5月4日、富士スピードウェイで開催されたスーパーGT第2戦富士。450kmのレースではあったが、途中大きなアクシデントにより赤旗中断が2回発生した。奇しくも、そのアクシデントに絡む存在となってしまったのが、GT300クラスでメンテナンスを同じくするアールキューズ AMG GT3、Arnage MC86の2台だった。アールキューズ AMG GT3はクラッシュ後の状況、そしてArnage MC86には、ドライブしていた末廣武士に状況を聞いた。
450kmというレース距離のなか、序盤はリタイアする車両も少なく、戦略に注目が集まるレース展開となっていた今回のスーパーGT第2戦富士。しかし、レースは途中から風雲急を告げる。和田久がドライブしていたアールキューズ AMG GT3は、38周目にトヨペット100Rコーナーから抜けアドバン・コーナーに差しかかろうかというタイミングで急に挙動を乱し、タイヤバリアにクラッシュしてしまった。
衝撃でドアが一度外れるほどのクラッシュとなってしまったが、チームによれば、アクシデントの原因はまだ分からないとしながらも、クラッシュ後コクピットの和田からは、まず「申し訳ない」と無線が入ったのだという。Gセンサーが動いていることから、和田はドクターヘリでの搬送後、精密検査を受けて欲しいとのことで病院に搬送された。和田の家族も同行しているとのことで、「大丈夫だと思います」と語ってくれた。
ただ車両については、やはりクラッシュのダメージは非常に大きく「おそらく無理だと思う」とのこと。今後の参戦についてはまったく不透明ながら、「めげずに頑張ります」とのことだった。
一方、GT500クラスが59周目に入ろうかというタイミングで起きたCRAFTSPORTS MOTUL Zのアクシデントで、ストレート上で高星明誠が避けたのが、末廣武士がドライブしていたArnage MC86だった。TCRジャパンやスーパー耐久で、ふだんスーパーGTで戦っているトップドライバーたちと競いながら、素晴らしいスピードを披露し結果を残してきた末廣にとっては、今回がスーパーGTのデビューレースだった。
末廣に状況を聞くと、「その前の周にシフトの動きが悪い状況がありましたが、一瞬出ただけですぐに問題はなくなったんです。翌周、ピットと交信をしながら状況を見ていたのですが、最終コーナーを立ち上がったところでシフトが入らなくなってしまいました」と末廣。
ただ、トラブルを把握した段階ではピットレーン入口を過ぎてしまっており、白線をまたいで入るわけにもいかず、ストレートのイン側の白線ギリギリに寄せながらスローダウンしていた。これは筆者の私感だが、もし強引にピットに入っていたらペナルティが出るだけでなく、直後にピットインしていたapr GR SPORT PRIUS GTをピットロードで妨げてしまった可能性もあっただろう。
「(スロー走行車両がいることを示す)白旗も出してくれていましたし、目一杯避けていたつもりだったのですが……。バックモニターを見たら、GT500の集団が一気に迫ってきて。『このまま突っ込んできたら』と思っていたらあんなアクシデントが起きてしまいました」
当然、末廣にとっても「かなり驚きました」という。クラッシュしたCRAFTSPORTS MOTUL Zが末廣の前に来たが、Arnage MC86はなんとか避けたものの、左リヤにダメージを負ってしまった。「(CRAFTSPORTS MOTUL Zが)ギリギリで避けてくれたのはこちらとしてはありがたかったですが……。誰も怪我がなかったとのことで、それは良かったです」