6月3日、2022年シーズンのWRC世界ラリー選手権第5戦イタリアの競技2日目デイ2が、イタリアのサルディニア島北部で行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTはエサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合首位に浮上した。
チームメイトのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合8番手、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は序盤に首位に立ったが、メカニカルトラブルによりデイリタイアとなった。サテライトチームのTGR WRTネクストジェネレーションから参戦している勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合7番手だ。
ラリーの競技2日目はサルディニア島東海岸のオルビアを起点に、島の北部で8本合計133.56kmのグラベルステージが予定されていたが、1日の最後の2本のステージがキャンセルされ、結果的に6本のステージで戦われることとなった。
3日(金)は朝から強い日差しが照りつけ、気温も日中かなり上昇。路面コンディションは全体的にドライとなり、ロバンペラや勝田ら出走順が早い選手たちにとっては非常に厳しい走行条件に。
そんななか、出走順9番手でステージに臨んだラッピは、午前中の2本目となる今大会最長24.7kmのSS3でベストタイムを記録し、総合首位に躍り出る。直後のSS4で総合2番手に順位を下げたものの、その後も非常に速いペースで走行を続けた。
午前中最後のSS5ではタイヤに問題が生じたことでタイムを失ったが、総合2番手の座を堅持。SS8とSS9のキャンセルによりデイ2の最終ステージとなったSS7でふたたびベストタイムを刻むと首位に復帰した。なお、彼にとってはこれが記念すべきWRC50回目のステージ優勝となっている。
選手権のリーダーとして、出走順一番手で金曜日のステージを走行したロバンペラは、道の表面を覆うルーズグラベルを掃き飛ばしながらの走りを強いられ大幅にタイムを失ってしまう。また、SS4ではコーナリングラインが大きく膨らみ、リヤウイングにダメージを受けて充分なダウンフォースを得られない状態で、直後のSS5を走行することになった。それでも、ロバンペラは総合8番手でタフな1日を走破してみせた。
21歳のフライング・フィンと同じく、3番手という早い出走順で走行したドライバーランキング3番手の勝田もルーズグラベルの影響でタイムを失いながらも、総合7番手でデイ2を終えている。
■リンドストローム「貴元もいい走りを見せてくれた」
前戦ポルトガルで優勝争いを繰り広げ総合2位となったエバンスは、サルディニアでも良い流れを持ち込んだかに見えた。彼はSS2で最速タイムを記録して、その段階で総合首位に立った。
しかし、続くSS3でクルマの下まわりが路面に強く当たり、ステージを5番手タイムで走り切ったあと、競技続行が難しいことが判明。この時点でデイリタイアを余儀なくされた。クルマはその後サービスへと運ばれ、チームのメカニックによって修理がなされたため、明日のデイ3で再出走する予定だ。
「エサペッカ(・ラッピ)がラリーをリードしていることをうれしく思う。彼はとてもいい仕事をしているし、ラリー・スウェーデンの時もそうだったが、クルマに乗ってすぐに速く走ることができることに感心しているんだ。我々の期待どおり、彼はいいタイムを出している」と語るのは、TGR WRTのスポーティング・ディレクターであるカイ・リンドストローム。
「カッレ(・ロバンペラ)については、路面のクリーニング役を担い苦戦したが、毎年このラリーでは、一番手スタートのドライバーは誰もが苦労するものだ。それでも彼は状況を冷静に判断し、1日を走り切った。この先、彼にとって重要なのは、日曜日以降のシーズンを通してのことを考えて戦うことだね」
「(勝田)貴元もまた、ポルトガルの時と同じようにいい走りを見せてくれた」
「SS3でエルフィン(・エバンス)がクルマに衝撃を受け、リタイアを余儀なくされたのはもちろん良くないことだが、チームはクルマを直すことができたので、明日は問題なく再出走できるだろう」
そのデイ3、6月4日(土)の競技3日目は、アルゲーロのサービスパークを起点に島の北部で8本のグラベルステージが行われる。デイ2と同様に午前中に2本のステージを各2回走行。午後も2本のステージを各2回走行していくが、日中のサービスが設定されていないためクルマを壊さないことが重要になる。SS10~17、都合8本のSSの合計距離は131.82km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は580.36kmだ。