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 2022年5月26日に発売されるホンダの6代目ステップワゴン。先行受注は好調で、注文から納車までは、約5ヵ月かかるという。

 グレード設定は「AIR(エアー)」、「SPADA(スパーダ)」、そして最上級グレードの「SPADA PREMIUM LINE(スパーダプレミアムライン)」の3種類となる 。

 最上級グレードのスパーダプレミアムラインは、生産終了したオデッセイを意識して作られたというが、本当にオデッセイの代わりが務まるのだろうか??

 噂となっている、中国版オデッセイの日本導入可能性についても触れながら、ホンダのプレミアムミニバンを考えていく。

文/木村俊之、写真/ホンダ、ベストカーweb編集部 

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■スパーダプレミアムラインがいいぞ!

東京オートサロンで公開された新型ステップワゴンの最上級グレード「スパーダ プレミアムライン」

 量販グレードではないが、スパーダプレミアムラインの仕上がりは良い。東京オートサロン2022で公開されたこのグレードは、ステップワゴンに期待する質感を十分に超え、コストパフォーマンスも十分だ。

 まずは、エアー、スパーダと比較しながら、プレミアムラインの魅力をお伝えしていこう。

 ベースとなり、量販グレードを想定したエアーだが、多くの人気装備が非採用なのが残念なところ。

 ブラインドスポットインフォメーションや、2列目オットマン、シートヒーター、パワーテールゲート、全席USBチャージャー(Type-C)と、ニーズの高そうな装備が、オプションとしても設定されていない。

  よって、魅力的な装備を備えるスパーダに、ユーザーの目が向くことになるが、もう一段上のプレミアムラインも検討の範囲に入れてみてはどうだろうか。

 プレミアムラインで標準装備されているマルチビューカメラシステム(8万8000円)は、エアーやスパーダではオプションとして選択されることが多いようだ。

 車両本体価格で見ると、スパーダとプレミアムラインには約20万円の差があるが、マルチビューカメラシステムの標準装備で、実質的な差は11万円程度に狭まる。

 これに加えてプレミアムラインでは、アダクティブドライビングビーム、2列目シートヒーター、17インチアルミホイルを標準装備する。

 内外装の質感が格段に高まり、11万円の価格差以上の満足度が得られるだろう。

■スパーダプレミアムラインはオデッセイの代わりなれるのか?

ホンダのフラッグシップミニバンとして任務を全うしてきたオデッセイ。2021年12月に生産終了し在庫販売のみとなっている
オデッセイの後釜となるステップワゴンの“スパーダプレミアムライン”。新型ではエクステリアでもオデッセイなどのLクラスミニバンに近づいた印象を受ける(写真はスパーダ)

 多方面から「ステップワゴンではオデッセイの代わりはつとまらない」という声が聞こえてくるが、完成度の高いプレミアムラインではどうだろう。

 先代までのステップワゴンとオデッセイを比べると、室内空間の広さや質感はステップワゴンが見劣りする。

 しかし、筆者は新型のプレミアムラインであれば、オデッセイの代わりになることはできると思う。その理由は2つだ。

 1つ目は、ステップワゴンのボディサイズがアップした点にある。現行ステップワゴンと5代目オデッセイを比べると、全長が95mm、全幅125mm、オデッセイが大きい。

 しかし、新型ステップワゴンでは、その差は全長が25mm、全幅で70mmとサイズ差が縮まった。さらに全高では145mmステップワゴンが上回るため、車格の見劣り感は少なくなっている。

 2つ目は、2列目シートの機能性と快適性の向上だ。初採用されたオットマンや2列目シートヒーターが備わることで、機能性もさることながら、インテリアの「格」をあげることに成功している。

 また、シートアレンジは小さな子供がいる家族にも優しい設計だ。

 2列目シートはロングスライドだけでなく、左右にスライドできることで2列目と運転席がグッと近づけられる。運転中でも2列目に手が届くので、後席に赤ちゃんを乗せていても安心だ。

 筆者は販売店勤務時代、ミニバンユーザーから「小さな子供がいるとキャプテンシートではお世話がしづらい」といった悩みを多く聞いてきた。

 この点を新型ステップワゴンでは、2列目シートを中央に寄せ、ベンチシートのように使えるようにして改善している。

 また、車酔いしにくいクルマに設計されたことも好印象である。2列目、3列目と後方に行くほど座席が高くなり、ヘッドレストの形状が見直された。

 3列目から前方を見ると、シートバック上端の高さと、サイドウィンドウ下端の高さが合っており、水平を意識できる。不要な視界の揺れを軽減でき、クルマ酔いを防ぎながら、開放感ある車内を演出した。

 しかし、懸念されるポイントがいくつかある。最も気になるのは価格だ。プレミアムラインハイブリッドの価格は、オデッセイのアブソルートEXと同クラスとなっている。

 オデッセイにはジェスチャーコントロール、ハンズフリーパワーゲート、予約ロックなどの便利な装備を搭載していた。こうした装備が、新型ステップワゴンプレミアムラインには用意されていない。

 さらにインテリアの質感でもオデッセイの方が上質感は高く、オデッセイユーザーから見ると、ステップワゴンのプレミアムラインは、今一歩感が否めないのだ。

  とはいえ、オデッセイと比較できるほどにステップワゴンは進化した。ファミリーユーザーが喜ぶ装備はオデッセイ以上に備わっている。

 ユーザーの世代によっては、オデッセイ以上の価値を、ステップワゴンプレミアムラインで感じられるのではないだろうか。

■ホンダ営業マンに聞いた!「ガソリン1.5Lターボかハイブリッド、どちらが買いか?」

新型ステップワゴンに搭載されるe:HEVエンジン。2Lのエンジンにモーターを搭載しており、低速時にはモーターのみで走行し、高速域ではエンジンで走るというシステムを採用している

 新型ステップワゴンは爆発的なヒットをした初代、2代目に似ている。ファミリーユースの目線に立ち返り、素敵な空間を作り出した、まさに原点回帰のクルマだ。

 広々とした室内空間に、先進の快適な装備が搭載され、新しさは十分に感じられるだろう。加えて、どこか懐かしい感じもするステップワゴンからは、流行の「エモさ」も伝わってくる。

 さて、スパーダプレミアムラインには、パワートレインが2種類ある。ガソリン車かハイブリッドか、悩むユーザーが多いのではないだろうか。そこで、選択の実情を、ホンダディーラーで聞いてみた。

 結論からいくと、「プレミアムラインを選ぶなら迷わずハイブリッド」だそうだ。一体なぜなのだろうか。

 価格差は、約40万円あるが、e:HEVの動力性能、そして静粛性は、プレミアムラインの魅力をさらに高める。静かさと滑らかさが加わるだけで、ワンクラス上のラージサイズプレミアムミニバンのような雰囲気を感じられるというのだ。

 リセールバリューの高さもポイントの一つ。プレミアムラインでは、e:HEVの選択をおすすめする。

 ■中国版オデッセイの登場!?

狭山製作所の閉鎖に伴い日本向けの生産は終了したオデッセイだが、中国向けオデッセイは中国現地工場で生産されていることから販売を継続している

 日本で登場するという噂が流れている中国版オデッセイ。しかし現状、販売店にこうした情報は伝わっておらず、日本導入の可能性は、まだまだ低そうだ。

 日本でオデッセイが復活を遂げるとすれば、アルファードの対抗馬だ。つまり豪華仕様のLサイズミニバンとして再登場するだろう。

 それには、ステップワゴンと車格の線引きを明確にし、先代オデッセイを超えることが必要不可欠だが、そのハードルは高い。

 CR-Vのように、海外で好調なモデルの復活はあり得ない話ではないが、筆者としては、日本ユーザー向けに、専用のオデッセイが生み出されることを期待する。

 家族の暮らしをテーマに、原点回帰したステップワゴン。ホンダ陣営としても、居住性・快適性・実用性が高めた自負があるだろう。

 プレミアムラインへの反応次第で、ホンダのラージサイズミニバンへの考え方も変わるはずだ。オデッセイの復活なのか、現状路線を継続するのか、その動向に注目したい。

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