現在、ファミリーカーの定番となっているミニバン。現在では、トヨタアルファード1強となっているが、1990年~2000年にかけてミニバンの中で圧倒的なブランド力を放ったのが、トヨタエスティマだ。
1990年代、RV(現在のSUV)の代名詞と言えば三菱パジェロ、ミニバンと言えばエスティマと誰もが思うほどの人気を誇った。さらに、エスティマはファミリーカーとしてだけでなく、カスタマイズカーという新しいクルマ文化を確立するのにひと役買ったモデル。
当時の若者は、スポーツカーではなく、エスティマにフルエアロを装着したカスタマイズカーに乗るのが、モテる条件にもなっていたのだ。
そのエスティマも2019年10月に生産終了となり、丸2年半が過ぎた。
現在人気のミニバンといえば、広い室内空間を確保したハコ型のミニバンとなっており、エスティマのようなスタイリッシュなミニバンは皆無となっている。
そこで、ここではミニバンのなかでいち早く強いブランド力を確立したエスティマの最終モデルの最新中古車事情を紹介する。
文/萩原史博、写真/トヨタ、ベストカーweb編集部
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■流麗なスタイルで人気を博した3代目エスティマを振り返る
3代目となる現行型のエスティマは2006年1月より販売開始。そして同年6月にハイブリッドモデルを追加し、2019年10月まで販売されたロングセラーモデルとなっている。
1990年5月に初代エスティマは、1BOX車が主力だった時代に「天才タマゴ」と呼ばれるスタイリッシュなワンモーションフォルムを採用。
このスタイリッシュなワンモーションフォルムはエスティマのアイコンとして3代目モデルまで受け継がれることになる。
初代エスティマは、フラットな床面と広い室内空間を実現するために、エンジンを運転席下に75度寝かして搭載するというウルトラCを実現。
2000年に登場した2代目モデルはエンジンを運転席の前に搭載するフロントエンジン仕様となり、2.4L直列4気筒エンジンと3LV型6気筒エンジンを搭載。
翌2001年6月には2番目のハイブリッド車としてエスティマハイブリッドが登場。
搭載する2.4Lガソリンエンジン+モーターのハイブリッドシステムは、10・15モード燃費で18.0km/Lを実現。重量の重いミニバンとハイブリッドの相性の良さをアピールした。
そして2006年1月にフルモデルチェンジを行い、3代目となる最終モデルが登場。現行モデルが登場した2006年頃は初代アルファードと日産エルグランドによるフラッグシップミニバンの販売競争が繰り広げられていた。
しかし、大きなフロントグリルによって圧倒的な存在感を誇るアルファードやエルグランドを好まないユーザーの受け皿として、スタイリッシュなエスティマは支持を集めた。
搭載されるパワートレインは2.4L、直列4気筒エンジン+CVT、3.5L、V型6気筒エンジン+6速AT。そして2.4Lエンジンのハイブリッドシステムの3種類となった。
エスティマハイブリッドに搭載されるシステムは先代のTHS-CからTHS-IIに変更。動力性能と燃費性能を向上させたのが特徴だ。
最終型のエスティマは販売開始して以降、2019年10月の販売終了までマイナーチェンジや一部改良を重ねて進化を遂げている。ここでは、そのなかから主だったトピックスを紹介する。
2006年1月に販売開始したエスティマ/エスティマハイブリッドは2008年12月に初のマイナーチェンジを実施し、フロントバンパー、フロントグリル、ヘッドランプの意匠を変更。新グレードとしてアエラスレザーパッケージを設定した。
2回目のマイナーチェンジは2012年5月。この時はエアログレードのアエラスのフロントバンパーやフロントグリルの意匠を変更している。
そして2016年5月に3回目のマイナーチェンジを行った。このマイナーチェンジの規模は最も大きく、内外装の変更をはじめ、グレードの統廃合、安全装備の充実など多岐に渡っている。
まず外観は、エンジンフードからラジエターグリル、バンパー、フェンダーまでのフロントデザインを一新。アッパーグリルから連続してサイドまで回り込んだ薄型のヘッドランプや特徴的な大開口アンダーグリルと張り出したバンパーコーナーの造形がワイド感とスタンスの良さを強調し、独自の存在感を際立たせている。
また、突き出し感を強調したフロントノーズにより、ワンモーションフォルムがより伸びやかになっているのが特徴だ。
インテリアは、合成皮革をあしらったインストルメントパネルにアクセントステッチの加飾を施し、モダンで上質な室内空間を演出。さらに横長に施したサテン調加飾オーナメントが室内の横方向への広がりを感じさせるとともに、サテン調加飾のステアリングとあいまって、質感の高さを表現している。
加えて、新デザインのオプティトロンメーターにより、先進性を追求すると同時に視認性を確保。また、4.2インチのマルチインフォメーションディスプレイを標準装備し、ドライバーの様々な情報を伝達する。
インテリアカラーには防汚れ加工を施したホワイトを新採用し、シート表皮には滑らかな触り心地のブランノーブを設定するなど洗練された空間を演出しています。
搭載するパワートレインは3.5L V型6気筒エンジンが廃止となり、2.4L直列4気筒DOHCエンジン+CVT。そして2.4Lガソリンエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドの2種類となり、グレードはアエラスのみとなっている。
サスペンションのチューニング最適化を行い、操縦安定性に加えて、上質な乗り心地を実現している。また、一部グレードにフロントパフォーマンスダンパーを設定し、走行中のボディに発生する小さなたわみや微振動を素早く吸収し、シャープなハンドリングを実現している。
安全装備は、衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ、レーンディパーチャーアラート、オートマチックハイブームをセットにした衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンスC」を全車標準装備した。
■3代目エスティマ改良情報
●2019/10:生産終了
●2016/6:マイナーチェンジ
全車にトヨタセーフティセンスCを標準装備、3.5Lエンジンを廃止し、2.4ハイブリッドと2.4ガソリンの2種類となり、グレードをアエラス仕様に一本化。フロントデザインが一新され、ヘッドランプ(LEDクリアランスランプを内蔵したBi-Beam LEDヘッドランプを採用)はアッパーグリルから連続してサイドまで回り込んだ薄型に変更するとともに、アッパーグリルを大口化し、バンパーコーナーを張り出した造形とした。リアのコンビネーションランプは立体的に造形した赤基調にするとともに、ストップランプはLEDライン発光、テールランプを面発光にした。
ボディカラーはミニバンで初めて、ブラックルーフと組み合わせたツートーン仕様3色を設定したほか、モノトーンについても新規色3色を含む7色展開とし計10色とした。また全色に小さなすり傷を自己修復するクリア塗装「セルフリストアリングコート」を採用した。
●2014/9:一部改良
ハイブリッド車のエスティマハイブリッドを含む全車にリバース連動・オート電動格納機能付ドアミラーを採用し、全車にVSCを標準装備。
●2013/5:一部改良
工場装着のHDDナビゲーションを9モデルから11モデルに変更。パノラミックビューモニター、クリアランスソナー&バックソナーをメーカーオプションで設定。
●2012/5:マイナーチェンジ
Gサイドリフトアップシート装着車、アエラス(3500㏄車)サイドリフトアップシート装着車の廃止。アエラスのフロントバンパー、フロントグリルの意匠変更。18インチアルミホイールを採用(サイドリフトアップシート装着車を除く)。「G」「X」はホイールデザインを変更(「G」およびハイブリッドの「G」および「X」は2008年改良型「アエラス」用17インチアルミホイール、「X」は8代目カムリ後期型用16インチフルホイールキャップ)し、2008年改良型まで装着されていたグレードバッジを廃止。一方、ハイブリッドには専用リアエンブレムを新たに装着した。
●2009/12:一部改良
パンク修理キットを全車に標準設定。
●2008/12:マイナーチェンジ
フロントバンパー、フロント、ヘッドランプの意匠変更、アエラスGグレード、アエラスSグレードを廃止し、アエラスレザーパッケージグレードを新設定。
●2007/6:一部改良
エアコンスイッチの色を変更、ドアロックスイッチの意匠変更。
●2006/1:3代目にフルモデルチェンジ
■3代目エスティマ最終型の中古車情報
それでは、最終型エスティマ/エスティマハイブリッドの最新の中古車事情を見てみよう。
現在、最終型エスティマの中古車の流通台数は約1540台で平均価格は約86.4万円。エスティマハイブリッドの中古車は約260台流通していて、平均価格は約149.9万円となっている。
最終型エスティマの中古車の平均価格の推移を見てみると、3カ月前の2022年2月の時点が約87.8万円、今月が約86.4万円なので、若干値落ちしているものの実質的には横這いといえる動きだ。
一方エスティマハイブリッドの平均価格だが、3カ月前は約165万円だった。現在では約159.9万円と値落ち傾向とガソリン車とハイブリッド車では値動きが異なっている。
これは3月の大需要期にエスティマハイブリッドの高価格車が市場から姿を消してしまったことを示している。それを裏付けるようにエスティマハイブリッドの中古車の流通台数は減少傾向となっているのだ。
現在の中古車の価格帯はガソリン車のエスティマは約12.8万~約388万円、エスティマハイブリッドは約27.8万~約429万円と非常に幅広いのが特徴だ。
年式別の分布を見てみると、デビューから2008年の1回目のマイナーチェンジまでが約450台。
2008年~2012年までの2回目のマイナーチェンジまでは約460台。2012年~3回目のマイナーチェンジが行われる2016年までが約420台。そして2016年の3回目のマイナーチェ時以降は約230台だ。
エスティマハイブリッドは、2008年の1回目のマイナーチェンジまでが、約39台。2008年~2012年の2回目のマイナーチェンジまでが、約90台。2012年~2016年の3回目のマイナーチェンジまでは約97台。そして2016年から販売終了までが約38台となっている。
エスティマ/エスティマハイブリッドともに、モデル末期の2016年のマイナーチェンジ以降の中古車の流通台数は減少するものの、モデルライフを通じて流通台数は安定しており、エスティマの人気の高さを改めて認識できる。
■狙い目は2012年の2度目のマイナーチェンジ以降、長く乗りたいなら2016年6月の3度目のマイナーチェンジ以降!
とはいえ、2012年の2度目のマイナーチェンジでもすでに10年落ちとなってしまい、コンディション差が大きくなるので、中古車として狙うのであれば、2012年の2度目のマイナーチェンジ以降に絞りたい。
エスティマの中古車を2012年のマイナーチェンジ以降で絞っても約550台がヒットし、価格帯は約44万~337万円。グレードではエアロパーツを装着した2.4アエラスが中心だ。特別仕様車として設定されたアエラスプレミアムエディションが狙い目だ。
エスティマハイブリッドの中古車を2012年5月のマイナーチェンジ後で絞ると、約108台がヒットする。価格帯は約98万~約429万円で、こちらも2.4アエラス4WDが中心。ガソリンは同様にアエラスプレミアムエディションが狙い目だ。
エスティマのアエラスプレミアムエディションの価格帯は、約60万~約250万円。そしてエスティマハイブリッドのアエラスプレミアムエディションは約150万~約309万円。予算150万円以下ならガソリン車がオススメ。キャンプなどで家庭用電気機器も使いたい!という人には予算200万円以下でハイブリッド車を狙いたい。
長く乗りたいので、運転支援システムにこだわる人は2016年6月の3度目のマイナーチェンジ以降の中古車となるので、ガソリン車のエスティマならば約138万円~、ハイブリッド車は約185万円~となっている。
それでも、200万円以下で安全装備が充実し、燃費性能に優れたスタイリッシュミニバンのエスティマが手に入るのは、新車の納期遅延が続く現在では朗報だ。
■トヨタ エスティマハイブリッド(E-four)主要諸元(2016年6月)
・ボディサイズ:全長4820×全幅1810×全高1760mm
・ホイールベース:2950mm
・車両重量:1970kg(アエラス7人乗り)
・エンジン:2362㏄直4DOHC
・エンジン最高出力:150ps/6000rpm
・エンジン最大トルク:19.4kgm/4000rpm
・フロントモーター最高出力/最大トルク:143ps/27.5kgm
・リアモーター最高出力/最大トルク:68ps/13.3kgm
・JC08モード燃費:18.0km/L
・価格:435万2400円
■トヨタ エスティマアエラス(7人乗り2WD、ガソリン車)主要諸元(2016年6月)
・ボディサイズ:全長4820×全幅1810×全高1745mm
・ホイールベース:2950mm
・車両重量:1770kg(アエラス7人乗り)
・エンジン:2362㏄直4DOHC
・エンジン最高出力:170ps/6000rpm
・エンジン最大トルク:22.8kgm/4000rpm
・JC08モード燃費:11.4km/L
・価格:331万2655円
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投稿 こんなスタイリッシュなミニバンなかなかない! 最終型中古のエスティマ200万円以下が狙い目 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。