WorldRX世界ラリークロス選手権の下部組織としてステップアップ・カテゴリーにも位置付けられる、FIA格式欧州選手権のヨーロピアン・ラリークロス・チャンピオンシップ(EuroRX1)の2022年シーズンが、WorldRXより一足早くハンガリーで開幕。今季からSETプロモーションに移籍したシリーズ2冠経験者のアントン・マルクランド(ヒョンデi20 RXスーパーカー)が初日から全セッションを支配すると、2日目も順当なスピードでライバルを退け、週末完全制覇を成し遂げた。
通常ならWorldRX併催イベントとして開催されるEuroRX1は、5月21~22日にハンガリーのニーラドに位置する“赤い大釜”の異名を持つトラックでスタンドアローンの開幕戦を迎え、総勢22台のエントリーが集結。そこで速さを見せたのは、近年は自身のチームでフォルクスワーゲンを走らせてきたマルクランドで、土曜FP1からヒート1、ヒート2の3セッションすべてでトップタイムを刻んでみせた。
「このトラックは特別で、ドライブするのが本当に楽しいね。今年は新しいチームに所属して、まずはヒョンデに慣れるのが目標だったが、クルマの感触を楽しんでいてとてもリラックスしている。それはとても良いことだ」と語ったWorldRX経験者のマルクランド。
「今季の新レースフォーマットでは、少し賢くなければならない。各ヒートは以前ほど重要ではなくなり、決勝後にすべてのポイントが付与されるため、明日はパンクなどを避けることが非常に重要になる」と続けたスウェーデン出身の実力者。
「もちろん、勝ち切るにはハードにプッシュする必要はあるが、同時に、ラフ過ぎないように注意する必要がある。やり過ぎると、週末を終えて手ぶらで放置されることも意味するからね……」
そのマルクランドの背後には、昨季に引き続きEKSから参戦するエンツォ・アイデ(アウディS1 EKS RXクワトロ)が入り、3番手にはこちらもWorldRX復帰組となるラトビア出身ドライバー、ヤニス・バウマニス(プジョー208WRXスーパーカー)が、心機一転#イエロースクワッドのマシンで続き、昨季は電動ワンメイク戦の『FIA RX2eラリークロス・チャンピオンシップ』初年度を戦ったパトリック・オドノヴァン(フォード・フィエスタRXスーパーカー)と、ノルウェーの新鋭シヴェルト・ズヴァーダル(フォルクスワーゲン・ポロR RXスーパーカー)が続くトップ5となった。
![ハンガリーのニーラドで"スタンドアローン"の開幕戦を迎え、総勢22台のエントリーが集結](https://cdn-image.as-web.jp/2022/05/26084803/asimg_02_Euro_RX1_Heat_Start_Nyirad_2022_03f04_f_1400x788_78628ec0326b92f-660x440.jpg)
![昨季は電動ワンメイク戦の『FIA RX2eラリークロス・チャンピオンシップ』初年度を戦ったパトリック・オドノヴァン(フォード・フィエスタRXスーパーカー)](https://cdn-image.as-web.jp/2022/05/26084937/asimg_03_Patrick_ODonovan_EuroRX1_Nyirad_2022_467c9_frz_1400x788_d4628ec091487de-660x440.jpg)
■セミファイナル後には「自分のドライビングに少し失望していた」とマルクランド
明けた日曜も3つのヒートすべてでペースを上げたマルクランドは、プログレッションレース、セミファイナル、そして最も重要なファイナルで他を圧倒。昨季はヨハン・クリストファーソンの僚友として薫陶を受けたアイデのアウディを退け、3度目の欧州タイトルに向け視界良好の開幕勝利を手にした。
「こんなふうにシーズンをスタートできてとてもうれしいよ。僕はこのトラックが大好きだけど、それでもグリップレベルが上がるにつれてすべてが最終的にかなりタイトになり、他のトラックほど大きな一歩を踏み出すことができなかった」と振り返った29歳のマルクランド。
「セミファイナルの後には自分のドライビングに少し失望していて、自分自身に対し腹も立てていたので『ファイナルでは、やるべきことを成し遂げるんだ!』と強く言い聞かせていた。SETプロモーションと契約したとき、僕らは良いパッケージを持っていると確信していたから、ここで勝つことによってそれを証明するのは素晴らしい気分だよ」
アイデの背後、3位表彰台を狙ったバウマニスはエンジントラブルでパワーを失い4位に沈み、代わってデンマーク出身のユーリック・リンネマン(フォード・フィエスタRXスーパーカー)がポディウムを獲得し、初日18番手の苦しみから奇跡のカムバックを演出。一方、併催のEuroRX3では、昨季ランキング2位となったコービー・パウエル(アウディA1)が逆転勝利を飾っている。
これで単独開催の開幕戦を終えたEuroRX1は、続く第2戦でいよいよWorldRXと合流。今季よりフル電動クラスRX1eを頂点とする世界選手権と2年目開催のRX2eが、7月2〜3日の週末にラリークロスの“聖地”スウェーデンはホーリエスでオープニングの日を迎える。
![今季からSETプロモーションに移籍したシリーズ2冠経験者のアントン・マルクランド(ヒョンデi20 RXスーパーカー)が初日から全セッションを支配](https://cdn-image.as-web.jp/2022/05/26085017/asimg_04_Marklund_Leads_EuroRX1_Nyirad_2022_e1d7d_frz_1400x788_d1628ec0b8770c1-660x440.jpg)
![「僕らは良いパッケージを持っていると確信していたから、ここで勝つことによってそれを証明するのは素晴らしい気分」と開幕勝者のアントン・マルクランド(ヒョンデi20 RXスーパーカー)](https://cdn-image.as-web.jp/2022/05/26085045/asimg_05_Anton_Marklund_Podium_Nyirad_2022_8e8a1_f_1400x788_f9628ec0d4f201d-660x440.jpg)