WEC世界耐久選手権のLMGTEプロクラスにポルシェGTチームから出場するケビン・エストーレ、リヒャルト・リエツ、ミカエル・クリステンセンは、ポルシェ911 RSR-19がスパ・フランコルシャンのサーキット特性に適合していることが、同サーキットにおける近年の好結果を説明している、と述べている。
ポルシェGTチームは近年、スパ6時間レースで好成績を収めており、とくに92号車は過去2回の大会でクラス優勝を果たし、2018年と2019年には表彰台を獲得している。
クリステンセン、ニール・ジャニと組んで直近2回の勝利を収めているエストーレは、スパのサーキットが“オールラウンダー”である911の特性によく合っていることを示唆している。
「僕らはブレーキングで、とても良いと思う。ここには大きなブレーキングゾーンがある」とエストーレ。
「空力的にもいいクルマだ。RSRになってここに来てから、僕らはとても強くなったが、正直なところ、その理由を100%分かっているわけじゃない」
「ブレーキが違いを生み出していると思うし、ハイスピードであることもそうだろう。このコースでは、僕らのクルマはどこでもいい状態だ。セットアップもうまくいっている」
「ここでは、すべてのコーナーに合った正しいセットアップを見つけるのが、とても難しい。だけどここ2〜3年、エンジニアたちは本当にすごい仕事をしてくれて、すべてのコーナーでいい状態のマシンを与えてくれている」
エストーレとペアを組むクリステンセンは、スパのサーキットの流れるようなコース特性が、ポルシェに有利に働くことを示唆している。
「リズムがいいおかげで、良い流れがあるからだと信じている」とクリステンセンは言う。
「ストップ・アンド・スタート(ゴー)となるコーナーがあまりない。それらのコーナーは多くのトルクを必要とするが、僕らにはそれがないからね。だから、ここではクルマのバランスと流れがとてもいい」
「ノルドシュライフェ(ニュルブルクリンク北コース)を考えてみてほしい。あそこは流れが重要で、そこで僕らは強い。ストップ・アンド・スタートとなる箇所があまりないし、それが関係していると思うんだ」
リエツは、スパでのポルシェの成功におけるもうひとつの要因は、このサーキットの特徴である変わりやすい天候にあるとほのめかす。
ここ数年、このサーキットで行われるWECのレースの大半は、じつにさまざまなコンディションのもと行われており、とくに2019年の大会では雪と雹が降ったほどだ。
リエツによれば、911 RSRはそのような変化する状況下でも、良好なパフォーマンスを発揮するという。
「僕が見てきたことを基本とすれば、ニュルブルクリンクやスパのようにミックス・コンディションとなる場所、あるいはレーストラックでは、911は成功を収めるクルマだということだ」とリエツは言う。
「すなわち、スリックタイヤでより長くウエットコンディションを走ったり、レインタイヤでより長くドライコンディションを走れたりする。そのことで、911が常に機能していることが分かる。それは、この疑問に対するひとつの答えとなるかもしれない」
「スパやニュルブルクリンクでは、天候は予測できないが、(雨でも)ターマックは非常にグリップが良いままだったりする。そういったミックス・コンディションになると、ポルシェはとても、とても強かったと思う」
リエツは加えて、より寒いコンディションでもより良いパフォーマンスが発揮できると述べている。
「どういったわけか、僕らはかなり簡単にタイヤに熱入れをすることができる」
「そのため、昨年のように非常に寒かったり、ウエットスポットがあるときなど、タイヤが冷えやすい状況でも温度を保つことができるんだ」
「暑さのなかでダブルスティントをしなければならないときはタイヤに負担がかかるが、ミックス・コンディションのときはそれが助けになる」