トヨタGRスープラの圧倒的優勢が予想されたスーパーGT第1戦岡山の予選でホンダ勢で唯一Q1突破を果たし、予選3番グリッドを獲得した100号車のSTANLEY NSX-GT。そして、予選Q1でトップタイムをマークした36号車au TOM’S GRスープラに対して、13番手とまさかのQ1落ちをなった37号車KeePer TOM’S GRスープラ。明暗の分かれた2台の予選を振り返る。
午前の練習走行で13番手となったSTANLEY NSX-GT。だが、予選ではコンディションの変化と相まって状況が大きく変わった。そのあまりの変化の大きさに、予選Q1を担当した山本尚貴も驚いた。
「アタック自体は、失敗しました(苦笑)。1回目のアタックの時にクルマとタイヤのフィーリングが大きく変わって予想以上にグリップしていて、それに自分がちょっとビックリしてしまいました。アトウッドの立ち上がりでトラクションを掛けた時に曲がりすぎて巻いてしまって、ビックリしてステアリングを戻してアクセルも抜いてしまったので、かなりロスしてしまいました」
「幸い、クルマもタイヤも調子が良かったですし、もう1周アタックに行ける時間をチームが作ってくれていたので、2回目のアタックは最後にちょっとタイヤがタレた感じはあったのですけど、2周目にきちんとタイムアップできたので、失敗した分をリカバリーできて、タイヤのタレた分で相殺された部分はありますが、Q1を通れるタイムを出せて良かったです」と山本。
無事に6番手でQ1を突破した100号車はQ2を担当した牧野任祐が3番手を獲得。山本は、チームメイトの牧野のアタックを讃える。
「今回のメニューの組み方で専有走行を僕が走らせてもらったので、一番QFに近いコンディションで走っていたので僕がQ1を担当しましたが、牧野選手は午前の路面が良くない時に走ったのみ。彼はそこから2秒近くラップタイムが上がった予選Q2できちんと走ってくれた。午前とはいきなり違う世界で走ったような状態だったにも関わらず、彼の一発の素晴らしさを改めて感じました。チームとしても予選に向けていい組み立てができたと思います」
「朝イチの感触からすると、とても予選3番手を狙える雰囲気はなかったので、正直、2列目のグリッドに来れたのはかない良かったなと思っています。当然、ノーウエイトの開幕戦ですし、レースをやっている以上はポールポジションは獲りたかったですけど、他のホンダ勢を見ても、今週はちょっと苦戦気味なところからスタートしていたのを見ると、きちんとQ1を突破できて、Q2で3番手を獲ることができたのはかなりいい予選だったと思います」
ホンダ勢で1台しかQ1を突破できなかったのも驚きだったが、同様にQ1で驚きだったのは37号車KeePer TOM’S GRスープラの13番手ノックアウトだった。
Q1を担当したサッシャ・フェネストラズに聞く。
「Q1は僕のミスです。ヘアピンコーナーでタイヤを大きくロックしてしまって、クルマを十分にドライブすることができない状態にしてしまったんだ。完全に僕のミスで、恥ずかしいよ。クルマの感触はとても良かったし、チームに本当に申し訳ない。今も学んでいるけど、今日も自分のミスからたくさんのことを学んだよ」とフェネストラズ。
1周目のアタックでフラットスポットを作ってしまったようで、2周目のアタックも1コーナーを過ぎて諦めざるを得ない状態だったようだ。フェネストラズはしきりに自分を責める。
「フリー走行の時のクルマはまあまあという感じだったけど、予選に向けてインプルーブして、どんどん良くなった。予選の時のクルマはトップ5に入るチャンスがあったと思う。本当に今日は僕のミスがすべてだよ。明日の方がもっと大事だから、いいレースができてポイントを獲れるといいね」
同じチームの36号車au TOM’S GRスープラがQ1でトップタイムなだけに、37号車も同等のポテンシャルがあったことは間違いない。37号車で今季からトラックエンジニアを担当する大立健太エンジニアも頭を抱えるが、フェネストラズ&宮田莉朋の若手コンビの爆発力でレースでどこまで挽回できるか。GRスープラ勢で唯一Q1落ちを喫してしまった悔しさをレースで果たしたい。