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日産サクラ

 

アリアのデザインテイストも投入された新型サクラ

 

日産サクラ日産のバッテリーEV攻勢が始まった。話題をまいたアリアの余韻が冷めやらぬなか、5月20日に軽BEV「サクラ」を発表したのである。

新型サクラは、2019年秋の東京モーターショーに参考出品した軽自動車サイズのBEVコンセプトカー、「ニッサンIMK」の量産モデル。ベースとなっているのは軽ハイトワゴンのデイズで、フロントマスクやリアビューなどに独自の化粧を施し、インテリアもデイズより上質ムードの仕立てとした。

新型サクラのエクステリアは、デイズから力強いキャラクターラインとキックアップしたウインドーグラフィックを受け継いでいるが、フロントマスクなどにアリアの先進的なテイストを注ぎ込んでいる。

Vモーショングリルは、ハイウェイスター似のデザインだ。だが、軽自動車として初めてプロジェクタータイプの3眼ヘッドライトを採用し、ラジエターを必要としないためダミーグリルとした。その中央の日産エンブレムが光るのもゴージャスだ。

リアはデイズと差別化を図っている。格子をヒントにデザインしたLEDコンビネーションランプと赤いガーニッシュが新鮮な感覚だ。2トーンのボディカラーも似合っている。

日産サクラ

 

 

デイズより、より上質感が増した新型サクラ

 

日産サクラインテリアは、水平基調の広がりを感じさせるインパネを採用。メーターは7インチのアドバンスドドライブアシストディスプレイに9インチのナビゲーションを組み合わせた。

インパネは、全面ファブリックのフィニッシャーを組み合わせ他こともあり、デイズより上質感が増している。ステアリングは2本スポークだ。フロア下にバッテリーを敷き詰めているが、パッケージングを工夫してデイズと遜色ないキャビンと荷室スペースを確保した。小物の収納が多いのも親切だ。

アイポイントの高いドライバーズシートに座ってみると、見晴らしはいいし、フロントの見切りや斜め後方の視界も良好だ。ドライバー左手前のシフトレバーは、電制式とした。軽いタッチで操作しやすい。

シートはソフトな座り心地だが、大柄な人でも座りやすいはずだ。後席も不満のない広さを確保し、足元と頭上には十分な空間が残されている。

日産サクラ

 

 

195Nm! 2.0Lガソリン車並みのトルクを誇るモーターを搭載

 

日産サクラプラットフォームはデイズから譲り受けているが、これは遅れてBEVを販売することを考えて、最初から高強度に設計したものだ。駆動方式は前輪駆動で、サスペンションはデイズ4WDと同じように、フロントがマクファーソンストラット、リアはトルクアーム式3リンクとしている。デイズと同じエコタイヤで、試乗車は165/55R15サイズのブリヂストン製エコピアEP150を履いていた。

新型サクラのモーターは、最高出力こそ自主規制枠の上限である47kW(64ps)にとどめているが、最大トルクは2.0Lのガソリンエンジンと同等の195N・m(20.0kg-m)を発生する。車両重量はデイズより200kgほど重い1070kg〜1080kgだ。

バッテリーパックは、フロアトンネルに設置した。バッテリーの総電力量は20kW hと、リーフの約半分である。航続距離は、実際の電費に近いWLTCで180kmだ。エアコンを使ったり、積極的にアクセルを踏んでいくと、130km〜140kmくらいが安全圏か!?

 

 

3つのドライブモードでキャラ変可能。抜群の静粛性

 

日産サクラドライブモードは、「エコ」、「スタンダード」、そして「スポーツ」の3モードだ。リーフやノートでお馴染みの、eペダルも搭載しているからアクセルペダルだけで車速を自在にコントロールできる。

モードを切り替えれば、回生の強弱も変えることが可能だ。最初は「スタンダード」モードを選び、走ってみる。クリープもあるから軽自動車のAT車の運転感覚だ。だが、モーターは一気にパワーとトルクが立ち上がる。だから「スタンダード」モードでもターボ車を凌ぐ気持ちいい加速を披露した。シームレスで滑らかな加速感は、エンジン車には望めないものだ。

次は「スポーツ」モードを選んで走ってみる。加速の伸びが少しだけよくなったように感じるが、刺激的というほどではない。だが、ターボ車より瞬発力は鋭く、さえた加速を披露する。滑らかな加速だから迫力はないが、ターボ車を凌ぐ俊足だ。

しかも、キャビンは驚くほど静かで、高速走行ではタイヤのパターンノイズと風切り音のほうが耳障りと感じるくらい静かだった。また、慣れてくるとアクセルペダルを緩める操作を行うだけで停止の寸前まで減速を行うことができる。これも便利だ。

日産サクラ

 

 

クラスを超越した乗り心地とハンドリング

 

日産サクラ静粛性の高さとともに驚かされたのが、安心感のあるハンドリングである。全高はデイズより15㎜高い1655㎜だし、サスペンションもしたたかな接地フィールを見せた。コーナーでは自然なロール感を身につけ、ホットな走りではダンパーが伸び切るが、粘り腰だ。

高いスピード域でのコーナリングでも上手にストロークと暴れを抑え込み、S字コーナーでの切り返しでも不快な揺り返しに悩まされない。トルクが太いため攻めていくとフロントが逃げていくが、多くの人は不満を言わないだろう。

バッテリーを敷き詰め、重心を低くした成果が走りに現れている。また、電動ステアリングの操舵フィールも軽自動車レベルを超えたものだ。自慢のプロパイロットの車線中央を維持するステアリング支援機能も、ロングドライブでは重宝するだろう。

そして、見逃せないのがしなやかな乗り心地だ。段差の乗り越えでも収束は速やかで、ガツンとくるショックを上手に封じている。1クラス上の乗り心地と卓越した静粛性など、群をぬいて高い快適性は新型サクラの大きな魅力だ。

新型サクラは、夏頃の発売を予定している。S、X、Gの3グレードが用意され、ボトムのSは233万3100円と発表された。軽自動車より高いが、クリーンエネルギー自動車導入促進補助金を活用すれば、実質の購入価格は消費税込みで178万円くらいからになるだろう。

軽快感と快適性は、他の軽自動車を圧倒するほど高い。税制面などの優遇もあり、買った後の維持費も安いくらいだから、街乗りがメインと割り切れる人は次の愛車の候補にあげてもいいだろう。正式発売が待ち遠しい。

<レポート:片岡英明

日産サクラ価格

 

・S  2,333,100円

・X  2,399,100円

・G  2,940,300円

 

日産サクラ電費、充電時間、ボディサイズなどスペック

 

代表グレード サクラG

日産サクラ全長 x 全幅 x 全高(mm) 3,395×1,475×1,655

ホイルベース(mm)  2,495

最小回転半径(m) 4.8m

定員(名)    4

駆動方式  前輪駆動(FWD)

日産サクラ蓄電池種類  リチウムイオン電池

総電力量(kWh)  20.0

総電圧(V) 350

モーター最大出力(kw/rpm) 47/2,302-10,455rpm

モーター最大トルク(N・m/rpm) 195/0-2,302rpm

一充電走行距離WTLCモード(km) 180

日産サクラ充電時間 普通充電:8時間(バッテリー残量警告灯点灯位置~100%) 急速充電:約40分(バッテリー残量警告灯点灯位置~80%)

サスペンション(前/後) マクファーソン/トルクアーム式3リンク

タイヤサイズ 155/65R14

 

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