2022年6月4日-6月5日
2022 FIM 世界耐久選手権 第2戦 スパ24時間EWCレース
ベルギー スパ・フランコルシャンサーキット
スパ24時間EWCレースで、ヨシムラ SERT Motulはトラブルを乗り越え4位獲得
2022年 FIM 世界耐久選手権 第2戦 スパ24時間EWCレースにおいて、ヨシムラ SERT Motulは前半を快調にリードし、困難に見舞われた夜間走行をこなし、そして緊迫したラスト数周を戦い抜き4位を獲得した。
21年振りにFIM 世界耐久選手権のレースカレンダーに戻ってきた、伝統のスパ・フランコルシャンサーキット(ベルギー)。名コースの名に恥じず、コース上、ピット内それぞれにおいて見応えのある展開が繰り広げられた。難関コースでのクラッシュによるダメージやメカニカルトラブルに加え、スパウェザーと呼ばれる不安定な天候に翻弄されながら、レースリーダーがめまぐるしく変わり、ライダーにとってもメカニックにとっても難しい24時間レースとなった。
レース前半はヨシムラ SERT MotulのGSX-R1000Rがレースを完全に支配した。スタートが得意なグレッグ・ブラック選手が3番グリッドからスタートし1周目からリードし、ライバル勢とのし烈なバトルを繰り広げながら、徐々にリードを広げていくことに成功した。
ザビエル・シメオン、シルバン・ギントーリの各選手も同様のハイペースを維持し、さらにリードを広げることに成功。特にギントーリ選手のペースは素晴らしいもので、時には予選タイムに迫るラップタイムもマーク。2分21秒056というレースレコードタイムも記録し、8時間経過時にトップを走行していたことから10ポイントのボーナスポイントも獲得した。
夜間走行に突入する頃には2番手以降に対し大きなマージンを築き、完全にレースをコントロールできていたヨシムラ SERT Motulだったが、10時間経過時点でミッショントラブルに見舞われてしまう。ピットに戻ったマシンはメカニックによる迅速な作業で、僅か25分という驚異的なスピードで修理を終え、14番手でコースに復帰した。
修理後は難しい夜間走行をハイペースで追い上げ、2時間後には7番手に、そして夜が明ける頃には3番手へとポジションを回復した。しかし突然の雨によりコースの至る所でライダーが転倒を喫する中、ブラック選手も転倒してしまう。マシンは大破してしまったが、ブラック選手は何とかマシンを再スタートさせ慎重にピットへと導くことができた。ここでもメカニックにより再び驚異的なスピードで修復がされ、ブラック選手は何事もなかったかのようにGSX-R1000Rに再び跨り、5番手でレースに復帰した。
24時間レースの終盤、マシントラブルに見舞われた車両によりコース上へ大量のオイルが撒かれてしまったため、レースは一時赤旗中断となり全車ピットインすることになった。入念なコース清掃のため長時間のレース中断となったが、残り時間が20分となった時点でセーフティカーによる数周の先導の後、レースが再スタートした。シメオン選手は3位表彰台を狙うべく、難しいウェットコンディションのなか果敢に攻めるが、第2戦を4位で終えることとなった。またチャンピオンシップにおいては、ヨシムラ SERT Motulはポイントリーダーを堅持した。
ヨシムラ SERT Motulは予選結果や8時間経過時のボーナスポイントも獲得し、チャンピオンシップにおけるポイント数は現在106へと伸ばし、2位に15ポイントのマージンを築いている。次戦は8月5~7日に行われる鈴鹿8時間耐久レースである。
ヨシムラ SERT Motul ダミアン・ソルニエ チームマネージャー
「落胆と喜び、両方の気持ちがあります。落胆は様々なトラブルによって表彰台を逃したことです。ギアボックスが壊れるなんて、あり得ないと思っていました。スズキ車でこんなトラブルは聞いたこともありません。グレッグ選手の転倒は残念ではありますが、それもレースです。同じ場所で立て続けに複数台が転倒していましたが、不運でしたね。ギアボックスのトラブルとグレッグ選手の転倒によりレース運びは予定通りいかなくなりましたが、いずれのトラブルも乗り越え再び上位に復帰できたのは嬉しく、チームを誇りに思います。結果としてポイントは獲得でき、チャンピオンシップにおいてはリードを広げることもできたので、その点については良かったです」
ヨシムラ SERT Motul 加藤 陽平 チームディレクター
「良い部分も、そうでない部分もあったレースです。序盤から中盤まではリードし、長い間レースを引っ張ることができました。ライダー達は皆速く、またメカニックもギアボックスを僅か25分で交換するという神業をやってのけました。その後は転倒もありましたが、終盤までに上位に復帰することができました。ドライでもウェットでも高いパフォーマンスを見せることができたので、チームメンバー全員の働きを称えたいです」
ヨシムラ SERT Motul グレッグ・ブラック 選手
「24時間のレースを通して昼夜やコンディション問わず、今回も常に速さを持続でき、チーム全体が良く機能し、素晴らしい働きを見せました。明らかに我々は最も強いチームであると思います。それにしてもスズキ車としては非常に珍しいギアボックスのトラブルに見舞われたのは不運としか言えません。迅速な修理で復帰し、再び上位へとポジションを回復できましたが、次は僕が雨の走行中に転倒してしまいました。しかし我々は諦めることなく最後まで戦い抜き、このレースでの第1の目的であるチャンピオンシップのポイントを稼ぐことを成し遂げました」
ヨシムラ SERT Motul ザビエル・シメオン 選手
「チームは2回にわたるマシンの大規模修復を、素晴らしいスピードと技術でこなしてくれました。また我々3人のライダーも良いペースを見せていたし、マシンの調子も良く、ブリヂストンタイヤも良く機能していて、優勝の最有力候補であることを見せることができていたと思います。レース後半は、前半ほどうまく運ばなかったですが、それも耐久レースですね」
ヨシムラ SERT Motul シルバン・ギントーリ 選手
「スパでは24時間レースの酸いも甘いも体験することになりました。最初の10時間は好調にレースをリードしましたが、ストップ&ゴーペナルティを課せられ、その後はメカニカルトラブルが降りかかり、そして転倒と盛りだくさんのレースでしたね。しかしチームはギアボックスを僅か25分で交換し、クラッシュした後も目を見張るスピードで修復し、レースが続けられるよう全力を尽くしてくれました。我々ライダーも一度も諦めることなく最後までプッシュし続け、最終的にはチャンピオンシップにとって貴重なポイントをしっかりと獲得することができました。さぁ次戦は鈴鹿8耐ですね!」