TOYOTA GAZOO Racing WRTのテクニカルディレクターであるトム・フォウラーは、WRC世界ラリー選手権第4戦ポルトガルでふたたび実現する“ふたりのセブ対決”を楽しみにしているひとりだ。
既報のとおり、5月19~22日にかけてポルトガル北部で開催される今季第4戦『ラリー・ポルトガル』には、合わせて17回のワールドタイトルを獲得しているふたりのセバスチャンが登場する。フォウラーはそのうちのひとりである8冠王者セバスチャン・オジエとともに、元9連覇王者のセバスチャン・ローブに挑むことを楽しみにしている。
通算8度目のタイトルを獲得した2021年限りでWRCのフルタイムドライバーから引退したオジエと2年以上一緒に働いてきた彼は、オジエが“ハイブリッド時代”最初のグラベル(未舗装路)ラリーとして行われるポルトガル戦で勝利することによって、惜しくも敗れた2022年シーズン開幕戦ラリー・モンテカルロの雪辱を果たすことができると考えている。
そのラリー・ポルトガルで、Mスポーツ・フォードWRTから2度目の出走を果たすローブは今年1月、フレンチアルプスでフォード・プーマ・ラリー1を駆り、パンクで遅れたライバルのトヨタGRヤリス・ラリー1から勝利をもぎ取った。
「私は勝つチャンスがあると思う。なぜなら、彼はセバスチャン・オジエだからだ」と語ったフォウラー。
ローブとのライバル関係についてはどうだろうかと問われた彼は、「いいんじゃないかな。彼ら自身もこういうことを望んでいると思う」と答えた。
「ライバル関係があるからこそ、こういうイベントをやりたがるのだと思う。きっと彼らはお互いにまた会いたいと思っていただろう」
「私はふたりが友人であると確信しているが、(会いたいというのは)個人的なことではなく、お互いに戦いたいという意思に基づいているはずだ」
「冷静に見てみると、オジエのほうが最近(のシーズン)までラリーカーに乗っているし、ポルトガルのイベントにも出ている。だから、彼のほうが優勢だと言わざるを得ない。さっきも言ったように、これは素晴らしいことでチャンピオンシップにとってもいいことだし、物事に少しスパイスを加えることになる」
フォウラーの見立ては、初日の走行順を見ても納得できるものだ。週末の天候が安定してドライで保たれれば、オジエはローブよりも有利な位置でラリーを開始することができる。ライバルのローブが4番手でスタートする一方、その4つ後ろの8番手スタートとなるトヨタGRヤリス・ラリー1のドライバーは“ルーズグラベル”が取り除かれた、よりグリップのあるきれいな路面でオープニングレグを走ることが可能となる。