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 新規車種の登場、車両開発の一部解禁で、戦力分布の“仕切り直し”を期待させる2022年スーパーGT開幕戦、岡山国際サーキットでのGT500クラス公式予選は、同地の前年度覇者である14号車ENEOS X PRIME GR Supraの大嶋和也がポールポジションを獲得。2番手にも39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraが続き、トヨタ陣営が最前列を固める結果に。最終限定車“タイプS”採用の新生NSX-GTは3番手、これがデビュー戦のニッサンZ GT500は5番グリッドが最上位となった。

 前日搬入日こそ降雨に見舞われたものの、土曜予選日は朝から晴天の空模様となり、9時20分開始の公式練習では混走時間や各クラスの占有走行枠を含め、1度も赤旗掲示のないクリーンな状況で進んでいった。

 その今季最初の公式走行枠では、事前の現地テストでもトップタイムを記録していたチャンピオンカー、36号車au TOM’S GR Supraがセッション序盤から主導権を握り、3号車CRAFTSPORTS MOTUL Zを挟んで2021年岡山ウイナーのENEOS X PRIME GR Supraが追随する展開に。

 路面温度は走行開始時点で18度前後に留まるなか、11時を前に迎えたGT500クラス占有走行枠ではミシュランタイヤを装着する23号車MOTUL AUTECH Zが最速タイムを刻み、その差わずか0.027秒ながら松田次生が新型ニッサンZ GT500のデビューセッションを飾る速さを披露した。

 一方、昨季の同セッションではトップ3を独占したホンダ陣営は、混走時間帯こそ17号車Astemo NSX-GTがトップ5圏内を維持するも、占有走行での予選シミュレーションを終えると100号車STANLEY NSX-GTの6番手を最上位に、8号車ARTA NSX-GTが7番手に続くのみとなり、タイムが直接の競争力を現すとは限らない公式練習とはいえ、トップ10にわずか2台という意外な結果となった。

■予選Q1

 昨季に続き、この岡山のみ適用となる特別BoP(燃料流量ダウンによる速度抑制措置で、2ランクダウン相当の【95kg/h→90.2kg/h】に)条件で始まった今季最初の真剣勝負は、引き続きトラック上に日差しが注ぐも、午前からの強風が収まらないコンディションでのスタートに。

 GT300のQ1A組開始となる14時時点で、気温は午前の13度から17度まで上昇したものの、やはり風の影響か、路面温度は21度とさほど変化のない条件となり、さらに同クラスQ1で赤旗中断が発生したことから、GT500の勝負は予定より13分遅れの14時46分から始まった。

 1コーナー側ピットボックスに陣取るトヨタ勢を先頭に、間隔を開けるようにコースインしていった各車は、セッション開始2分半を過ぎたところで、ミシュランタイヤ勢の2台を最後に全15台がタイヤのウォームアップを進めていく。すると全体4台目でトラックインしていた16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTが、わずか計測1周でピットロードへ向かい、トラブル発生かそのままガレージに収められてしまう。

 それを横目に入念な熱入れを進めるトヨタ陣営と、早めのグリップ発動でウォームアップラップながらグングンとタイムを詰めてくる3号車CRAFTSPORTS MOTUL Z、23号車MOTUL AUTECH Zが代わる代わるタイミングモニター最上部に顔を出す。

 各車最後のアタックに挑むなか、ここでヨコハマタイヤ装着の19号車WedsSport ADVAN GR Supraの阪口晴南が、自身計測5周目に1分17秒201の基準タイムを記録すると、続く周回でまさかのスピンを喫するアクシデントが発生。この直後を走行していた12号車カルソニック IMPUL Zの平峰一貴は、これで運悪くアタックラップの仕切り直しを強いられることに。

 後続のライバル勢が次々とタイム更新に挑むなか、ミシュランを装着する2台のZ、さらに14号車ENEOS X PRIME山下健太、36号車au坪井翔らのGRスープラが続々と自己ベストを記録するも、すべて2番手タイムと首位の19号車には届かないまま。そんな状況で意地を見せたのは、新たな僚友となったルーキーに“お手本を示す”とばかりに、計測6周目のラストアタックへと向かったチャンピオン坪井で、チェッカーラップに1分17秒177を叩き出し、ここでついに首位浮上に成功する。

 このラストアタックでは、100号車STANLEYの山本尚貴と、24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zの佐々木大樹が入れ替わりで5番手に飛び込み、挽回の12号車平峰が7番手に滑り込むことに成功。最後のドラマは早めのアタックで8番手にまで下がっていたMOTUL AUTECH松田に対し、38号車ZENT CERUMO GR Supraの石浦宏明が1分17秒636でカットラインに到達し、大逆転でのQ2進出を決めてみせた。

■予選Q2

 GT300のQ2を挟み、こちらも15時24分へと遅れて開始されたQ2は、好調のWedsSport ADVAN GR Supraを引き継いだ国本雄資を先頭にコースへ。3分経過を前に14号車ENEOS X PRIMEの大嶋だけが、ライバルより1周遅れでピットロードを後にする。

 ニッサン陣営からはブリヂストンタイヤを装着する12号車と、ヨコハマタイヤを履く24号車がQ2へと進んだが、移籍により2022年はタイヤ銘柄を変更して挑むこととなった24号車平手晃平が、まずは計測4周目で1分17秒826を記録する。

 その直後、こちらは5周目に入っていた同じくヨコハマタイヤ勢の19号車国本が1分17秒572として首位に立つ。しかし、この好タイムは「走路外走行」との判定を受け無効となり、同一タイヤ銘柄での1-2体制は敢えなく幻に……。

 この判定が下る間、1分17秒544とした100号車STANLEYの牧野任祐が2番手、1分17秒602とした39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraの中山雄一が3番手へと入ってくる。

 そして「アタックではハーフスピンに近い状況になり、後半のダブルヘアピンでもマージンを取り過ぎた」と、予選後に“完璧なラップではなかった”と反省の弁を口にした大嶋が1分17秒251をマークし、このタイムで自身6年ぶりのポールポジションを奪取。さらに計測7周目に向かっていたDENSO中山も、1分17秒387までベストタイムを詰めて2番手に飛び込み、GRスープラが2022年開幕戦のフロントロウを占拠することに。

 2列目にはSTANLEY牧野とZENT CERUMOの立川祐路が並び、リアライズ平手、GT500で初のQ2を戦ったau TOM’Sのジュリアーノ・アレジ、カルソニック IMPUL加入のベルトラン・バゲットが続くオーダーとなり、ベスト抹消のWedsSport国本は8番手で予選を終えている。

2022スーパーGT第1戦岡山 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)
2022スーパーGT第1戦岡山 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)
2022スーパーGT第1戦岡山 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)
2022スーパーGT第1戦岡山 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)
2022スーパーGT第1戦岡山 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明)
2022スーパーGT第1戦岡山 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明)
au TOM’S GR SupraとDENSO KOBELCO SARD GR Supra
au TOM’S GR SupraとDENSO KOBELCO SARD GR Supra