Ferrari SF90 Stradale Versione Speciale
2008年のF1マシンに初採用されたSダクト
現在、フェラーリ・ファンがもっとも注目しているのは、初のクロスオーバーモデルとして登場する「プロサングエ」かもしれないが、現在開発が行われているフェラーリのニューモデルはプロサングエだけではない。今回、ハイブリッドハイパースポーツ「SF90」のノーズ部分にカモフラージュが施されたテスト車両をキャッチした。
コードネーム「F173VS」が与えられた「SF90 ヴェルシオーネ スペチアーレ」には、F1マシン由来の空力デバイス「Sダクト」が採用される。
Sダクトは2008年シーズンのF1グランプリにおいて、フェラーリが初めて導入した空力デバイス。市販モデルでは、2018年にデビューした「488 ピスタ」で初めて導入された。バンパー下部のダクトから取り入れた空気を、ボンネットに新設されたエアアウトレットに流すシステムだ。
Sダクトはこのエアフローを利用してダウンフォースを発生させる構造で、バンパー下部に設けられたエア吸気口は高い全圧を利用し効率的に空気をSダクトへと供給。その結果、アンダーボディ中央部分にダウンフォースを生み出す。
「コンペティツィオーネ」や「スペチアーレ」の名称も
F173VSはカタログモデルとはならず、限定仕様として少量生産される可能性が高い。かつて「VS」のコードネームは、後に「812 コンペティツィオーネ」のテストバージョンとして使用されていた。そのため、デビューの段階では「SF90 コンペティツィオーネ」、もしくは「SF90 スペチアーレ」として登場するかもしれない。
現時点で、F173VSに関してはエアロダイナミクスの変更のみが判明している。今回撮影されたテスト車両には、ヘッドライト下に2基の小さな開口部が設けられており、フロントバンパーの側面には何か新たな空力処理も施されていた。フロントホイールアーチ前のバーティカルフィンが小型化されるか、取り外されているようにも見える。さらに、新形状のリヤウイングが装着されるという噂もあるようだ。
2023年末以降のデビューが濃厚か
パワートレインに関しては、4.0リッターV型8気筒ツインターボと3基の電気モーターにより、最高システム出力1000psと、現時点で過大とも言えるパワーを誇っており、アップグレードがあったとしてもそれは軽微なものに落ち着くだろう。
フェラーリはSF90のコーナリング性能に課題があるとしており、電動パワーステアリングやブレーキ・バイ・ワイヤの改良も行われる予定。F173VSは、現時点で開発初期段階にあり、デビューは早くても2023年末以降になると見られている。