アルピーヌ・エルフ・チームのアンドレ・ネグラオとマシュー・バキシビエールは、ル・マン24時間テストデーでの直線スピードの不足を懸念している。彼らによると、アルピーヌA480・ギブソンはミュルサンヌ・ストレートでLMP2マシンを追い越すのに苦労していたという。
アルピーヌのマシンは6月5日(日)にル・マンで行われたテストデーの両セッションで、ハイパーカークラスの5台中5番手となった。
フランスチームのベストラップタイムはバキシビエールが記録した3分32秒420。全体のファステストタイムを記録した7号車トヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing)からは約2秒遅く、LMP2カーはこの2.5秒後方に位置している。
日曜日の計測データによると、アルピーヌのトップスピードは325.8km/hで、同カテゴリーで次に速い709号車グリッケンハウス007 LMHは6km/h速かった。グリッケンハウスの708号車と最速タイムを記録した7号車トヨタは337.0km/hで並んでいる。
また、セクターごとのベストタイムを見ても、アルピーヌはハイパーカークラスのライバルと比較して、ユノディエールとも呼ばれるロングストレートが多くを占める中間セクターでは、セクター1、セクター3よりも遅いことがわかる。
フランスチームはテストデーの結果を心配しているか、という質問に対しネグラオは次のように答えた。
「そうだ。だが、BoPの最初のパートが終わっただけなので、それを言うのはまだ早い」
「FIA国際自動車連名とACOフランス西部自動車クラブが、僕らがどれだけ後ろにいるのかを見てくれることを願っている。僕らのクルマは(LMH車から)完全に遅れているからね」
「主にタイムを失っているのはセクター2で、そこはストレートだ。他はまったく問題ないが、セクター2では1秒から1.2秒ほど遅れている」
「トップスピードはLMP2と互角なんだ。タイヤが良くなったから、セクター3ではかなり良くなっているが、直線では追い抜くのに苦労している」
「一方、グリッケンハウスとトヨタは330km/h以上出ているよね」
アルピーヌは、ル・マンのテストデーを前に発表されたBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)において10kW(約13PS)のパワーアップを認められ、セブリング1000マイルとトタルエナジーズ・スパ6時間の間に失った分のパワーを半分を回復させた。
大会前に発表されたBoPによると、アルピーヌA480の最大出力は420kW(約571ps)であり、これは昨年のル・マンに比べて30kW(約40PS)低い値となっている。
一方、トヨタは最大出力が昨年より9kW(約12PS)少ないが重量は4kg軽くなった。グリッケンハウスは出力も最低重量も前年と同じだ。
■「ストレート上ではLMP2クラスにいるような感じ」とバキシビエール
既報のとおりアルピーヌのフィリップ・シノー代表は、BoPの発表直後に「調整がないよりはマシ」とSportscar365に述べ、チームはより大きなものを期待していたと語っている。
「マシンは安定しているし、8時間(4時間×2)の走行にまったく問題はなかった」とネグラオは付け加えた。
「その点においては、かなり満足している。ただし、トップスピードとエンジンに関しては今のところ完全に狂っている。来週に向けて何かをチェックしてほしい」
「今はまだ何とも言えないが、(レースウイークは)コースが速くなっているから、もっと速くなるはずだ。でも、このトップスピードのままでは僕たちが望んでいるようには進めないと思う」
「もう1秒速くなれば……でも、トラフィックの分析が必要な場合もあるから、それ次第だ。それを抜きにしても、他のクルマよりも(トップスピードが)10km/hも低いというのはかなり大きいよ」。
テストデーのセッション2終了後の数分間、バキシビエールはかなり落ち込んだ様子だった。
彼は「ストレートではかなり苦戦している」と述べ、「LMP2と比べると彼らを追い抜くのはかなり難しい。ストレート上では、LMP2クラスにいるような感じだ」と続けた。
「最終的には、ハイパーカーよりもLMP2カテゴリーに近いと思う」
トヨタのWECテクニカルディレクターであるパスカル・バセロンは、コースコンディションが昨年8月に行われたテストデイと似ていることを指摘し、昨年とのBOPの違いを考慮すれば、GR010ハイブリッドのベストラップタイムは期待どおりのものだと示唆した。
今年のテストデーでの最速ラップはホセ-マリア・ロペスの3分29秒896。2021年は同じく7号車のマイク・コンウェイが3分29秒340を記録している。
「私たちが予想していたことは、昨年より遅くなることだ」とバセロン。
「私たちは、まさに予想したラップタイムの範囲内にいる」