6月5日、2022年WEC世界耐久選手権第3戦として開催される第90回ル・マン24時間レースのテストデーのセッションが、フランス・ル・マンのサルト・サーキットで行われ、2台のGR010ハイブリッドでハイパーカークラスに出場するトヨタGAZOO Racingは、7号車が総合トップ、8号車が3番手で8時間の走行を終えた。
昨年デビューしたGR010ハイブリッドは、2022年シーズンを前に前後のタイヤサイズや空力面に変更が加えられており、この仕様でサルト・サーキットを走行するのは初めて。したがって、この日トヨタは「クルマとタイヤの挙動などについて可能な限り多くのデータを収集することが最優先だったため、1周のラップタイムについては重要視していなかった」という。
そんな中、トヨタは7号車のホセ・マリア・ロペスが、午前のセッション1、午後のセッション2ともに全体の最速タイムをマーク。8号車は午後に平川亮が刻んだタイムで全体の3番手となった。午後のセッションではタイヤコンパウンドの比較も行ったという。
なお、午後になって8号車には前日にフォーミュラEのジャカルタ戦を終えたセバスチャン・ブエミも合流している。
この後、レースウイークの初走行となるフリープラクティス1のセッションは、6月8日水曜日の現地時間14時(日本時間21時)に始まる予定となっている。決勝は11〜12日に行われる。
トヨタからテストデーに参加した6名のドライバーのコメントは、以下のとおり。
■「システムチェックに時間を費やした」と小林可夢偉
●小林可夢偉(チーム代表兼7号車ドライバー)
「トラブルなく、スムーズで順調な一日でした」
「まだル・マンウイークが始まったばかりで、これから1週間かけてコースコンディションはどんどん変わっていきます。今日はシステムチェックに時間を費やし、今後のコンディションの変化に応じて調整できるように準備を進めました」
「我々のGR010ハイブリッドはル・マンに合わせてデザインされており、いまのところバランス面での感触は良いですが、来週はどう変わるか分かりません。これからが楽しみです」
●マイク・コンウェイ(7号車)
「数日前にル・マンに到着しているが、実際にコースを走り始められるのは嬉しい」
「テストデーはうまくいき、車両持ち込みの状態からバランスが良かった。いくつかのセットアップを試し、何を改良できるか確認しながら今日のプログラムを進めた」
「昨年ここで走った時に比べ、車両がいくつか変更されているのと、ハイブリッドブーストが使える速度が異なるので、今日のテストでそれらが確認できて良かった」
●ホセ・マリア・ロペス(7号車)
「初日でしたがうまくいき、問題なく走れた。車高や空力などさまざまなセッティング、タイヤコンパウンド比較などの作業を進めた。これらの要素をすべて理解し、改善へ結びつける必要がある」
「クルマの感触として、ここル・マンではいつも本当にドライブするのが最高だが、まだこれから長いレースウイークが待っているので、気を引き締めて進めていく」
●セバスチャン・ブエミ(8号車)
「インドネシアからの長旅で到着したばかりにも関わらず、多くの周回をこなすことができて良かった。午後のセッションでたくさん走らせてくれたチームに感謝しているし、ル・マンに戻れて嬉しい」
「いまのところ問題はないし、天候にも恵まれている。水曜日に向けて何が改良できるか、これからすべてのデータを見直す」
●ブレンドン・ハートレー(8号車)
「数年振りに公式車検で多くのファンの皆様に会うことができたのは最高だった。レースの1週間前にも関わらず、すでにこれだけ雰囲気が盛り上がっている中で、ル・マンのコースに戻れるのは良い気分だ」
「ここ数カ月、我々はこのレースへ向けての準備に多くの時間を費やしてきた。GR010ハイブリッドはこのコースのために作られたような車両なので、ここを走っているときが一番しっくりきて、本当に楽しい」
「上位争いはかなり面白くなりそうだし、我々もその中にいられるはずだ」
●平川亮(8号車)
「GR010ハイブリッドでの、自分にとって初めてのル・マン走行でしたが、楽しむことができました」
「GR010ハイブリッドはル・マンのために開発された車両ではありますが、信じられないほど好感触で、良い意味で驚かされました。毎周回、本当に楽しむことができましたし、これでレースを戦うのが楽しみです」
「来週からの走行に向け、多くの分析やテストを行い、すでに感触はいいのですが、まだ改良できる部分もあり、一歩一歩進めていきます。これまでのところは順調ですし、レースウイークもこの調子で頑張ります」