WRC世界ラリー選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRTは4月21~24日、クロアチアで開催される2022年シーズン第3戦『クロアチア・ラリー』で、トヨタGRヤリス・ラリー1による今季2勝目を目指す。
チームは約2カ月ぶりに再開される、シーズンの第3ラウンドとなる今戦に計3台のGRヤリス・ラリー1を投入。エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組と前戦スウェーデンを制しランキングトップに立ったカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組、そして第2戦で3位表彰台を獲得したエサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組の3組が引き続きラリーを戦っていく。
トヨタチームは、新規定の“ラリー1”レギュレーションが導入された今季の開幕2戦を終えた時点で、ドライバー/コドライバー/マニュファクチャラー選手権のすべてでランキングトップに立っており、今シーズン最初のフルターマック(舗装路)ラリーでの成功により、ライバルチームとの差をさらに広げたいと考えている。
なお、2021年に初めてWRCイベントが行われたクロアチアの路面はグリップレベルの変化が大きく、それによって昨年は多くのドラマが生まれた。そんななかトヨタでは、エバンスとセバスチャン・オジエが最終ステージまでトップ争いを繰り広げ、わずか0.6秒差で8冠王者オジエが逆転勝利。エバンスとともにトヨタにワン・ツー・フィニッシュをもたらした。
今季も首都ザグレブを中心に展開されるラリーのステージは、隣国スロベニアに近いエリアに設定されている。路面の舗装コンディションは一定ではなく、それにともないグリップレベルも変化する。また、コーナーをショートカットする“インカット”走行により泥や砂利が舗装路に掻き出され、ステージを再走する際は非常に滑りやすいコンディションとなることが予想される。
ステージの全体的な特徴としては、中高速コーナーが続きジャンプをするようなアップダウンの激しい区間もあれば、低速で曲がりくねったテクニカルな区間もあり、選手には幅の広い対応力が求められるコースといえる。
そんなSSが待ち受けるクロアチア・ラリーは、21日(木)のシェイクダウンとセレモニアルスタートを経て、翌22日(金)に競技がスタートする。初日は大会最長120.38kmを8本のSSで走行。23日(土)もSS9~16の同じく8SSで争われる。
最終日の24日(日)は4本のSSが行われるが、このうちSS17/SS19は新ステージとなる。最終ステージのSS20は、ステージトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスポイントが与えられる“パワーステージ”だ。
■3名の異なるアプローチが好結果につながることに期待
「新しいレギュレーション下での開幕2戦は非常に激しいものだったが、しばらく間が空いたことで、ここまで学んできたことを評価してGRヤリス・ラリー1の開発を進めることができた」と語るのは、チームを率いるヤリ-マティ・ラトバラ代表。
「サルディニア島ではグラベル(未舗装路)テストを、先週はクロアチアで事前テストを実施した」
「これまでは信頼性とハイブリッドシステムの機能面にフォーカスして開発をしてきたが、これからはクルマのセットアップを最適化し、さらに戦闘力を高めていくことが可能になる」
トヨタチームのボスは、今戦の課題にグリップレベルの変化とその対応を挙げた。
「クロアチア・ラリーでの大きな課題は、ステージの路面状態が変わりやすく、グリップレベルが大きく変化することだ。昨年は多くのドライバーがその変化に驚くことになったが、今年で2回目の参戦となるドライバーは、どうなるのか予想することができるだろう」
「カッレ(・ロバンペラ)は昨年(SS1でクラッシュしリタイアとなったため)、あまり長い距離を走っていないが、ポイントを獲得し続けることの重要さを理解している」
「エルフィン(・エバンス)は2021年に勝つ寸前まで行ったので、今年もいい結果を狙っているはずだ。一方、エサペッカ(・ラッピ)にとっては完全に新しいラリーになる」
「各選手はそれぞれ異なるアプローチでラリーに臨むことになるが、それが最終的にチームにとって良い結果につながることを期待しているんだ」
なお、4台目のトヨタGRヤリス・ラリー1を走らせる勝田貴元/アーロン・ジョンストン組は、引き続きTOYOTA GAZOO Racing WRTネクストジェネレーションからラリーに挑む。彼は昨年、クロアチアのSS2本でベストタイムを記録しており今戦でも活躍が期待される。