6月5日、2022年MotoGP第9戦カタルーニャGP MotoGPクラスの決勝がスペインのバルセロナ・カタロニア・サーキットで行われ、アレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)とフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)は中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)の転倒に巻き込まれリタイアとなった。
第9戦カタルーニャGP最終日、迎えた決勝はドライコンディションでスタートした。12番手から好スタートを切った中上は、オープニングラップの1コーナー侵入の際にブレーキングで転倒してしまう。2番手スタートのバニャイアのリヤタイヤに接触して巻き込み、7番手から勢いよくスタートを切り、中上のアウト側を走行していたリンスも巻き込まれる多重クラッシュが発生した。
リンスは高く宙を舞った後にグラベルに叩きつけられマシンは大きく破損し、3戦連続のリタイアを余儀なくされた。ピットに戻った後、左手首を気にする素振りを見せており、自らメディカルセンターへと向かった。その後さらにバルセロナ市内のデクセウス大学病院で検査を受け、左手首の三角骨に骨折が確認された。左足首も強打したが、これは炎症が起きているのみだったが、同日にカタルーニャで続いて行われるMotoGP公式テストは不参加となってしまい、次戦の第10戦ドイツGPでの復帰を目指す。レース終了後にリンスは次のように語っている。
「まずは中上が大きな怪我をしていないことを願っている。一緒にメディカルセンターに運ばれたけど彼の状況は分からず、後から転倒の映像を見たらかなり酷い転倒の仕方だったから心配だよ。ライダー達が怪我する姿を見るのは痛々しくて本当に嫌だし、それが同じカテゴリーの仲間だったらさらに気になるのは当然のことさ」
「とはいえ彼の転倒に巻き込まれて自分も転倒し、大きなチャンスを逃してしまったことは本当に残念で受け入れ難いのも事実だよ。今週はパフォーマンスも良かったし、レースペースが安定して速かったから決勝にはかなり自信があったからね。いずれにしても終わったことだから何を言っても仕方ないし、今は自分の怪我に対する医師の診断を待つしかない」
一方バニャイアは転倒後、マシンに跨りコースに復帰したかと思われたが、そのままピット戻り、レースを諦めることとなってしまった。前戦の第8戦イタリアGPで優勝してランキング7位から4位に浮上し、今回も予選2番手から優勝を目指してチャンピオンシップ争いに詰め寄ろうとした矢先にリタイアとなってしまった。次戦の第10戦ドイツGPで再び上位争いに向け、MotoGP公式テストに挑む。
「まず第一に、あのひどいクラッシュの後、中上が無事であることを聞けてうれしく思う。僕の感想では、1周目の1コーナーで、彼がすでに少しポジションを上げていたことを考えれば、少しやりすぎだったと思う。でもこれはレースなんだから、これ以上言うことはない」
「このまま仕事を進めて、次のレースに向けて集中力を高めていかなければならない。これからのグランプリではうまくいって、ポイントを獲得できるはずだ。クアタラロの安定性を考えると、簡単なことではないだろう。それでも、昨年だってかなり不利だったし、彼とは26ポイント差でシーズンを終えることができたのだから、まだすべてが開かれている」