2022年 SUPER GT第2戦 富士スピードウェイ[GT500]
野尻智紀/福住仁嶺(ARTA NSX-GT/BS)が優勝。波乱のエンディング
開催場所:富士スピードウェイ
開催日:2022年05月03日(火) 〜 2022年05月04日(水)
コロナ禍による移動規制が緩和されて3年ぶりに5月の富士スピードウエイに大観衆が戻ってきた。450キロ(100周)レースの半ばを過ぎようとしていた時に起きた複数のアクシンデントのよって2度の赤旗中断。62周時点で決勝レースの最大延長時間を経過してレースは終了。ゴールを切ったトップ2台にペナルティが科せられ、3位を走行した野尻智紀/福住仁嶺(ARTA NSX-GT/BS)が優勝。表彰台をブリヂストンユーザーが独占した。
予選
天候に恵まれていたが、気温が低く、路面温度も予想してほどは、上がらない状況だった。Q1ではトムスチームの36号車、坪井翔/ジュリアーノ・アレジ(au TOM’S GR Supra/BS)と37号車、サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋(KeePer TOM’S GR Supra/BS)がトップ2を占めた。今回久しぶりの300キロ以上のレース距離を考慮して、決勝を見据えたタイヤ選択が主流だった。Q2のトップ3は他社メーカーのタイヤを装着した車両が位置したが、4番手にフェネストラズ/宮田組が位置し、その背後にもブリヂストンユーザーが連なった。決勝での上位進出を狙っていくこととなる。
決勝
五月晴れ、気温20度、路面温度は35度まで上昇するなか、午後2時30分、グランドスタンドを埋め尽くした観客の前でスタートが切られた。4番手スタートのフェネストラズ/宮田組が前を行く3台を一気にパスして1周目にトップに立った。そして8番手スタートの坪井/アレジ組が1周目に3位、そして2周目に2位へジャンプアップしてブリヂストンユーザーの1-2体制となった。
今回、レース中に2回の給油義務があり、レース周回数の3分の1辺りから1度目のピットインが行われていたが、その直前に坪井/アレジ組がトップに立っていた。レースほぼ半ばで1度目の赤旗中断の後、再開された周にトップの2台が1コーナーで接触。ピットインのタイミングを遅めにする戦略で3位に上がっていた関口雄飛/中山雄一(DENSO KOBELCO SARD GR Supra/BS)がトップに立った。
そしてその数周後にホームストレートで起きたクラッシュで2度目の赤旗中断。スピードがのったストレートでの出来事だっただけに車両は大破し、ガードレールまで破損するほどの大きなアクシデントだったが、レースオフィシャル・サーキット関係者の迅速かつ的確な処置によりドライバーはすぐに搬送され、レースの再開を目指して1時間を超える復旧工事が懸命に行われた。幸いドライバーは無事が確認され、レースも再開されることとなった。
しかしその時刻は最大延長時間の10分前。安全確保のためにセーフティカーの先導で3周した時に時間が経過し、レース終了。そして、トップの関口/中山組(赤旗中断中の作業違反)と2番手のフェネストラズ/宮田(36号車との接触)にペナルティが示されてドライブスルー相当の40秒が加算され、3番手でゴールラインを切った野尻/福住組が優勝となった。
2位には坪井/アレジ組、3位に平峰一貴/ベルトラン・バゲット(CALSONIC INPUL Z/BS)となり、表彰台をブリヂストンユーザーが独占した。なお、レース距離の75%が満たされていない為、シリーズ得点は通常大会のハーフポイントが与えられた。
優勝ドライバーコメント
野尻智紀選手
「大クラッシュした高星明誠選手が無事で本当に良かったと思っています。レース中断の最中は、僕としては正直再び走りたいとは思えなかった状況でした。でもこれは僕らの仕事だと思ってクルマに乗り込み、それでもやっぱりどこか気持ちの整理がつかないままセーフティカー・ランのままチェッカーという形となりました。本当にたくさんのお客さんがこれ以上ないんじゃないかというくらい僕たちを温かく迎えて応援してくださっていることが、ものすごく僕たちの心に響きました。今回たくさんのお客さんが戻ってきてくれたので余計にそう感じているのかもしれませんが、ファンの皆さんに支えられているんだなとすごく思いました」
「このレースを見に来ていただきたいと思っているので、これからも飽きずにSUPER GT、モータースポーツを楽しんでいただきたいと思っています。長い間ファンのみなさんにはお待たせしましたが、最後までご覧いただきありがとうございました。今日は優勝という形で終わりましたが、少し僕たちの複雑な感情がモロに出てしまった表情も皆さんにお見せしてしまったかなと思います。だから、次戦はしっかりと僕と福住仁嶺選手とチームと、そしてファンのみなさん全員で喜べるような優勝したいと思います。がんばります」
福住仁嶺選手
「結果としてこういう状況でレースが終わってしまって……、僕だけでなくサーキットにいるみなさんがモヤモヤした気持ちでレースを終えることになったと思います。僕らドライバーの立場からいろいろ意見を言い合って、こういうアクシデントが起きないようにSUPER GTをもっと盛り上げられたら、と思います」
「今日のレースでは最初のスティントを走ったのですが、チームが今回用意してくれたクルマとタイヤはすごく良くなった部分も多かったし、その後の野尻さんにもすごくがんばってもらいました。結果として優勝しましたが、今日のレースで新たにいろんなヒントを得たので、次戦に向けてもいろいろ考えていきたいなと思っています。次は僕たちも満足できる優勝ができるように、そしてサーキットまで足を運んでくださっているみなさんも満足して帰れるようなレースができるように、僕たちも全力を尽くしてがんばりたいと思います」
ブリヂストン MSタイヤ開発ダイレクター:寺田浩司のコメント
「予選では、路面温度が今回供給したタイヤではレンジの下限でした。450キロレースを踏まえて各チームさんの選択したタイヤはやや硬め。そして決勝では一気に温度が上がってくれたために最高のパフォーマンスを発揮でき、特にトムスさんの2台やほかのユーザーさん達が上位でバトルを展開していただきました。最大延長時間経過という形でレースは終了しましたが、表彰台を独占できました。次戦鈴鹿のテストも好結果が出ていますので、連勝を期待しています」
2022年 SUPER GT第2戦 富士スピードウェイ[GT300]
450キロレースにむけた作戦を駆使し優勝を目指したブリヂストンユーザーだったが、度重なるアクシデントによってレースは混乱し、上位進出ならず
予選上位から表彰台、優勝を目指して給油義務を処理する2スティントの作戦を駆使していたブリヂストンユーザーだったが、レースの半ばで起きた度重なるアクシデントによって2度の赤旗中断で作戦が機能せずにレースは最大延長時間が経過して終了。セカンドポジションからスタートして1周目にトップに立った富田竜一郎/大草りき/塩津佑介(TANAX GAINER GT-R/DL)が優勝。加藤寛規/堤優威(muta Racing GR86 GT/BS)が16番手から8位フィニッシュして、ブリヂストン装着車トップとなった。
予選
開幕戦の岡山で決勝中の素晴らしいペースによって3位フィニッシュを果たした蒲生尚弥/篠原拓朗(LEON PYRAMID AMG/BS)が5番手、川合孝汰/菅波冬悟(埼玉トヨペットGB GR Supra GT/BS)が7番手、武藤英紀/木村偉織(ARTA NSX GT3/BS)が10番手のグリッドという上位フィニッシュを狙える好位置につけた。
今回の450キロレースは昨年より150キロ長く、決勝日は気温&路面温度の上昇が予想された。加えて2回の給油義務という規則が設定されたため、やや硬めのタイヤを選択する作戦を駆使して上位ゴールを狙っていくこととなる。なお、ポールポジションは開幕戦に続き井口卓人/山内英輝(SUBAU BRZR&D SPORT/DL)が獲得している。
決勝
1周目からトップが入れ替わる展開だった。富田/大草/塩津組がスタートダッシュでポールスタートの井口/山内組をパス。それ以外は、レースの序盤では蒲生/篠原組までは順位の変動はなかった。川合/菅波組は、最序盤でピットインすると給油だけを行い2回の給油義務を早くも1回消化し、他車がピットインしてタイヤ交換、ドライバー交代をした際に上位進出を果たす作戦に出た。
一方で武藤/木村組が着々と順位アップ。そして、加藤/堤組は、スタートドライバーの堤が最大規定周回数(レース距離の2/3)まで走行する作戦で一気に上位進出を狙った。蒲生/篠原組は、給油ピットインの際にドライバー交代、給油、タイヤ交換のフルサービスを行う作戦で上位のポジションをキープ。しかし、2度の赤旗中断によって、各チームの作戦は乱される結果となった。
レースは、最大延長時間が経過した18時20分に終了。給油回数、ドライバー周回数の義務は撤廃された。最終盤に6位を走行していた蒲生/篠原組に対して他車との接触によるペナルティが科せられて40秒が結果に加算されて15位に後退。武藤/木村組はドライバー交代した直後に他車と接触。マシンにダメージがありピットまで辿り着くもリタイヤ。一度の給油だけで走行を続けていた加藤/堤組が8位でゴール、これがブリヂストンユーザーの最上位となった。
ブリヂストン MSタイヤ開発ダイレクター:寺田浩司のコメント
「ブリヂストンユーザーさんで上位フィニッシュが期待されたチームが他車との接触によってペナルティを科せられたり、ダメージによってリタイヤという結果になってしまいました。また、作戦を駆使して上位への進出途中だったチームも時間切れでレースを終えてしまいました。各車の決勝のペースが良かっただけに、残念な結果でした」