2022 AUTOBACS SUPER GT Report
FAV HOTEL FUJI GT 450km RACE
第2戦 富士スピードウェイ
ZENT CERUMO GR Supra
#38 立川祐路/石浦宏明
◆5月4日(水・祝) RACE
決勝結果 12位
予選6番手と、厳しい状況のなかながら表彰台をうかがう順位につけたTGR TEAM ZENT CERUMO。迎えたSUPER GT第2戦の決勝日は、ゴールデンウイークらしい爽やかな青空のもと迎えた。朝から非常に多くのファンが訪れ、決勝日だけで4万4000人の観衆がスタンドを埋めるなか、ウォームアップを経て午後2時30分の決勝レースを迎えた。
450kmというレース距離、そして2回の給油義務と戦略面も重要となる今回のレースで、ZENT CERUMO GR Supraのスタートドライバーを務めたのは石浦宏明。スタート直後、TGRコーナーへ向かう混戦のなかで石浦は9番手にポジションを落としてしまうが、上位陣は1周目からオーバーテイクが繰り返される混戦のまま推移。コクピットの石浦の感触は悪いものではなく、5周目に前を行く#12 Z GT500をオーバーテイクし8番手に戻すと、13周目には7番手にポジションアップ。前を追った。
そんななか、25周を過ぎるころになると、GT500クラスでもピットインするマシンが現れ始めた。2回のピットストップ義務があるなかで、重要なのはいかにピットでのロスタイムを減らし、高いペースで走るかだ。チームはピットインのタイミングをうかがうと、32周目に石浦をピットへ呼び戻した。
チームは準備万端整え、ZENT CERUMO GR Supraのタイヤ交換、そして給油を行っていく。ドライバー交代はなく、石浦にダブルスティントを任せる作戦に出た。ピット作業自体は速く、石浦はピットアウトすると序盤4番手を走っていた#100 NSX-GTを先行することに成功した。直後、35周目に#100 NSX-GTにはかわされてしまったが、この頃になると少しずつ路面温度も下がり、石浦はさらにZENT CERUMO GR Supraに対して好感触を得ると、上位進出を目指し#100 NSX-GT、そしてその前を走る#8 NSX-GTを追っていった。
しかしその直後、タイミングモニター上にまさかの表示が出た。ZENT CERUMO GR Supraに対し、ピット作業違反の検証を行う表示が出されたのだ。一度目のピットインの際、タイヤ交換が終わる前に給油作業を行ってしまっていた。43周目を迎えていた午後3時38分、その検証はペナルティへと変わる。しかし、落胆している場合ではない。どのタイミングでペナルティをこなし、ロスを減らすかを考えなければならなかった。
ただその直後、アドバン・コーナーの進入でGT300クラスの車両が激しくクラッシュしてしまい、レースはフルコースイエローからセーフティカーランとなっていった。ZENT CERUMO GR Supraにとっては、ペナルティを消化するタイミングを失ってしまったことになる。ペナルティが出される直前の43周目には#100 NSX-GTをかわすなど石浦のペースは好調で、6番手まで順位を上げていたが、無情の展開となってしまった。
レースはしばらくセーフティカーランとなっていたものの、アドバン・コーナーのタイヤバリアの修復に重機の導入が必要となったため、レースは午後4時01分、一度赤旗中断となった。
その後、修復作業を経てレースは午後4時25分にセーフティカーランで再開される。石浦はセーフティカーラン終了後の55周を終えピットに向かい、ペナルティを消化。好ペースをきっかけになんとか追い上げを目指し、再度コースインしていった。
しかし、トップグループが59周目に入ろうかというころ、首位を争っていた#3 Z GT500がメインストレートで激しくクラッシュしてしまった。ドライバーの安全が危ぶまれるほどの危険なアクシデントで、レースは即座に赤旗が出され、このレース二度目の中断となった。この時点で、ZENT CERUMO GR Supraの順位は14番手だった。なお、幸いにも#3 Z GT500の高星明誠選手は無事が確認された。
このアクシデントの影響で、メインストレートのガードレールは大きく破損。その修復には大きな時間を要してしまった。そうこうするうちに、この第2戦の最大延長時間である午後6時20分が近づいてくる。レースは再開されるのか否か……? 注目が集まったが、午後6時10分、セーフティカー先導のままレースはリスタート。そのままチェッカーまでSCランでの走行となった。
ZENT CERUMO GR Supraはスタートからフィニッシュまで石浦がステアリングを握ったまま14位でチェッカーを受けることになったが、セーフティカーランの間に2台にペナルティが課され、最終的にZENT CERUMO GR Supraの順位は12位となった。レースにタラレバは禁物だが、もしペナルティがなく、レース距離が通常のままだった場合、追い上げて表彰台に近づく可能性もあっただけに、TGR TEAM ZENT CERUMOにとっては悔しいレースとなった。
そんななかでも、ペースの良さなど得たものはあった。続く第3戦鈴鹿はもう今月やってくる。得たものをしっかりと次戦に繋げ、反省を活かすべく、チームは前を向いた。
ドライバー/立川祐路
「さまざまなことがあったレースでした。自分たちにもペナルティが課されてしまい、反省することも多いと思います。そんななかで、最終的に自分はドライブしないままレースを終えることになってしまいましたが、自分としてはレースがしたかったですね。状況としては仕方ないですが。この思いを次戦の鈴鹿にぶつけたいと思います」
ドライバー/石浦宏明
「長いレースになりました。決勝レースではセクター2で最速だったりと、ペース自体は悪いものではありませんでした。もしピットでのペナルティがなく、中断などなければ上位もあり得ただけに悔しいですね。今回は長距離のレースだったこともあり、ペースが良ければいける感触はありました。路面温度も下がる2スティントめはコンディションが合っていたと思いますし、最終スティントもペースは良いだろうと思っていましたが、うまく噛み合わないレースになってしまいましたね。レースでは自分がミスすることもありますし、チームを責めるつもりはありません。今回の失敗をどう次に繋げるかだと思っています。また、最後の中断の際にクルマにダメージがあったチームも多く、僕たちがポイントを獲れるチャンスもあっただけに、流れが良い方向に向かわないレースになりました。唯一良かったポイントとしては、コースがクリアなときのペースが良く、セットアップも考えてやってきたことが結果に出ていました。その収穫をいかに次に繋げるかだと思っています。また最後に、大きなクラッシュもありましたが、ドライバーが無事だと聞いて安心しました。ドライバーたちやレース全体で、こういうことが起きないようにしていきたいと思います」
田中耕太郎監督
「チームの弱い部分が出てしまったレースになってしまいました。2回のピット義務づけなどもあり、難しいレースになるだろうことは重々承知しており、作戦面などもエンジニアたちに任せていたほか、ピットストップの練習も昨年から念入りに行っていたものの、ミスがあったことは反省しなければなりません。また、もし赤旗中断なく、再度ピットインがあった場合はリスクもあった作戦だったということもあります。見えない部分で綻びもありましたし、チームの脆弱な部分が露呈してしまいました。今後改善に取り組まなければいけませんね」