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| そうしないとマニュアル・トランスミッション車では騒音規制をクリアできない |

まさかこんな事情があったとは

さて、新型フェアレディZは「マニュアル・トランスミッションを用意する」という近年珍しいスポーツカーのうちの一台ですが、そのエキゾーストサウンドについて、「マニュアル・トランスミッションよりも、オートマティック・トランスミッションのほうがサウンドが大きい」というウソのような本当の話。

ただ、これはちゃんと根拠のある本当の話だとして報じられており、「マニュアル・トランスミッション車は、騒音規制をクリアするため、より静かなエキゾーストシステム(マフラー)を装着しているのだそう。

いったいなぜマニュアル・トランスミッション車のほうが静かなのか?

そこでこの理由について説明したいと思いますが、現在世界でもっとも厳しい騒音規制を敷いているのは米国カリフォルニア州だといい、そして新型フェアレディZのメインマーケットは北米とくにカリフォルニア州。

そしてカリフォルニア州では(もちろん)この騒音規制をクリアせねばクルマを販売できず、しかし排気音の測定方法がちょっとクセモノだとされています。

このテストは現地の自動車技術者協会SAE J1470が作成した試験項目をベースにしており、その方法は「時速31マイル(時速50km)からマイクにて音量の計測をはじめ、ピークパワーを発生するエンジン回転数に達するまでフルスッロットルで加速する」というもの。

ただしマニュアル・トランスミッション車とオートマチック車では計測方法が異なるとされ、MT車では(時速50kmなので)2速か3速でスタートし、そのままピークパワー発生までエンジン回転数を(新型フェアレディZだと6,400回転)上げることになります。

反面、オートマチック車だと時速31マイルで走ることができる(より上の)ギアで走りはじめ、強制的なキックダウンやシフトダウンを行わないようにと定められているそうなので、騒音がより低いレベルに抑えられる、とのこと。

MTだろうがATだろうが同じ回転数にまでエンジンを回せば騒音は同じなんじゃないかと思うのですが、もしかすると加速中の「平均値」を取っているのかもしれず、そうなるとやはり「より低い回転数でテストを開始できる」ATのほうが有利なのかもしれません。

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スポーツカーにMTが少ないのはこれが原因?

なお、アストンマーティンは「マニュアル・トランスミッションを廃止する理由」のひとつとして「MTは規制にパスできないから」とコメントしていましたが、今思うとその「規制」とはこの騒音規制のことだったのかも。

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ちなみにランボルギーニやフェラーリは「とんでもなく大きな音」が出ることで知られており、ぼくの自分で乗っていて「これでよく車検に通るな・・・」といつも驚くほどなのですが、ランボルギーニ、フェラーリ共にマニュアル・トランスミッション車を製造しておらず、あの爆音で規制にひっかからないのは「MTが無いから」なのかもしれません。

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参考までに、992型のポルシェ911GT3について、「マニュアル・トランスミッション車のみが騒音規制に引っかかってしまい、カリフォルニア州では登録できない」という問題があり(後に無事クリア)、これもまたカリフォルニア特有の事案だったわけですね。

話を新型フェアレディZに戻すと、日産がどういった方法でエキゾーストサウンドを小さくしているのかは不明であり、「MTのほうがATよりも静か」なのはアメリカだけなのかそれとも世界共通なのかはわかりませんが、いずれにしても、先日ニスモが発表したフェアレディZ用のエキゾーストシステムを装着すれば、気持ちの良いサウンドを聞くことができるようになるのかもしれません(ニスモがエキゾーストシステムの発売を急いだのは、これが理由だったのかもしれない)。

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参照:Jalopnik

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