毎年、スーパーGTのGT500クラスでは各陣営ともにドライバーの入れ替えなど体制変更を行うチームが多く、2022年もGT500クラス15台のうち8台でペアが変更となった。コンビが変わると、セッティングの方向性やドライビンススタイルなど“相性”の部分も気になってくるもの。
近ごろのスーパーGTはタイム差が非常に拮抗しており、ほんのわずかな差で順位が決まってしまうため、コンビネーションの良さも勝つためには欠かすことができない要素となる。そこで、今シーズン新たなぺアを結成ドライバーたちに、パートナーの印象や相性などを聞いていく。
まずは、近藤真彦監督率いる24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zだ。2022年は佐々木大樹と平手晃平のコンビでシーズンを戦うこととになる。
ニッサン陣営に加わり4シーズンを迎える平手だが、チーム移籍はもちろんのこと、ヨコハマタイヤを履いてGT500クラスに参戦するのは初めてとなる。そのあたりの合わせこみに関しては、開幕前のテストを概ねクリアはできたと語る。
「僕の中で開幕戦までに掲げていた目標みたいなものがありました。クルマも変わり、チームも変わり、タイヤも変わり……。そこにどれだけアジャストできるのかという部分で設定していた目標値に対しては、かなり達成できたかなと思います」
「自分としても、こうやってヨコハマさんとお仕事とすることは初めてですが、開発のスタンスは今までのミシュラン、ブリヂストン、ダンロップとは違うというか、新しい感じでやれています。僕が3メーカーを渡り歩いてきた経験も活かしたフィードバックを行い、それが少しずつかたちになっているのかなと思います」
また新パートナーとなる佐々木とのコンビネーションも、かなり良いとのことだ。
「昨年までは千代(勝正)選手と組んでいて、セッティングの方向性としてはけっこう似ていたのかな思います。ただ、細かいところでドライビングスタイルの差がありました。たとえば、方向性を合わせて、お互いが『乗れる』とは言っても、走らせ方ひとつでタイヤへのダメージが変わってきます。自分がうまく乗れていても、千代選手だとうまくいかなくてタイヤに負担をかけてしまったりとか。その逆もあったりしました」
「それと比べると、大樹は自分に近いスタイルで乗るので、昨年よりも妥協点が少なくなった気がします。だから『こっちの方向性かな』と言って煮詰めていくと、お互いにちゃんと乗れるし、良いところを出しきれる感じがするので、大樹とのコンビネーションはすごく合っているのかなと思います」
かなり手応えをつかんでいる様子の平手。夏場の開催となるシーズン中盤戦が最大の勝負どころと捉えていた。
「僕たちとしては、夏場の暑い時期に照準をおいてきているので、そこに向けてしっかりとコンディションを整えていければと思います。そのためにも、まずは開幕戦でしっかりとポイントを取る。第2戦以降でヨコハマタイヤさんの強みが出ると思うので、中盤戦にかけたところで僕たちとしては優勝を獲りに行きたいと思っています」
同じく、佐々木も平手とのコンビネーションに好感触を得ている様子だ。
「平手選手とは年齢も近いですしフレンドリーで、すごくやりやすいですね。走り方も似ているし、コメントに関してもGT500でチャンピオンを獲っていたりとか、いろいろなタイヤメーカーでの経験があるドライバーです。僕もいろいろとタイヤ開発をしてきていますし、タイヤについて詳しいふたりが乗っているので、さらにヨコハマタイヤさんにとってプラスになっているように感じています。やはり進化をしていくためには、正確な情報を伝えていく必要があるので、そこができているのかなと思います」
そう語る佐々木。ドライビングスタイルの部分でも、平手と追い求める部分が、かなり似ているという。
「よく『アンダー傾向のクルマが好き』とか『オーバー傾向のクルマが好き』というのがありますけど、僕たちはそこを気にせず、今のニッサンZ GT500に合ったクルマのバランスというのを追い求めています。結局はどれが速いか? なので、そこを突き詰めていると、セットとしては同じ方向にいっているのかなと思います」
「今季の岡山に関しては、タイヤの面において“もう少し”というのが、なんとかここから工夫して、レースを戦って、得意な富士や、昨年表彰台を獲得した鈴鹿に向けて、良い流れを作っていければと思います」
2022年シーズンも、非常に拮抗した戦いが予想されるGT500クラス。その中で24号車の新コンビがパフォーマンスを存分に発揮すれば、トップ争いに加わる可能性は十分にありえる。そんな手応えをつかんでいるふたりの表情が、とても印象的だった。