WRC第3戦クロアチア・ラリー デイ2
困難な状況を切り抜けロバンペラが首位を堅持
エバンスは総合5番手に順位を上げる
4月23日(土)、2022年FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦クロアチア・ラリーの競技2日目デイ2が、クロアチアの首都ザグレブのサービスパークを中心に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1 69号車)が首位を守り、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は総合5番手に順位を上げました。また、前日のデイリタイアを経て再出走したエサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(4号車)は、総合53番手につけています。
クロアチア・ラリーのデイ2は、サービスパークの南西エリアと、アドリア海に近い西側エリアが戦いの舞台に。デイ1は大半が雨の降るなかで行われましたが、デイ2では午前中のSS11以外にまとまった降雨はありませんでした。
しかし、それでも午前中は湿っていたり、濡れていたりする場所も多く、チーム内でもタイヤ選択は大きく異なりました。デイ1の走行が終了した時点で総合2位につけていた選手が、その晩ペナルティタイムを課せられて後退したことにより、首位ロバンペラと1分23.3秒差の総合2番手には、オィット・タナックが浮上。ロバンペラとタナックはいずれもソフトタイヤを2本、雨用のウェットタイヤを4本と、同じタイヤ選択でデイ2午前の4本のステージに臨みました。
デイ1で全8ステージのうち6ステージでベストタイムを記録し、首位に立ったロバンペラは、デイ2では後方10番手からのスタートとなりました。そのため、前走車によって掻き出された多くの砂利や泥が舗装路面に広がり、ロバンペラは前日とは逆に不利な路面コンディションでの走行を余儀なくされました。
そして迎えたSS11は濃い霧が立ちこめ、降雨により路面は完全なウェットコンディションに。ロバンペラが選んだ4本のウェットタイヤが、その効果を発揮するはずでした。ところが、ロバンペラは左前輪にダメージを負い、その状態で長い距離を走り大幅にタイムロス。1分12秒以上あった2番手タナックとの差は、一気に18.2秒まで縮まってしまいました。
しかし、ロバンペラは冷静さを保ち、その後は午後にかけてもタイム差をうまくコントロール。SS11の再走ステージであるSS15はコンディションのさらなる悪化によりキャンセルとなりましたが、1日の最後のSS16でロバンペラはベストタイムを記録し、2番手タナックとの差を19.9秒に拡げ首位の座を守りました。
デイ1で2本のタイヤにダメージを負い、大幅にタイムを失いながらも総合6番手につけたエバンスは、デイ2オープニングのSS9でベストタイムを記録し、総合5番手にポジションアップ。その後も2本の2番手タイムを刻むなど安定した走りを続け、順位を守りました。
また、デイ1最初のステージで岩に当たってサスペンションを破損しデイリタイアとなったラッピは、チームのメカニックによって修理されたクルマで再出走。1番手スタートのアドバンテージを活かし、3本のベストタイムと2本のセカンドベストタイムを刻むなど、会心の走りでメカニックたちの努力に応えました。
なお、TOYOTA GAZOO Racing WRTネクストジェネレーションからトヨタGRヤリス・ラリー1で出場の勝田貴元は、2本のステージをタイヤの空気が抜けた状態で走りタイムを失いましたが、それでも前日よりひとつ順位を上げ、総合6番手で1日を終えました。
■ヤリ-マティ・ラトバラ(チーム代表)コメント
「今日もドライバーにとって大変な1日になり、とくにSS11は雨と霧が酷く、カッレ(・ロバンペラ)は問題を抱えながら走ることになりました。そのせいでリードを大きく失いましたが、よく耐えたと思います」
「選手権争いを考えると、コースオフにつながるようなリスクは冒せなかったので、難しいコンディションの時はクレバーに走り、最終ステージのクリーンなコンディションでは、ハードに攻めることができると判断し、素晴らしい走りでリードを20秒近くまで拡大しました。明日は概ねドライコンディションになりそうなので、カッレにとっては好都合ですし、きっとうまくいくはずです」
「エサペッカ(・ラッピ)の今日の走りは、正直なところ我々の想像以上でした。それだけに、昨日のことがなければと残念に思いますが、彼のスピードを目の当たりにして非常にポジティブな気持ちです。エルフィン(・エバンス)については、簡単にはいかない状況が続いていますが、今はとにかく最後まで走りきり、ポイントを獲得することが重要です」
■明日のステージ情報
最終日となる4月24日(日)のデイ3は、サービスパークの北側で2本のステージをサービスを挟むことなく各2回走行します。そのうちSS17/19は今回初めて使われる新ステージとなり、SS18の再走ステージとなるSS20“ザゴルスカ セラ-クムロベック 2”は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられるパワーステージに指定されています。4本のステージの合計距離は54.48km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は374.42kmとなります。