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 晴天の富士スピードウェイで開催された恒例のゴールデンウイーク決戦、2022年のスーパーGT第2戦『FAV HOTEL FUJI GT 450km RACE』が14時30分にスタートを迎え、GT500クラスはレース48周終了時点でau TOM’S GR Supra(坪井翔/ジュリアーノ・アレジ)がトップに立っている。

 例年500kmで争われてきたGWの富士ラウンドは、今回その距離を50km短縮した初のフォーマットを採用し、義務ピット2回ながら給油作業のみが必須となり、チームの判断によりドライバー交代やタイヤ交換を行わない“ダブルスティント”の採用が規定上は可能となるなど、車両特性やコンディション、そしてタイヤ銘柄によっても幅広い作戦遂行が見込まれた。

 しかし前日予選は、午前こそ良好なコンディションのもと各陣営ベースセットの確認やロングランのペース確認を進められたものの、一転して午後の予選を前に気温が下がったことで、想定より低温条件でのアタックを強いられることに。

 そのため長距離を想定して選択したコンパウンドは発動に時間を要し、各車とも満足なグリップ感が得られないままアタックラップに突入。結果的にブレーキングでのロックアップやワイドラン、4輪脱輪などが頻発し、とくにホンダ陣営は相対的に硬めのコンパウンドを選んだとも見受けられ、難しい条件での勝負を強いられた。

 一方、そのコンディションで強さを発揮したのがヨコハマタイヤ勢で、昨季に続き2年連続でGW富士のポールポジションを射止めた19号車WedsSport ADVAN GR Supraと、デビュー2戦目となるニッサン陣営の新型モデル、24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zがフロントロウに並び、その背後にはミシュランタイヤを装着する3号車CRAFTSPORTS MOTUL Zが続くなど、決勝ファーストスティントは最高速を改善した新型Zの車両特性と、各タイヤ銘柄のロングランペースがどう推移するかが見どころとなった。

 前日に比べ気温上昇が見込まれた決勝日は、13時過ぎのウォームアップ走行時点で路面温度は30度を超え、各車とも1コーナー手前のスピードトラップで最高速300km/hを超えてくる状況に。そして改めて14時30分には気温20度、路面温度33度のコンディションのもと全15台がフォーメーションラップへと向かっていく。

 2周を経た1コーナーへの攻防で、まずはマージンを得てホールショットを奪った19号車WedsSport ADVAN阪口晴南だったが、その背後では3号車CRAFTSPORTSの千代勝正がアウト側から2番手浮上に成功、さらに最後尾では2台のNSX-GTに挟まれる形で39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraが接触するも、3台ともに無事走行を続けるアクシデントも発生する。

 さらにダンロップコーナー以降、セクター3で勢いを見せたのはTOM’S勢で、4番手発進の37号車KeePer TOM’S GR Supra、サッシャ・フェネストラズが3号車CRAFTSPORTSをパスすると、続くGR Supraコーナーでは陣営内のポールシッター19号車も捉え、最終Panasonicコーナーでなんと首位に浮上。続く2周目のコカ・コーラ・コーナーでは36号車au TOM’S GR Supraの坪井 翔も続き、3号車のZを捉えてGR Supraが早くも1-2体制を築く。

 さらに3周目には7番手スタートとなった100号車STANLEYでスタートドライバーを担当した山本尚貴が、24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zを捉え4番手へ。こうしたバトルの末、19号車は一時7番手にまでポジションを下げてしまう。

 GT300のなかには10周を前に給油のみのスプラッシュ&ゴーを決断するチームが出てくるも、GT500勢はコース上での勝負に集中。13周目にはMOTUL AUTECHロニー・クインタレッリが12号車カルソニック IMPUL Zのベルトラン・バゲットをかわして9番手へ、同じ周のセクター3では38号車ZENT CERUMO GR Supra石浦宏明が24号車をパスし7番手に浮上する。

 20周を前にタイヤのドロップダウンが始まったか、24号車リアライズは陣営内の23号車にもかわされ9番手に後退。一方で4番手スタートの37号車、8番手スタートの36号車がときにサイド・バイ・サイドを演じながらの首位争いを演じ、路面温度は依然として32度を維持した状況でもGR Supraは1分30秒台を保つなど、そのペースに陰りは見られない。

 さらに24周目には16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTの左リヤタイヤが悲鳴を上げたのとは対照的に、2番手を行くau坪井がチームメイトに仕掛け、13コーナーでフェネストラズを捉えてついに首位が入れ替わる。

 すると27周目。GT500で先陣を切ってピットロードへ向かったのは4番手を走っていた100号車STANLEYの山本で、ダイブストップになりながら37.6秒の静止時間で牧野任祐にスイッチ。その背後には12号車カルソニックも続き、同じく平峰一貴を38.2秒の静止時間で送り出す。

 翌周には首位auも動き、35.7秒で坪井からジュリアーノ・アレジにスイッチし、ドライバーの最低義務周回数走破を前に交代し、最後のスティントをエースに託す戦略を採る。

 一方でレース距離3分の1を超えた33周目に入った38号車ZENTはドライバーチェンジをせず石浦がダブルスティントへ。しかし2周後に続いた後続のライバル勢は軒並みドライバー交代を済ませ、通常のミニマム戦略でトラックへと戻っていく。

 ファーストスティントを伸ばす19号車や、17号車Astemo NSX-GTらが暫定首位グループを形成する40周目を迎えても実質のトップ3に変動はなく、42周目にはその2台もピットへ。43周目には最後まで残っていた39号車DENSOの中山雄一が15台中最後にドライバー交代へ向かう。

 するとここで100R出口からヘアピンへ向かう地点で、GT300クラス車両が大クラッシュを喫しマシンが大破。すぐさまFCY(フルコースイエロー)が宣言される。そのまま車両やデブリの回収とバリア修復の必要からセーフティカー(SC)ランに切り替わると、48周終了時点でバリア修復のため赤旗が提示されレースは中断となっているが、16時25分にセーフティカー先導のもと再開を迎えている。

後半につづく