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 2022年のスーパーGTの第2戦決勝レースが5月3日、富士スピードウェイで開催された。スーパーGT史上初の450kmレース(100周)として開催された本大会だが、2度の大クラッシュにより長時間にわたる赤旗中断を2度挟むことに。その結果、18時20分にレースの最大延長を迎え、GT300クラスは58周目終了時点でチェッカーを迎えた。

 GT300クラスは2番グリッドスタートからオープニングラップでトップに浮上したTANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき/塩津佑介)が優勝。2位にBUSOU raffinee GT-R(柳田真孝/井出有治)、3位にポールスタートのSUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)が続いている。

 ゴールデンウイーク恒例の富士長距離ラウンドとなる第2戦。今大会はスーパーGT史上初の450kmレースとなり、昨年の第2戦からレース距離が50km短くなった。給油を伴う2回のピットストップが義務付けられているが、タイヤ交換に関する義務はないこともあり、とくにGT300クラスではタイヤ無交換、2輪交換なども考えられ、これまで以上に各車のレース戦略に注目が集まる一戦となった。

 前日3日に行われた公式予選でポールポジションを獲得したのは、昨年のシリーズチャンピオンのSUBARU BRZ R&D SPORT。唯一の1分34秒台を叩き出し、前戦岡山に続いて2戦連続のポール獲得となった。フロントロウ2番グリッドはTANAX GAINER GT-Rが獲得。セカンドロウ3番グリッドにK-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一)が、4番グリッドにBUSOU raffinee GT-Rが続き、ダンロップタイヤユーザーがトップ4を占める結果となった。

 決勝レースは気温20度、路面温度33度、湿度44%という青空のもと、2周のフォーメーションラップを経て14時36分にスタートを迎えた。TGRコーナー(1コーナー)はポールポジションスタートのSUBARU BRZがホールショットを守るも、TANAX GAINER GT-Rの富田が鋭いブレーキングを見せる。

 2台は並走してコカ・コーラコーナーに突入も、立ち上がりでTANAX GAINER富田が先行し、トップに浮上した。オープニングラップでは大きなアクシデントもなく、富田を先頭に2周目に入るが、ここでマッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号(冨林勇佑/平木玲次)がピットイン。給油のみのスプラッシュという大胆な戦略を実施し、コースに復帰する。

 依然としてスタートの慌ただしさが続く4周目には、HACHI-ICHI GR Supra GT(佐藤公哉/三宅淳詞)とStudie BMW M4(荒聖治/アウグスト・ファーフス/近藤翼)が。5周目にはグッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)、埼玉トヨペットGB GR Supra GT(川合孝汰/菅波冬悟)、apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴)が続々とピットイン。なお、Studie BMW M4はパワーステアリングのトラブルに伴うピットインであり、そのまま車両をガレージに収めてしまう。

 GT500クラスの集団が追いついてきた7周終了時点で、TANAX GAINER富田とBRZ山内のギャップは1.247秒。一時的にその差が0.697秒まで縮まることもあったが、GT500の隊列を先行させ、クリアラップが取れると、再び2台のギャップは1秒以上に広がる。長距離戦を見越してか、GT300クラスの戦いはしばし均衡状態が続く。

 そんななか、3番グリッドスタートのK-tunes RC F GT3高木が、14周目のコカ・コーラコーナーで同じダンロップ勢のBUSOU raffinee GT-R柳田真孝に、続く15周目にはLEON PYRAMID AMG蒲生、そしてGAINER TANAX GT-Rの安田裕信にかわわされ、6番手までポジションを落としてしまう。

 一方、29周目にトップのTANAX GAINERがピットイン。大草りきが第2スティントに挑む。直前にはBRZに対し、3.488秒のギャップを築いていたTANAX GAINERは停車時間44.9秒でコースに復帰。そして、BRZ山内は1分38秒台〜39秒台のハイペースでTANAX GAINERとのギャップを縮めにかかる。

 そんななか、35周目のアドバンコーナーで、ARTA NSX GT3の木村偉織がPACIFIC hololive NAC Ferrariのケイ・コッツォリーノに追突。ARTA NSX GT3は左フロントのダメージが大きく、ここで戦線離脱。hololiveフェラーリはピットでの修復を経て、コースに復帰を果たしている。38周終了のところで、BRZがピットイン。フルサービスを実施し、停車時間46.7秒でコース復帰も、BUSOU raffinee GT-Rの後方とポジションを下げる結果に。

 その直後、39周目に波乱が訪れる。アールキューズ AMG GT3の和田久がアドバンコーナー進入で単独スピンからの大クラッシュを喫してしまう。なお、和田は自力でマシンを降りている。このアクシデントでフルコースイエロー(FCY)が導入される。

 そのFCY導入直後、ホームストレートでリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rの藤波清斗が、GT500車両に追突しかけるが、なんとか回避。しかし、スピンを喫して順位を落とす結果に。このスピンにより、ドライビングスルーペナルティを課せられることに。FCYは、セーフティカーに切り替えられた。その直後には、PACIFIC hololive NAC Ferrariが左リヤから白煙をあげてスローダウンと、アクシデントが続く展開に。そして46周目に赤旗が掲示され、レースは一時中断となった。アールキューズ AMG GT3のクラッシュにより、損傷したタイヤバリアの修復のため、コース側に重機が入る必要と判断されたためだ。

 レースは16時25分にSC先導で再開され、49周目にリスタートを迎えた。TANAX GAINER GT-R大草がリードする一方、SC中にスプラッシュを行った埼玉トヨペットGB GR Supra GTが50周目に3度目のピットイン。ここで義務消化を果たす。

 ここから義務消化組を中心にレース後半の戦いが始まるかと思われた矢先、GT500クラスの首位争いで大クラッシュが発生し2度目の赤旗が掲示された。ドライバーは無事との情報だが、ホームストレート横のガードレールが大きく損傷。修復のため、長時間の赤旗を余儀なくされた。

 レースは18時10分にSC先導でリスタートを迎えた。本大会では給油を伴う2回のピットストップが義務付けられていたが、給油回数義務はなしに。また、最大延長時間が18時20分であったため、SC先導のまま順位に変動はなくレースはチェッカーを迎えた。これにより、オープニングラップからレースをリードしたTANAX GAINER GT-Rが優勝。2位にBUSOU raffinee GT-Rが、3位にSUBARU BRZ R&D SPORTが続いた。なお、本レースではハーフポイントなる模様だ。

 次戦となる2022年スーパーGT第3戦『たかのこのホテル SUZUKA GT 300km RACE』は三重県の鈴鹿サーキットで、5月28〜29日に開催される。前戦の岡山、そして今大会の舞台富士ともコース特性が異なり、サクセスウエイトによる重量増の影響も大きくなる鈴鹿では、どのような戦いが繰り広げられることになるのだろうか。改めてモータースポーツに関わるすべての人の安全を願うとともに、次戦を楽しみにしたいところだ。