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タイムマシン仕様の実車デロリアンを作った人がLEGOデロリアンを組み立てるとどうなるの?

 北米の小さな自動車メーカーが製造した個性的なクルマは、知る人ぞ知るというようなニッチな存在だったが、映画への起用によって世界中に多くのファンを持つこととなった。それがデロリアンだ!

 映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズに登場するデロリアン型タイムマシンへの愛が高じて、本物そっくりのレプリカを作り上げてしまった日本人がいる。今回はその人物をレポートする!

文/加藤久美子、写真/加藤博人

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■日本の公道を走れる世界でただ1台のタイムマシン仕様デロリアンとは?

公道を走れるBTTF仕様デロリアンのオーナー津和さん(右)と、デロリアンを30年間所有し、DOC(DeLorean Owners Club)副会長でもある橋本さん(左)

 世界中で愛される映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(以下BTTF)シリーズに登場し、一躍、主役級の人気となったクルマと言えば「デロリアン」をベースにしたタイムマシンである。

 3つのシリーズに登場するタイムマシンはそれぞれ仕様が異なるが、ベースはいずれもイタリアデザイン界の巨匠ジウジアーロによってデザインされたDMC12デロリアンだ。

 ガルウィングとステンレススチールのアウターボディパネルが特徴的なデロリアンはBTTFに登場したおかげで世界に広く多くの人々の憧れのクルマとなった。

 発売から40年以上経過していてもこのデザインは未来的でまさにタイムマシンにピッタリ? 唯一無二の存在感と斬新なスタイリングは今なお大きな魅力を放っている。

 日本でも大人気のデロリアンだが、日本には現在200名以上のデロリアンオーナーが存在する。そして、この中にはとんでもないデロリアンを作ったオーナーさんが存在する。

 「とんでもないデロリアン」とはBTTF仕様として非常に高い再現性を実現しつつ、なんと! 保安基準を満たし公道を走れるデロリアンのことだ。

 オーナーさんは関西地方に住む津和敏夫さん。実車を入手する以前からデアゴスティーニの分冊百科『週刊バックトゥザフューチャー デロリアン』(2017年1月発売)で世界的にその名を知られていた方である。

 周囲のデロリアン仲間にそそのかされてまずは内装からBTTF仕様を作り始めたのだが、結果的に世界屈指のタイムマシンデロリアンを完成させてしまった。

 その完成度たるや映画に出てきたデロリアンをしのぐのではないか? というほど高い。BTTFデロリアンの中には、「装着するだけ」(公道走行不可)のキットも複数販売されているが、もちろんそのような類ではない。

■約300のパーツを世界中の仲間の協力を得ながら一つ一つ入手

元々はデアゴスティーニデロリアンの購入から始まり、デアゴスティーニ版のカスタムから、やがて実車購入、さらに……と、話が盛り上がった結果のBTTF仕様だと津和さんは語る

 津和さんは2019年2月に590万円でベースとなるデロリアンを手に入れたものの、最初からここまで気合の入ったタイムマシンを作ることはまったく考えていなかったという。

「デアゴスティーニのコミュニティで世界中の人々がデロリアンを楽しそうに改造しているのを見て、面白そうだな! と。しかし改造するにはもう1セット買う必要があります。

 妻に相談したところ『愛が試されるんじゃない?』と言ってくれて(笑)、購入することに。そして自分でもカスタムパーツを作るようになって海外の仲間たちにもパーツを販売するまでになりました。

 そして2019年2月に実車を入手したことを仲間たちに伝えたところ、『本物のBTTFデロリアンを作ろう!』と盛り上がって来ました(笑)。改造車の保安基準が厳しい日本ですから、最初は内装だけのつもりだったのですが……。

 海外の仲間たちがパーツ探しやパーツ作りに協力してくれてタイムマシン製作に関わる約300のパーツが揃ってきました。ひとつひとつに思い出がありますね。

 近くに住んでいるデロリアン仲間たちも何度も家に来て手伝ってくれました。」

 運輸支局に数か月置きに通って、ついに2021年8月に車検適合までの全作業をおえて構造変更を完了。

 こだわりもスゴイ。BTTFデロリアンのリアビューを象徴する「排気口」これも実は溶接痕まですべて映画と同じ仕様になるよう、超一流のプロである友人が仕上げてくれたという。白い結束バンドも何種類も買って映画に使われたデロリアンの写真とサイズを比較して選定したという。

 海外含めて数百名の仲間たちの協力によって完成した津和さんのBTTFデロリアン。筆者も実車を拝見したが、ロサンゼルスのピーターセン自動車博物館に展示されていた映画で使われたデロリアンよりも完成度が高いのでは? という印象を抱いた。

 完成度が高いだけではなく、厳しい日本の保安基準にも適合させているところが何より凄いこと。堂々と公道を走れるBTTFデロリアンが日本に存在すること自体、実に誇らしく感じる。

■今、話題のレゴ(R)ブロックを津和さんに作ってもらった!

レゴ(R) バック・トゥ・ザ・フューチャー デロリアン・DMC-12。一時在庫切れとなっているが数量限定商品ではないので、随時入荷予定とのことだ

 津和さんのデロリアンに勝るとも劣らない? 話題の『デロリアン』があるのをご存知だろうか?

 4月1日に発売された「レゴ(R) バック・トゥ・ザ・フューチャー デロリアン・DMC-12」である。発売間もない時期に「一時在庫切れ」となるほどの人気です。

 レゴジャパンによると「数量限定商品ではないので5月以降、随時入荷する予定です。映画の根強い人気とターゲットが18歳以上であることが人気の理由だと考えています」とのこと。

 ちなみにこれまでもBTTFレゴは対象年齢10歳以上のモデルが発売されているが、今回のレゴは18歳以上でピース数も大きく違っている。

 3部作に登場してきたデロリアンを1つのセットで作り上げることができ、マーティーのホバーボードや交換可能なナンバープレート、バナナと空き缶などのこだわりアイテムも付属している。

 実車を作った津和さんも早々に入手しており、約6時間という短時間で組み立てたそう。

 なお、津和さんはこれまでにレゴ社非公式のデロリアンを2台作っている。海外のレゴスペシャリストが綿密に作り上げた説明書をもとに、ピースを購入し集めて1台のデロリアンを完成させるというもの。

「説明書を購入してピースを自分で注文して世界中から集めるんですよ。私が作った時には、ピースを集めるのだけで2か月以上掛かりました。金額はトータルで5-6万円位掛かりましたね。」(津和さん)

 4月1日に発売されたレゴ公式のデロリアン。津和さんにその印象を聞いてみた。

「過去に組み立てた2台とよく似ていたので大体予想は出来ていたのですが、その予想をはるかに上回るデロリアンが完成しました。まずはギミックですね。タイヤが変形するギミックがとくに素 晴らしい。組み立てている最中は、これ何になるんやろ? と思っていたんですが、急に出来上がって、『おおお! これかー!』みたいな。感激でした」

 タイムサーキットのディスプレイ、次元転移装置、ミスターフュージョンの完成度も素晴らしい。

 作業工程がとんでもなく多いんですがめちゃくちゃ組みやすいようにパッケージングされています。説明書も最高にわかりやすいです。

 前に作ったのは公式でもなく一般向けでもないので見たことのないテクニックが大量に盛り込まれていて、これはまた別の意味での凄いレゴなんですが、あまりにも完全でこれ以上のカスタムする余地がないというか……。

 今回のレゴ公式のデロリアンは良い意味で『ちょっと足りない』ように仕上げられています。あえて組み直す楽しみを残している。自分でアレンジして組み替える楽しさも含めて公式のレゴは腹8分目にしているのだと感じました」

 さすが、実車を作った津和さんの感想はマニアックではあるが興味深い。BTTFデロリアンの実車を作るのは相当な覚悟が必要になりそうだが、レゴなら約2万円でBTTFデロリアンの世界に浸ることができる。

 今なお、売り切れのサイトもあるが、間もなく入荷とのことなので公式サイトなどで情報を確認してみて欲しい。

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