Lamborghini Huracan GT3 EVO2
2022年末からカスタマーにデリバリー
最新型の「ウラカン GT3 EVO2」は、2019年にFIAホモロゲーションを受けた現行のウラカン GT3 EVOから大幅なパフォーマンスアップを目指して開発。FIAの2022年GT3テクニカルレギュレーションに準拠しており、ドライバーの安全性向上も図られている。
今回、完全に刷新されたエアロダイナミクスに加えて、新形状のルーフエアインテークが導入された。六角形エアスクープとリヤのフィン形状はウラカン STOから採り入れられ、効率的なインテークシステムと車両バランスの向上にも寄与している。
ウラカン GT3 EVO2は、2022年後半からデリバリーを開始。さらに従来のウラカン GT3 EVOも、エボリューションキットにより「EVO2」仕様へのアップグレードが可能となっている。サーキットデビューは2023年のデイトナ24時間レースが予定されている。
新形状のルーフエアスクープを導入
ウラカン GT3 EVOで採用されていたサイドエアインテークに代わり、新たにシュノーケル形状のルーフエアスクープを採用。このエアスクープは、フレッシュエアを高い効率をもってエンジンへと直接送り込むことができる。これにより、エンジンのスロットルレスポンスが大幅に向上した。
また、電子制御スロットルの導入により、チタン製バルブを備えた5.2リッターV型10気筒自然吸気エンジンの効率が大幅に向上した。スクアドラコルセが独自開発したこの新技術はエッセンサ SCV12で初めて導入されており、わずか4本のボルトでエンジンに固定されている。これにより、エンジンのメンテナンス作業も簡易化されている。
安全性を大幅に向上したコクピット
フルカーボンファイバー製ボディワークには、デザイン部門のチェントロ・スティーレと共同製作されたマッシブなデザインが採用された。さらに新形状のスプリッター、ディフューザー、アンダーボディは、エアロダイナミック効果を大幅に向上させる効果を持つ。
高強度合成繊維ザイロンファイバーでコーティングされたカーボンファイバー製フロアは、新形状のリヤディフューザーと組み合わされたことで、ウラカン GT3 EVOよりもダウンフォース量が増加。アルミニウム製リヤウイングステーはSTOの形状をヒントにしたデザインを採用しており、先代のGT3よりも細かいウイング角度の調整が可能となっている。
ロールケージは再設計され、2本のリヤピラーを追加。エッセンサ SCV12でも導入されたカーボンケブラーハニカム製サイドパネルにより、横方向の衝撃安全性も大幅に向上した。また、プレキシガラス製サイドウインドウをカーボンファイバー製ドアパネルにリング状ネジで固定することにより、構造上の剛性と信頼性を高めている。
低グリップ路面でも安定性が向上
ブレーキシステムは、スクアドラコルセが新たに開発したキャリパーとパッドに変更。これにより耐久レースとスプリントレースのどちらでも最適な制動性能を発揮する。このブレーキシステムに加えて、トラクションコントロール(TCS)とABSを組み合わせることで、低グリップのコンディション下でマシンをコントロールしやすくなったのは、ジェントルマンドライバーにとって朗報だろう。
ランボルギーニのモータースポーツ責任者、ジョルジョ・サンナは、ウラカン GT3 EVO2について次のようにコメントした。
「新型ウラカン GT3 EVO2は、単に現行GT3の進化版ではありません。ランボルギーニとスクアドラコルセ間の技術移転を強化するという、新たなプロジェクトの成果と言えます」
「このウラカン GT3 EVO2にはふたつの困難な挑戦が待っています。ひとつ目はデビュー以来6シーズンで40以上の国際タイトルを獲得してきた歴代ウラカン GT3と変わらない成功を収めること。そして、累計デリバリー数500台を達成し、商業的成功を手にすることです」