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厳しいロックダウンの続く中国・上海では、一部地域で食料など生活物資の不足が起き、上海市の共産党トップの李強書記への批判も起きていると伝えられている。

厳しい都市封鎖でファーウェイなどの店舗も閉鎖(14日上海で。写真:ロイター/アフロ)

米ウォール・ストリート・ジャーナルは13日、「コロナ大流行の上海、中国の前途を暗示?」(表題は日本語版)との記事を掲載し、上海の現状を危惧した。記事では

草の根レベルでの監視や規則の徹底を支える地域の共産党委員会のネットワークや、圧倒的な国家の強制・監視体制に加え、病院の建設や大量検査、食料配給のために膨大な人員を動員する能力もある。

と民主主義国家とは異なる中国独自の優位性について触れた上で、今後の展望をこう述べた。

上海市は市民への食料支給や医療スタッフの確保に苦戦しており、オミクロン株による爆発的な感染拡大を早期に食い止めることができなければ、こうした優位性があっけなく崩れ落ちることもあり得る

また、米ブルームバーグも同日の記事で、上海の厳しい現状を次のように説明した。

厳しい新型コロナウイルス対策を続ける政府に対して、ロックダウン(都市封鎖)中の上海などで住民の不満があらわになりつつあり、経済への悪影響も大きくなっている

ロックダウンが続く上海や吉林省では、感染力の強いオミクロン変異株への政府対応を巡り不満が広がっている。外出が禁止されている住民に食料が行き渡らず、医療体制も不十分で、市民らは当局に怒りをぶつけているが、中国ではこうした政府批判は珍しい。

ロックダウン長期化で人々の不満も爆発寸前か(4月上旬、上海・徐匯市で。Graeme Kennedy /iStock)

中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」を見ると、人々の不満の声が散見された。

「今朝SNSを見ていたら、上海でコロナ期間中に亡くなった人のリストが出ていた。また開こうとしたら、もう削除されていた。政府は市民生活の問題を解決するのは遅いのに、こういうのはあっという間だ」

との書き込みのほか、路上で現地視察中の李強書記と見られる市幹部に対し、室内から大声で呼びかける動画もあった。動画では、男性がこう叫んでいた。

必要なものが何も手に入らない。食べ物が買えない。ネットでも買えない。どうしたら良いんですか? 感染者が近くにどのぐらいいるかも分からない。何も通知がない」

こうした声が削除されずに残っているのは、不満のガス抜きが必要と中国政府が考えているからかもしれない。上海には、市外からも物資が送られているが、ロックダウン解除の見通しはまだ立っていない。パンデミックが始まって以降、中国はもっとも厳しい局面を迎えているようだ。