は、スバルWRX STIの鎌田卓麻/松本優一が5位、新井敏弘/田中直哉が7位で完走を果たしました。
■ラリー終盤、好ペースを見せた鎌田。新井も奮闘
ラリー最終日は、SS7~SS12の6SS、SS走行距離55.92kmで争われます。3SSを2度走る構成で、初日に使ったコースを逆に走行します。前日をJN1クラス5番手で終えている鎌田は、コンスタントにタイムを並べ、順位をキープ。午後のステージでは、連続してSS4番手タイムをマークするなど上位を目指しますが、最終的に5位でラリーを終えています。
前日の走行データを元にセットアップを変更した新井は、多少の改善を得たものの、前後のタイム差が開いているため、次戦のモントレーも視野に入れたテストも兼ねて走行。前日同様の7位で完走を果たしています。
また、JN3クラスに新型スバルBRZで参戦していた竹内源樹/木村悟士は、この日の後半で2度のベストタイムをマークし、クラス2位を獲得。開幕戦以来、熾烈な戦いが続くJN3クラスで存在感を見せ続けています。
■鎌田卓麻「性能は完璧に引き出すことができた」
前日発生したマシントラブルについては、部品を交換して完全に修復できたと語る鎌田。最終日を振り返って「現在、僕たちが持っているクルマの性能は完璧に引き出すことができていると思います。ただ、ライバルも速いので、もっともっとスピードを上げていかなければなりません。今回のラリーを終えて新たに分かったこともあるので、ここから先は、1kmあたり0.1秒ずつを詰めていく細かい作業になっていくと思います。まだまだやるべきことはあります」と、気持ちを新たにしています。
浮上のきっかけをつかみ切れず7位でラリーを終えた新井は、「セッティングを変えて、いくらか良くはなりましたが、上位とのタイムを詰めるほどの違いとは言えませんでした。現状クルマ側でやれることは、足まわりのセットアップですが、モントレーに向けて何をすべきかを考えなければならないと思います。次戦は地元群馬県のモントレーですから、なんとか巻き返しを図りたいと思います」と、次戦のモントレーに向けて意気込みを語りました。
■ディーラーメカニックコメント「自分で行った作業への大きな責任を感じました」
・担当車両:WinmaX DLシムス WRX STI
・原田純弥
・山口スバル株式会社宇部店 メカニック
すでにモータースポーツ派遣プログラムに参加したことのある会社の先輩などから『いい経験だから』と後押しされ、貴重な体験だと思い参加を決めたという原田。とはいえ、実際のラリーに触れるのは、これが初めての経験。車両の左フロントを担当として任されました。
「色々大変ではありましたが、楽しかったです。30分や45分で実施する内容の濃さは、普段の業務とまったく違いました。そのなかでミスをしないのはもちろん、どうやったら効率良くすべてをこなせるかを考えて取り組みました。クルマがサービスに入ってから出ていくまで、頭がフル回転で疲れも出ましたが、やりがいを感じました。チームの皆さんも良くしてくれて、和気あいあいと楽しく3日間楽しんで取り組むことができました」
普段の業務ではひとりで作業を行うことが多いディーラーですが、ラリーメカニックならではのチームワークに新たな気づきもあったと語ります。
「自分がやっている作業状況の報告、やっていることをしっかり目で見て、次に自分が何をするか。そうした判断をする力を、すごく学べたと思います。鎌田選手のクルマが帰ってくる直前には、全員がある程度のプランを共有して取り組むのですが、プロのラリーメカニックの方から的確な指示をもらえますし、もし指示がなかった場合でも、自分が何をするかを汲み取れるような現場の雰囲気があって、何も迷うことなく作業をこなせました。そうした点は、職場に戻っても活かせるんじゃないかなと思いました」
また、クルマを整備してドライバーを安全に送り出すという点においては、「それは普段のお客様でも一緒ですが、自分で行った作業への大きな責任を感じました。今まで店舗で行っていた点検、整備が日々の繰り返しになっていないか、あらためてしっかり振り返り、今以上にやっていかないといけないなと感じました」と、日々の業務への見直しにもつながったと語ります。
最後に、店舗にもどって後輩たちに伝えたいことを聞くと、「僕もそうだったのですが、自分の技量で大丈夫かなと不安に思うこともあるかもしれませんが、スキルアップにもつながるし、チャンスがあればぜひ応募した方がいいと伝えたいですね。僕もまた来たいです」と笑顔で応えてくれました。
次戦は6月10日~12日に開催される第5戦『MONTRE 2022』です。群馬県富岡市を拠点として行われる舗装路(ターマック)ラリーは、2022年シーズン開幕から続くターマックラリー5連戦最後のイベント。スバルWRX STIが見せる力強い走りにご期待ください。