4月16~17日、FIM世界耐久選手権(EWC)2021シーズン第1戦ル・マン24時間耐久ロードレースの決勝レースがフランスのル・マン-ブガッティ・サーキットで行われ、ヨシムラSERT Motul(グレッグ・ブラック/チャビエル・シメオン/シルバン・ギュントーリ組)が優勝した。
2022年シーズンの注目は昨年王者のヨシムラSERT Motul、2017-2018年王者のF.C.C. TSR Honda France(TSRホンダ)のふたつの日本チーム。そして、OG MOTORSPORT BY SARAZINからフル参戦することになった渥美心だろう。
予選はYART – Yamaha Official Team EWC(YARTヤマハ)がポールポジションを獲得。2番手はヨシムラSERT Motul、3番手はTSRホンダとなった。
52台が出場した決勝レースは、ドライコンディションでスタート。1周目からセーフティカーが出るが、序盤はヨシムラSERT Motul、TSRホンダ、BMWモトラッドがトップ3で、ポールのYARTヤマハは今季もエンジンスタートが遅く48番手までポジションダウンした。
その後、ERC Endurance Ducati(ERCドゥカティ)も一時3番手に上がり、WEBIKE SRC KAWASAKI FRANCE(SRCカワサキ)が5番手、YARTヤマハも6番手まで追い上げファクトリーチーム6台の争いへと切り替わる。
2時間が経過し、TSRホンダとヨシムラSERT Motulがトップ争い、YARTヤマハとBMWモトラッドが約20秒差で3番手争い、SRCカワサキがトップから約50秒で5番手、すでに2度目のピットを終えたERCドゥカティが6番手と差も広がっていく。
3時間が過ぎ、#77 Wojcik Racing Team EWC 77がエンジンブロー。路面にオイルが出たことで2度目のセーフティカーが導入。この際、ヨシムラSERT Motulはガス欠ギリギリのピットインとなった。これを味方につけたのが首位のTSRホンダで、後続に半周差をつけた。
4時間30分、BMWモトラッドは飛び石でラジエーターが壊れ、エンジンがオーバーヒートしたため約5時間でリタイアしている。6時間20分が過ぎると、5番手を走るERCドゥカティが転倒し、4度目のセーフティカーランに。その後もトラブルを抱え、マシン修復でタイムロスをして32番手までポジションダウンしている。
レース開始から8時間、トップはTSRホンダ、2番手はヨシムラSERT Motul、3番手はYARTヤマハ、4番手はSRCカワサキ、5番手はVILTAIS RACING IGOLのオーダーに。
開始から3分の1が過ぎると、現地は暗くなった。トップのTSRホンダはピットでチェンジペダルを交換。さらに、マフラーが壊れるトラブルに見舞われ、4番手、5番手と順位を落とした。
9時間が過ぎると、SRCカワサキがガレージに入り、エンジンを下ろしてのマシン修復に。41番手まで順位を下げ、レースに戻れたのは10時間20分が過ぎてからだった。
14時間15分に5度目のセーフティカー、15時間25分に6度目のセーフティカーが出動。ギャップを埋めていった上位陣の差は振りだしに戻り、レース開始から16時間では、依然ヨシムラSERT MotulとYARTヤマハの差は1ラップ、TSRホンダは4ラップ、VILTAIS RACING IGOLは9ラップといった展開だ。
空は明るくなり、16時間30分が過ぎると、OG MOTORSPORT BY SARAZINがマシントラブルを抱え、約10分ガレージで修復。10番手(SST 5番手)から18番手(SST 10番手)にポジションを落とした。
その後も、トラブルが出るマシンが多く出現。17時間が過ぎるとERCドゥカティが約8分のタイムロスで10番手から15番手。17時間20分、SRCカワサキもガレージに入るが28番手と順位は変わらず。
そして、17時間30分、3番手のTSRホンダが最終コーナー付近で転倒したため、ピットイン。ガレージでマシンの修復が行われ、約10分後にコースイン。数周4番手のVILTAIS RACING IGOLと順位が入れ替わるが、すぐに3番手に戻した。
残り6時間、トップはヨシムラSERT Motul、1周半差でYARTヤマハ、12ラップ差でTSRホンダとVILTAIS RACING IGOLが並んでいる。
また、18時間20分にVILTAIS RACING IGOLがトラブルを抱えてピットイン。ERCドゥカティにオレンジディスク旗が振られ、ピットイン。マシンからオイルが漏れていたようだが、15分ほど修復し、18時間50分にコースインしている。
18時間20分、VILTAIS RACING IGOLがガレージにマシンを入れる。4番手はSSTトップのTEAM 18 SAPEURS POMPIERS CMS MOTOSTORE、No Limits Motor Team、TEAM 33 LOUIT APRIL MOTOと3チームSSTクラスが続く。
19時間50分、渥美心が参戦するOG MOTORSPORT BY SARAZINが再度マシントラブルを抱え、ガレージで修復を試みる。しかし、エンジントラブルは直らず、後にリタイアすることとなった。
レース残り4時間、トップ3に大きなトラブルはなく、接近して走行するヨシムラSERT MotulとYARTヤマハはほぼ1周差、12ラップ差でTSRホンダは変わりないが、VILTAIS RACING IGOLはコースに復帰できておらず34番手まで落ちた。
そのまま変動なくレースは進んだが、残り20分にFALCON RACINGのマシンがエンジンブロー。オイル処理を行い、残り3分でレース再開。
840ラップを周回したヨシムラSERT Motulが23回のピット回数で、2年連続EWCル・マン24時間を制覇した。2位は同一周回で1分45秒582差のYARTヤマハ、3位が14周差のTSRホンダと続いた。SSTクラス優勝は総合4位のTEAM 18 SAPEURS POMPIERS CMS MOTOSTOREだ。レースは52台中、13台がリタイアしており、39台が完走を果たした。
次戦は6月4~5日にベルギーのスパ・フランコルシャンで第、2戦スパ24時間耐久ロードレースが開催される。