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「クルマ離れ」なんて昔の話!? 若者たちの中古車好き そのかなり興味深い理由

 タイトルで「いまの若者たちは中古車が好き」と書いた。えっ、「若い人はお金がないんだからそんなのフツーだろう」って? いやいや、そんな単純な話じゃないんです。若者の中古車購入事情には驚くべき事実が隠されていたんです。

 それを読み解くヒントは、(株)リクルートの中古車情報メディア「カーセンサー」による、中古車に対するインターネット調査結果の中身。

 2021年8月の全国約20万人(18〜69歳の男女)を対象にした調査なのだが、これがかなり興味深い! “若い世代”を切り口にデータを読み解いていこう。

※本稿は2021年12月のものです
文/ベストカー編集部、写真/AdobeStock(トップ画像=FlamingoImages@AdobeStock)ほか、調査/(株)リクルート
初出:『ベストカー』2022年1月26日号

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■購入台数だけでなく、中古車購入単価もトップ

表1:中古車の購入台数、市場規模 「延べ購入台数」と「1万人あたり購入台数」は、各エリアの対象年代(18〜69歳)の人口に対する、1年間の中古車購入率の掛け合わせによる、全国規模の推測値。(株)リクルートによる算出

 まずは表1を見てほしい。特にそのなかの「延べ購入台数」の項目。

 調査したエリアの人口に対する、一年間の中古車購入率の掛け合わせによる全国規模の推測値だが、20歳代は一年間に延べ72.5万台も中古車を購入するという調査結果になった。実に各世代のトップ!

 次いで30歳代が60.6万台となり、若い世代が積極的に中古車を購入していることがわかる。

「なぜか?」。そのワケは後出の西村氏が話してくれるが、20〜30歳代は「中古車購入単価」でも上位を占めているのが表1でわかる。高価な中古車を買う傾向が見て取れる。興味深い結果だ。

●若者はどんどん買い替える

表2:前回購入した中古車の乗車期間(%)。「乗車期間」とは、同じ中古車に何年乗り続けていたか、という期間のこと

 さらに、若い世代は中古車の購入サイクルが短い。それがわかるのが表2だ。

 前回購入した中古車の乗車期間、全世代の平均は6.1年。なるほどと思うが、「2年未満」と「2〜4年未満」という短い期間の20〜30歳代の欄を見てほしい。他世代より圧倒的に多いのが一目瞭然。

 特に「2年未満」の20歳代は22.3%。中古車購入の5人にひとり以上が2年未満で次の中古車へ買い替える、ということ。中古車業界にとっては歓迎したい世代といえる。

 その裏返しのような結果が「10年以上」。20歳代は極端に減り、60歳代は34.2%。長年乗り続けるのは中高年の傾向で、その心境、同世代の担当にもよくわかる(笑)。

●軽自動車は不人気!?

表3:直近で購入した中古車のボディタイプ(%)。2020年と2021年の比較、全体で見ると軽自動車が減り、セダンやSUV/クロカンが微増。そのSUV/クロカン、女性もなかなか高い比率となっている(9タイプのボディを紹介)

 人気のボディタイプがわかるのが表3。

 棒グラフの軽のところ、2021年の37.1%に対し2020年は40.2%と、2020年はやや高いが、これはコロナ禍の影響。とにもかくにも移動手段がほしいと安価な軽をみなさん購入。で、コロナがやや落ち着いた2021年、20〜30歳代は他世代に比べると軽購入率は低い。

 で、何を好んでいるかというと……SUV。この欄を見ると、20歳代が14.8%、30歳代が13.6%と高い数値だ。若い世代は人気ゆえに高額傾向の中古SUVを好み、それが購入単価を引き上げていると判明!

 ということで、次項では中古車業界に精通する専門家にお話を伺い、中古車事情をさらに深掘りしたい!

■(株)リクルート自動車総研所長に聞いてみた「中古車市場現況と若者が中古車を買う理由」

 前項のレポートで「中古車大好き! 若者の傾向」がわかったところで、自動車業界全般と中古車業界に精通する、リクルート自動車総研所長の西村泰宏氏に、さらに中古車業界の現況などを聞いてみた。

──2021年はそちらの調査開始の2015年以降、過去最大の中古車市場規模とのことですが、要因は何でしょうか?

西村 購入台数も増えていますが、中古車市場規模の拡大は主に「単価の増加」ですね。単価が増加する要因は大きく4つあります。

1)新車購入層の中古車市場への流入
2)SUV(=単価の高いボディタイプ)の人気
3)安全性能などが進化し、そもそもの新車時価格の上昇
4)販売施策の変化で高年式中古車の流通増加

……ですね。

──ふむふむ。なるほど! 今回の調査結果、20〜30歳代で「SUV/クロカン」を買う割合が増えていますけど、高い価格で売られるそれらを、若い世代が購入する理由は何でしょう?

西村 SUVは新車同様、中古車市場でも若者から人気です。ボディタイプ的には相対的に高額となるため、中古車で少しでもコスパのいいクルマを購入しようとする要望は高いです。

──20〜30歳代に特に人気の「SUV/クロカン」の車種は何でしょうか?

西村 ハリアー、ヤリスクロス、ジムニー、ジムニーシエラ、RAV4などですね。その他ボディタイプではスポーツカーがその世代には人気です。軽自動車ではN-BOXやワゴンRなど、新車で売れている軽を購入される方が多いですね。

多少高額となっても流行のSUV/クロカンを選択する傾向が強い

──前出の表2で、20〜30歳代の「中古車の買い替えサイクルの早さ」を紹介しましたが、なぜ早いのでしょうか?

西村 平成世代は「一生モノ」という言葉が徐々に当てはまらなくなる世代ですね。ファストファッションなど、その都度必要なものをコスパよく消費することに慣れています。より外観を重視するクルマ選びにも、自身の趣味嗜好が変化する数年で気楽に乗り換えることが現われていますね。

──「若い世代が積極的に中古車を購入するのはなぜか!?」と取り上げましたが、その「ワケ」がこれなんですね。若い世代は服を買うように、中古車もどんどん替える……と。

さて、登録済み未使用車など高年式のクルマが増えている傾向にある、と聞いたことがありますが、2022年以降もこの流れは続きそうでしょうか?

西村 「登録済み未使用車」にかぎるとメーカー&インポーターとディーラーとの販売戦略によりますので、確実に増えると明言することは難しいです。でも、残価設定ローンやサブスク、個人向けリースなどさまざまな取り組みによって、高年式中古車の市場流通は間違いなく増えていく傾向にありますね。

──最後に……、2022年以降、中古車市場はどのように変化していくかなど、予測がありましたら教えてください。

西村 最初に回答した「中古車市場規模の拡大の傾向」がいきなり変わることはありませんので、引き続き単価はじわりじわりと上がることが予測されます。

──なるほど! ほかには?

西村 また、若い世代が中古車市場により多く入り込んでくることで、消費サイクルも徐々に短くなることが予想されますね。その時、クルマの選び方が「今の生活にマッチしたもの、今の感覚でピンとくるもの」になると思いますね。

*   *   *

 この先、中古車市場を活性化させるのは「若い世代」かもしれない。今後も注視しなくては!!

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