毎年、スーパーGTのGT500クラスでは各陣営ともにドライバーの入れ替えなど体制変更を行うチームが多く、2022年もGT500クラス15台のうち8台でペアが変更となった。コンビが変わると、セッティングの方向性やドライビンススタイルなど“相性”の部分も気になってくるもの。
近ごろのスーパーGTはタイム差が非常に拮抗しており、ほんのわずかな差で順位が決まってしまうため、コンビネーションの良さも勝利を掴むためには欠かすことができない要素となる。そこで、今シーズン新たなぺアを結成ドライバーたちに、パートナーの印象や相性などを聞いていく。
今回は金石勝智監督率いるAstemo NSX-GTだ。ここ数年は塚越広大とベルトラン・バケットのコンビで参戦したが、バケットがニッサン陣営に移籍。入れ替わるかたちでニッサン陣営から松下信治が17号車に加わった。
シーズンオフのテストからお互いにマシンをシェアして走るふたりだが、コンビネーションやセッティングの好みの違いはないと塚越は語る。
「クルマが調子が良い時は、ドライバー同士でフィーリングは変わらないですね。クルマがうまく決まっていないときはお互いのコメントがズレてくることもありますけど、結果的にクルマが良くなってくると、そこの意見が合ってくるので問題はないかなと思います」
松下はこれまでヨーロッパを舞台に戦っており、日本のトップカテゴリーでのレース経験はまだ多くはないが、逆に“今までにない発想”をチーム内に盛り込めていると、塚越も新鮮な気分を味わっているようだ。
「具体的には、ここでお話できることはないですけど『そういう考え方もあるのか!』という発見はたくさんあります。それは速さに直接関わる部分以外のことでも。やはり、僕たちはスーパーGTに参戦して長いので、慣れている部分があるけど、それを初めて見た際に『ここをこうした方がいいんじゃないですか?』みたいな意見はけっこうありました」
「彼はヨーロッパの経験も長いし、2021年はライバルメーカーでスーパーGTを戦っていたので、新しいアイディアや考え方などを持ってきてくれています。そういった部分はチームとしても助かっているのかなと思いますね」
一方の松下は、ホンダ陣営からGT500クラスを戦うのは初めてだが、開幕前のテストは順調にこなせた様子。「タイムもそこそこ出ていますし、ロングランでの感触も良いので、現状僕らが一番だと断言できるまでの状態ではないですが、変更点などをしっかりとまとめ上げて持っていければ、しっかりと優勝争いができるかなと思っています」と自信をみせていた。
また、塚越とのコンビネーションについては「まったく問題はないです」と即答。「REAL RACINGは全日本F3選手権で走っていたので知っています。塚越選手とは面識はありますけど、僕もヨーロッパに行っていた時期があるので、そこまで話す機会は多くなかったですが、まったく問題ないです」と、特に不安材料はなさそうだ。
2021年のAstemo NSX-GTは第2戦富士で優勝を飾ったが、全体的に課題の残るシーズンとなった。2022年、松下が加入したことが、チームにとってもプラスになっていることは確かな様子。そこに塚越の経験が加われば、ライバルにとっては手強い存在となりそうだ。