大型連休中、ツイッターで「上海電力」が連日トレンドワードに入った。
日本維新の会の創設者の橋下徹氏が市長在任中の大阪市で、メガソーラービジネスを中国企業の上海電力が受注していたことがクロースアップ。ネットでは連日、保守系の人たちを中心に経済安全保障の観点から、日本の重要インフラであるメガソーラービジネスに中国資本が参画していることを問題視し、市長だった橋下氏の責任があるのか追及する騒動になっている。
ネット上では橋下氏に説明を求める声
ことの発端は、保守系論壇誌、月刊Hanadaのネットメディア『Hanadaプラス』に掲載されている、元TBSテレビ記者の山口敬之氏による連載記事だ。連載記事の中で山口氏は次のように指摘し、橋下氏と大阪維新の会の責任を追及している。
メガソーラー事業は設置・運営コストを差し引いてもおおむね10%程度の利益が見込め、世界的な低金利の中では高い収益が期待できる。大阪府は咲洲のメガソーラー事業で、毎月巨額の利益を「上海電力」と中国政府と中国共産党に献上していることになる。
はっきりしているのは、メガソーラービジネスの中国企業への売り渡しの決定から実施に至る、すべてのプロセスが橋下氏と大阪維新の会が大阪府政を牛耳っていた時期に行われたという事実である。
この記事に、ツイッターなどのSNSは連日、橋下氏の説明責任を追及する声で溢れかえっている。
橋下徹氏には当時の市長としての説明責任があると思うので、ぜひ早急にしっかりと答えてもらいたい
このような重要なことを国民に報告をしない。これは犯罪に近いものがありますね。
さて上海電力との癒着疑惑、どこまで逃げ切れるでしょう?
この人の辞書には「説明責任」という言葉は無いらしい。
橋下氏が北村氏に猛反論
この問題は、ネット民から大きな関心を持たれているが、今のところマスコミで取り上げられた形跡はない。そんな中、『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)でかつて橋下氏と共演していた弁護士の北村晴男氏が、橋下氏がMCを務めるAbemaTVのトーク番組『NewsBar橋下』に出演。北村氏が、上海電力の問題を取り上げた。
北村氏「上海電力の問題、いろいろ言われているけど、これについてはきちんと説明した方が良い」
橋下氏「だってあれ、入札だから」
北村氏「きちんと一から百まで説明した方が良いですよ」
橋下氏「日本全国、中国の企業が絡んでいる取引があるんだから。WTOルールって知っている?調達ルール。特定の企業を排除することはできない。法律がないから」
この後も、きちんとした説明を勧める北村氏に橋下氏は、「入札の手続き見て、ちゃんと公正にやっているんだから」と反論していた。
なお、上海電力の日本法人の公式ホームページには、2014年3月16日付けで次のようなプレスリリースが掲載されている。
この事業は大阪市により招致いただいたもので、当社の日本における第一号太陽光発電所というだけではなく、大阪市にとっても最初の太陽光発電所建設となります。
上念氏「安全保障に目配せした民法改正必要」
この問題に関して、単に大阪市だけ、橋下氏だけを叩けば良いというものではないと指摘するのは、経済評論家の上念司氏だ。上念氏は自身の公式ユーチューブチャンネルで、「こういった問題は大阪市だけではなく、日本全国で起こっていること」だとして、原因を制度の不備だと指摘する。
日本は外国人でも土地の所有権が持てる。これを相互主義にして、日本人の土地所有を認めないような国、たとえば中国などの国に関しては、その国の国民は日本で土地所有をできないとしなければならない。安全保障に目配せした民法改正が必要。
上念氏のこの動画に、橋下氏は「公正な解説ありがとう!太陽光発電の普及や特定企業の入札に制限をかけるなら法律が必要」とツイートしていた。
公正な解説ありがとう!知事、市長が年に何万件もある入札の入札者の出資元を全件チェックすることなど不可能だし当時入札において特定企業を排除することは法律上不可。しかも太陽光発電の普及は政府方針になった。太陽光発電の普及や特定企業の入札に制限をかけるなら法律が必要。 https://t.co/3ENstVf3RQ
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) May 8, 2022
折りしも政界は連休も明けていよいよ参院選モードとなり、前哨戦のような舌戦が激しくなっている。読売新聞によると、自民党の茂木幹事長が8日に大阪市で行った街頭演説で、橋下氏を念頭に、「ウクライナ侵略で国際社会はロシアに厳しく当たっているが、維新の創設者はロシア寄りの発言を繰り返している。維新の国会議員は身内に何も言えない」と批判した。この発言についても橋下氏は同日深夜、ツイッターで「維新にとって僕は身内ではない。考え方は異なる。しかも僕はロシア寄りではない」と反論した。
参院選を前にした「自民 VS 維新」のつばぜり合いも手伝って、橋下氏と上海電力を巡るこの問題は泥沼化していくのだろうか。