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どっから読むとそーなるの!!? 難読インターチェンジ&SA/PA

 日本語は世界でも最も難しい言語のひとつ、と言われるのは、ひらがな、漢字、カタカナの3つが存在するうえに、同音異義語、同形異音語が他言語より格段に多い点にある。

 そして人名、地名にはいろいろな「いわく」があり、同じ文字でも読み方が変わて結果「難読」となるケースが多い。極端なことを言えば、太郎と書いて『はなこ』と読むんじゃあ! と言い張ることも可能だ。

 たとえば、「徳次郎インターチェンジ」にしても、知らなければ『とくじら』と読める人はほとんどいないだろう。

 この徳次郎インターがある徳次郎町は、宇都宮市に編入以来『とくじろうまち』だったが、昨年3月に住民の要望で『とくじらまち』に変更。これを受け一時期「とくじろう」に変更されていたインターチェンジの名称も「とくじら」に戻された。

 本企画では、なんでこんな読み方なの? こんなの見たことない、といった難読のインターチェンジ&SA/PAを初級、中級、上級の3段階で紹介。いくつ読めますか?

※本稿は2022年4月のものです
文/ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部、AdobeStock(メイン写真素材=w_p_o@AdobeStock)ほか ※メイン写真はイメージです
初出/ベストカー2022年5月10日号

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■これはほんの序の口……初級編

 まずはこれから。地名として有名どころもあるので、読めるものも多いかも。リラックスしてスタート!!

●嵐山小川IC(関越道)…嵐山といえば、まごうことなく京都の嵐山(あらしやま)を想像するが、こちらは『らんざんおがわ』と読む。埼玉県比企郡嵐山町に由来。

●石和IC(中央道)…これは知らなきゃ読めないが、有名な石和温泉があるため読める人も多いかも。石和と書いて『いさわ』だ。

山梨県の石和温泉は都心からも近く、クルマでも電車でも行ける利便性でも人気が高い

●用瀬IC(鳥取道)…知らなきゃ『ようせ』と読むだろうが、用瀬は流しびなで有名で、それを知っていれば『もちかぜ』と読めるハズ。

●三次IC(中国道)…れはクルマ好きならなじみのある名前では?『みつぎ』ではなく『みよし』。マツダのテストコースがある場所として有名だが難読。

●常滑IC(知多半島道路)…中部地方の人なら誰もが読めるだろうが、そのほかの地域の人にとっては難読。『つねかつ』『じょうかつ』ではなく『とこなめ』と読む。

●安曇野IC(長野道)…『あづみの』は聞きなれて有名な地名だが、こんな漢字なのだ。ちなみに表記論争があったが、『あずみの』ではなく『あづみの』で決着。

●諫早IC(長崎道)…「諫」の文字など、この地名以外では見たことないが、九州在住でなくても、諫早湾干拓問題などで『いさはや』と読める人も多いはず。サービス問題!!

*   *   *

 こんな程度? と思っている人も多いだろうから、ココからちょっと難しくなるよ。

●安宅PA(北陸道)…普通に読めば『あんたく』『やすたく』だが、正解は『あたか』。難しいね。

●大和IC(東北道)…大和は『やまと』『だいわ』と読むケースが多いが、こちらは『たいわ』と濁らないので要注意。ちなみに、北陸道の大和パーキングエリア(新潟県)は『やまと』。

●都留IC(中央道)…担当は昔この「都留」という文字を都留文科大学で見て、『とどめぶんかだいがく』と思い込んでいた。わりと危ない。正解は『つる』で、富士山の近くや山梨県東部の都留市に由来。

●栗東IC(名神高速)…これ、JRAのトレーニングセンターがあるので競馬好きなら簡単にわかるはず。あと、50歳以上の世代の人なら、グリコ森永事件でたびたび栗東ICが登場していたので知っているかも。『くりひがし』『くりとう』ではなく正解は『りっとう』。意外に普通!?

●甲賀土山IC(新名神高速)…忍者の甲賀に由来しているが、なぜか読み方は『こうか』と濁らず、『こうかつちやま』と読む。ちなみに『こうかつちやま』と入力しても甲賀土山と変換されない……。

●美作IC(中国道)…これ、『みさく』またはちょっとひねって『みつくり』と読みがちだが、『みまさか』が正解。岡山県美作市で、岡山国際サーキットに行く時の最寄りインターのひとつだ。

●蒜山IC(米子道)…少なくとも担当は、小中高で『蒜』という文字を習った記憶がない。でも読める。なぜか? それは、かつて一大ブームとなったB級グルメで全国区となった『蒜山やきそば』を食べたから。じゃなきゃ『ひるぜん』なんて読めるわけがない。

B級グルメの王者「蒜山焼きそば」は、蒜山高原に代々伝わる秘伝のたれが旨さの秘訣。今や全国区

●日明IC(日明バイパス)…日本では珍しく遺構を見学できる日明城址は城好きに有名なスポットだからすぐわかるはずだが、プロレスファンなら、すかさず『あきら』と答えそう。でも残念ながらブブー。この日明の正しい読み方は『ひあがり』。

●北上江釣子IC(東北道)…この文字を見て、女性漫画家先生を想像したのは担当だけでしょうか? 子が付く=女性の名前という古臭い思考のオヤジには、女性の名前にしか思えない。読み方は『きたかみえづりこ』とほぼそのままながら、殿方の想像をアレコレ書き立てると思い紹介。なんのことはない、江釣子村(現北上市)という地名に由来するだけなのだが、しつこいようだが、なんかエロい。

●寒河江IC(山形道)…江釣子に続いてみちる、いやもとい寒河江でいこう。寒河江と言えば、漫画『地獄少女』に登場するショートカットの寒河みちるを知っていれば超簡単。寒河江と書いて『さがえ』。ほぼそのままだったね。では間髪入れず、中級スタート!!

■う~ん、難しくなってきた!!……中級編

 中級の一発目は、うんちくも兼ねてこれからスタート。ただし、中級が初級より必ずしも難しいという保証はないので悪しからず。

●飯田上久堅・喬木富田IC(三遠南信道)…インターチェンジの名称が複合化されている近年、インターチェンジの名称が長くなってきているが、飯田上久堅・喬木富田は現在最も長い名前のインターチェンジだ。両名称の間に・(なかぐろ)が入れられているのも珍しい。読み方は『いいだかみひさかた・たかぎとみだ』。ひらがな表記だと15文字もある!!

●鋸南富山IC(富津館山道)…鋸は『のこぎり』と読むが音読みがわからないと『のこぎりみなみとやま』以外に読みようがない。正解は『きょなんとみやま』と読む。千葉県安房軍鋸南町になることに由来。ただし、富山は『とやま』ではなく『とみやま』というのもポイント。

●高鷲IC(東海北陸道)…有名なスキー場『高鷲スノーパーク』があるため、名前を聞いたことがある人もいるかもしれないが、知らなければ『たかわし』と読むのが普通。正解は『たかす』。いや〜、わからん。『たかす』から想像する文字は、高須(クリニック)、鷹栖(ホンダのテストコース)でしょうね。

●淡河PA(山陽道)…これは上級編に入れてもいいくらいの難読度。所在地の神戸市淡河町に由来。『おうご』なんてひっくり返っても読めない!! 音感が外国語っぽくてちょっとカッコいい!!

●巨椋IC(京滋バイパス)…『きょむく』ではなく、『おぐら』と読む。なお、第二京阪道路には巨椋池にちなんだ巨椋池IC(京都市伏見区)も存在する。

●加須IC(東北道)…関東在住の人にとっては、見慣れた名前だが、そうでなければ難しい。『かす』ではなく『かぞ』が正解。これは埼玉県の加須市にちなんで命名。

●輪厚PA(道央道)…北海道は難読地名の宝庫ゆえ、大量にあるなかからこれ。輪厚と書いて『わっつ』と読むのが正解。諸説あるが、輪厚川に由来しているらしい。

●酒々井IC(東関道)…関東の人にはなじみ深い酒々井も、そのほかの地域の人にとっては目ウロコだろうね。『しすい』と読む。

酒々井は東関道の重要なインターチェンジで、アウトレットができてからさらに重要度が増した

●安心院IC(東九州道)…見るだけでなんだか癒される名前だが、これで『あじむ』なんて知らなきゃ絶対読めない。安心院は大分県宇佐市にある地名だ。

●松橋IC(九州道)…普通に読めば『まつはし』以外ないが、正解は『まつはぜ』。かつて存在した松橋(まつはぜ)町に由来している。

●会津坂下IC(磐越道)…『さかした』じゃないよ、『ばんげ』だよ!! これまた地名で坂下町に由来。ホント町の名前は難しい。

 残すは上級編!! いってみよ〜!!

■もはや解読不能レベル……上級編

 ということで初級編、中級編を経てラストの上級編。もうすこしで全編踏破!!

●象潟IC(日本海東北道)…秋田県にかほ市にあるインターチェンジで、『きさかた』と読む。象はどこにいった?現在は平地だがかつて潟湖だったところを象潟(きさかた)と呼んだ、この地域の地形に由来している。

●宍粟JCT(中国道&播但道)…『ししくり』ならぬ『しそう』と読む。このJCTがある宍粟市からつけられているが、知らなきゃ絶対読めない!!

●及位IC(東北中央道)…及位とかいて『のぞき』と読む。絶対無理!! こいつも地名に由来。それにしても日本の地名は奥が深すぎる。

●三光下秣IC(中津日田道路)…鶏の唐揚げで有名な大分県中津市にあるのが三光下秣ICなのだが、担当は株という字かと思っていたが、よく見ると違う。ここで初めて『秣』という漢字を見た気がする。読み方は『さんこうしもまくさ』だというから驚き。ただし『まくさ』と、打ち込んでも『秣』には変換されず。こちらもこれまでの例にもれず町の名前に由来しているが、『秣』には牛馬の飼料となる草を意味するらしい。

●上毛IC(東九州道)…これ普通に読めば『じょうもう』。上毛高原など群馬では『じょうもう』が当たり前。しかし、福岡県にある上毛ICは、『こうげ』と読む。あ〜、難読文字の連続に担当も疲れてきたけど、まだまだ!!

●岩出根来IC(京奈道)…このインターチェンジは和歌山県岩出市にあるの。岩出はふつうに『いわで』ながら、根来はぶっ飛びの『ねごろ』。根来塗という漆器で有名なので読める人は読めるかも。

●麻績IC(長野道)…麻績とかいて『おみ』と読むが、どっちもまったく普通の読み方とは無関係ゆえ知らなきゃ解読不能だ。

●いわき勿来IC(常磐道)…『勿』という文字は、勿論(もちろん)でしか見たことがない人がほとんどだと思うが、勿来とかいて『なこそ』。この勿来というのは、現代語にすると「来るな」という意味になるらしい。来ちゃダメなの?

茨木県の勿来といえば勿来海岸が有名で、首都圏では人気が高い。ドライブコースとしても最適

●長崎芒塚IC(長崎道)…これも特A級の難読インターで、芒塚は『すすきづか』と読むらしい。芒塚の名前は町の名前だが、これは蕉門十哲のひとりと言われる向井去来が読んだ句から来ていると言われている。

●引田IC(高松道)…この手の簡単な字の場合は、だいたいひねった読み方なものが多く、こいつも例外でなく引田と書いて『ひけた』。『引』という字を『ひけ』と読めそうでなかなか読めない……。

●温品IC(広島高速)…これは読めそうで読めない? どうなんだろうか? 担当は広島出身だから問題なく読めたが、温(ぬく)から『ぬくしな』。ちょっと、簡単だったかな。まぁ、『おんぴん』と読む人はいないよね。

●国縫IC(道央道)…北海道の地名は難読の宝庫だが、その町を知っていれば読めるのかもしれない。でも国縫と書いて『くんぬい』はなかなか難度が高い。アイヌ語で黒い野火を意味する『クンヌイ』が由来という説があると言われている。

国縫漁港は陸と橋で結ばれた人口漁港で、日本初のワイングラス型。一度は見てみたいもの

●古布IC(南知多道路)…古布ICはハーフインターチェンジと呼ばれる簡素なもので、料金所もなく、精算は隣のインターで行うこととなる。で、読み方は『こう』。ただ、『こふ』と発しても、正しく『こう』と発音したように聞こえるかも。ということで、本企画のラスボスの登場だ!!

●南風原北IC(那覇空港自動車道)…南風原北と書いて、『はえばるきた』と読む。こんなの知らなきゃ読めるわけがない。一万歩譲って九州では『原』という文字を『ばる』と読むことが多々あるのでまぁよしとしても、南風と書いて『はえ』っていったい……。

■おわりに

 いったい難問正しく読めただろうか? 全部読めた人にはBC編集部からインターチェンジ博士の称号を贈呈。本企画で地名の奥深さを再確認!!

高速道路を走行中に周囲を見回すことは重要だが、難読だからと言ってジックリ見るのは危険

【番外コラム】変化球!? の読み方事例3選

●読み方が4つある!?

 岐阜県各務原市の正式な読み方は? そもそも初見ではほぼ読めない各務原という地名だが、『かかみがはら』というのが正しい読み方だ。

 東海北陸道の岐阜各務原インターチェンジ、名電各務原駅は『かかみがはら』だが、各務原市にあるJR高山線の駅名は各務ヶ原駅(ヶが入る!!)と書いて『かがみがはら駅』と読む。ちなみに前述の名電各務原駅はかつて『かがみはらえき』だった!!

 さらに各務原市内にある各務原高校は『かかみはら』と、新旧合わせて4通りの読み方が混在する。

 正式呼称のほかに3つも存在する各務原だが、どれも間違いではないという、ミステリータウンに認定したい。

●濁る? 濁らない?

 滋賀県唯一東海道新幹線の停車駅である米原駅は『まいばらえき』と読む。それに対し、高速道路の米原IC、米原ジャンクションは、『まいはら』と濁らない。

 米原市は、2005年に米原(まいはら)町ほか3町が合併し、公募により『まいはら』ではなく『まいばら』となった。

 IC、ジャンクションはできた当初は『まいばら』と濁る読み方の時期もあったが、現在は字名にあわせたままの『まいはら』で通しているということ。

 ちなみに米原市米原は、『まいばらしまいはら』となる。

●読み方がいっぱい!!

 神戸を『こうべ』とほとんどの人が即座に読めるのは、兵庫県神戸市が有名だから。

 しかしこの神戸は、いろいろな読み方の町村が存在している難読地名で、『こうど』『ごうど』『ごうと』『かんべ』『かんど』『かのと』『じんご』『かど』と多種多彩。日本の地名の難しさを痛感。

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