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 3時間のFP1、1時間の予選、2時間のFP2と、サポートレースを間に挟みながら計6時間もの走行セッションが行われた、ル・マン24時間のレースウイーク初日。走行終了は24時と、この水曜日からいきなり“耐久モード”となるサルト・サーキットのパドックから、各種トピックスをお届けしよう。

■オークションにかけられるデラーニの特別ヘルメット

 グリッケンハウスの708号車をドライブするピポ・デラーニは、フランスのアーティストであるジスバールが制作した、ル・マン向けの特別ヘルメットでレースに臨んでいる。

 このヘルメットは、ブラジルのサンパウロにある小児・青少年病院GRAACCへの寄付を目的に、週末にはオークションにかけられる予定だ。

 オークションのページで、デラーニは次のように述べている。

「僕は常にGRAACCの活動をフォローしてきた。僕はこの行院を訪れたことがあるが、この30年間に彼らが行ってきたことは素晴らしいもので、癌と戦う多くの子どもたちや青少年を助けてきた。多くの人が知るように、僕の父は2018年にこの病気で亡くなったが、僕はこの行動を通じて彼を称える方法を見出しているんだ」

■ル・マン後、グリッケンハウスの1台はグッドウッドへ
 グリッケンハウス・レーシングのチームオーナー、ジム・グリッケンハウスによれば、ル・マン後のWEC第4戦モンツァ6時間レースには、1台のグリッケンハウス007 LMHで参戦するという。

 709号車はモンツァの2週間前にイギリスで開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードに参加し、708号車がモンツァ戦に参戦する予定だ。なお、モンツァでのドライバーラインアップは未定となっている。

 WECは9月には富士6時間レース、11月にはバーレーン8時間レースが控えているが、モンツァ戦の後のチームの計画については未定だという。「一日一日を大切に過ごしている」とグリッケンハウスはコメントしている。

 グリッケンハウスは、ル・マン・ハイパーカーがこの先の事業計画のなかでどのような位置付けにあるかについて、株主と話し合いを持ったものとみられる。グリッケンハウスは、将来的に同社のモータースポーツプログラムのWEC側へとより多くの予算を割くための、新たな出資者の存在を示唆している。

モンツァには参戦しないことが分かったグリッケンハウスの709号車グリッケンハウス007 LMH
モンツァには参戦しないことが分かったグリッケンハウスの709号車グリッケンハウス007 LMH

■水曜のパドックで目撃された人々

 レースウイークの走行初日となった水曜日には、多くの関係者がパドックで目撃された。

 メルセデスF1ジュニアドライバーのアンドレア・キミ・アントネッリは、プレマ・オーレン・チームのゲストとして迎えられた。16歳の彼は、イタリアF4選手権に同チームから参戦している。

 WRC世界ラリー選手権でMスポーツのフォードをドライブするピエール-ルイ・ルーベは、アルピーヌのゲストとして登場した。なお、WRC王者のセバスチャン・オジエがル・マンでドライブするリシャール・ミル・レーシングチームは、アルピーヌ同様にシグナテックがオペレートしており、ふたりのWRCドライバーが同じガレージ内にいることになる。

シグナテックがオペレートするアルピーヌA480・ギブソン
シグナテックがオペレートするアルピーヌ・エルフ・チームの36号車アルピーヌA480・ギブソン

 このほか、ロジャー・ペンスキー、3度のル・マン総合優勝を誇るブノワ・トレルイエ、クラス優勝2回のヨルグ・ベルグマイスター、昨年のレースではガレージ56枠から出場したフレデリック・ソーセ、元マクラーレンF1のエリック・ブーリエなどが水曜のパドックで目撃されている。

 また先日、2024年に投入するLMDh車両のベースシャシーをリジェとすると発表したランボルギーニ・スクアドラ・コルセの代表団も、ル・マンへと向かっている。

■アクシデント、トラブルなどの舞台裏

 アルガルベ・プロ・レーシングは、フリープラクティス1でのスティーブン・トーマスのアクシデントにより破損したオリジナルのシャシーに代わり、新たなモノコックを投入する。この結果、45号車オレカ07・ギブソンは予選とFP2に出走しなかった。


 LMGTEプロクラスで唯一ハイパーポール進出を逃したライリー・モータースポーツ74号車フェラーリ488 GTE Evoのフェリペ・フラガは、アタックラップ中のトラフィック、降り出した雨、ターボのオーバーブーストによる3回のラップタイム削除など、さまざまな要因が重なり、予選タイムを出すことができなかった、と語った。

ライリー・モータースポーツが走らせる74号車フェラーリ488 GTE Evo
ライリー・モータースポーツが走らせる74号車フェラーリ488 GTE Evo


 チームオーナーのミロ・コノプカによれば、通関に伴う輸送の遅れにより、ARCブラティスラバチームがギヤボックスを受け取ったのは先週の金曜、公開車検の初日だったという。なお、スロバキア人のコノプカは、これがドライバーとしての最後のル・マンになると予期している。

 ティメン・バン・デル・ヘルムは、モンツァ6時間レースでARCの44号車オレカをドライブすることが決まっているが、彼とコノプカとともにドライブするもうひとりについては、まだ定まっていない。

ARCブラティスラバの44号車。カラーリングが改められている
ARCブラティスラバの44号車。カラーリングが改められている


 公開車検における参加審査に参加できなかったドライバーに課される3000ユーロの“罰金”について、その後パドックでは「取り消されるのでは」と噂されている。しかし、ACOの広報担当者はこの規定が「依然として有効である」と明言した。

 ル・マンの特別規則書に定められたこの罰金規定については、来季に向けて修正される可能性があるという。


 自動車マニュファクチャラー、パーツサプライヤー、ミシュランが参加するLMDhのテクニカル・ワーキンググループの会議が、今週初めにル・マンで開かれたものと、Sportscar365は理解している。

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 走行2日目となる9日木曜は、FP3、予選ハイパーポール、FP4の3本の走行セッションが予定されている。