| 現在、ガソリンエンジン搭載のスポーツカーは世界中で「死刑宣告」がなされている |
それでもなんとか発売、そして販売してくれる自動車メーカーには感謝
さて、GR86は現在日本でも非常に高い人気を誇っており、毎月日本自動車販売協会連合より公表される販売ランキングにおいてもスポーツカーとしては異例の好ポジションにつけていて、継続的に売れていることもわかります。
海外だと北米では発売済み、しかし英国ではちょっと遅めの発売となっていて、日本円だと約490万円にて先日販売が開始されたばかり。
ちなみに英国での販売については「2年間のみ」の限定販売で、(台数は明かされていないものの)その期間通じての販売台数が決められており、事実上の「台数限定販売」。
なぜイギリスでは「台数限定」?
なお、イギリスでGR86の販売台数が制限される理由については明かされていないものの、しかしこれは衝突安全基準や環境基準を満たせなくなる可能性が高いからだと見られています。
ちなみに英国だとジムニーが環境性能を満たせずに一旦販売終了となり、「商用」へと改装した仕様にて販売が再開され(商用だと環境性能の基準がゆるい)、マツダ・ロードスターだと英国含む欧州にて2リッターエンジン版の販売が停止もしくは制限されています(英国ではエンジンを1.5リッターと2リッターとの間で選択できる)。
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ロードスターを例に取ると、「2リッターエンジン搭載車の販売比率が増えれば、全販売台数の排出するCO2の総量が増えてしまう」ため、マツダはCO2排出総量を超えると多額の罰金を支払わなくてはならなくなり、しかしブランドの人気を維持するためにはパワフルな2リッターエンジンも必要で、そのため「ギリギリ罰金を払わなくても済む、もしくは許容できる罰金に収まる」台数を設定し、その台数を販売する、ということですね。
そしてGR86に話を戻すと、「台数に制限が設けられる」ところからしてマツダ・ロードスターと同じ例だと考えられ、つまりは「環境規制をクリアすることが難しい」しかし「トヨタ、そしてGRブランドのためには販売しないわけにはゆかず」限定台数を設定したのだと考えられます。
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しかし2年分の台数は90分で売り切れる
ただ、今回「イギリスでは、GR86の販売開始90分後に2年分の台数すべてが完売」したと報じられており、トヨタは「販売台数を増加させたり、生産期間を延長することもない」とコメントし、キャンセル待ちを受け付けている状態なのだそう。
GR86につき、当初英国では限定販売の予定はなく、多くのメディアを招いての試乗会を開催するなどしていましたが、上述の事情の通り発表直後に限定販売という形になるとアナウンスされてしまい(他の国や、英国メディアの反応を見て、「このままだと相当な台数が売れてしまう」と考えたのかも)、そして英国での販売までに他の国でどんどん発売され、それらの情報が出回ることで「英国市場における飢餓感」が高まった可能性がありそうです。
もちろん「転売」を目的とした購入もかなりの数があると思われ、様々な事情があいまって今回「90分で完売」ということになったのだと考えられますが、同じ右ハンドル国ということで、日本から多くのGR86が並行扱いにて輸出されることになるのかも。
やはりGR86の価格設定は正解だった
英国トヨタのオペレーション・ディレクター、マーク・ロデン氏は「GR86の驚異的な反響は、GR86が、手頃な価格でスリリングなドライビングを楽しめるサラブレッド・スポーツカーとしての役割を果たしていることの表れです。Gazoo Racingで開発されたGRスープラやGRヤリスは、競技用にチューニングされた性能とハンドリングで話題を呼び、GR86への期待感を高めたのです」ともコメント。
現在多くのスポーツカーが高出力・高性能化によって価格を上げてしまっていますが、トヨタはGR86について可能な限り価格を維持することを考えていて、それはもちろん「スポーツカーを買いやすくしたい」という思いから。
そのため(主に北米で)ターボがない、パワーが不足しているという批判を浴びながらもターボエンジン装着を見送り、それによってコストを下げ、代わりにチューナーとの協力によって「ユーザーがGR86後、自身でカスタムやチューンを行うことで、自分やクルマも成長できる」環境を作り上げているようにも思います。
そして現在の販売状況、人気っぷりからみて、その戦略は正しかったと考えてよく、ユーザーがGR86に手を加えることによって愛着が増し、それによってGR86を取り巻く環境もまた盛り上がり、多くのスポーツカーのように「話題になるのは発売直後だけ」ではなく、長きに渡ってその人気を維持することになりそうですね。
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