2022年も今後続々とニューモデルが登場する予定だ。が、その新型車の発売を待たずに今あるライバル車を買うのはありなのか? 今後デビューする新型車のライバルとなる主な現行モデルを「買い」「待ち」判定する!
※本稿は2022年2月のものです
文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2022年3月10日号
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■日産 新型エクストレイル(2022年9月デビュー予想)vs 三菱 アウトランダーPHEV&スバル フォレスター
●現行アウトランダーPHEVとフォレスターは買い?
今年秋には新型エクストレイルが発売される見込み。そのライバル車はアウトランダーとフォレスターだ。
新型アウトランダーは走行性能を大幅に向上させた。よく曲がって運転の楽しさを満喫できる。「買い」のクルマだが、エクストレイルを待つ手はある。
なぜなら両車はプラットフォームが共通で、エクストレイルの北米仕様となるローグもアウトランダーに似た操縦性を持つからだ。しかもエクストレイルは、アウトランダーのPHEVとは異なる新しいe-POWERを搭載する。
アウトランダーが好きなユーザーなら、エクストレイルも気に入るだろう。両車を乗り比べて、パワーユニットや価格の違いを判断したうえで選びたい。
フォレスターは発売から2年以上を経過したが、改良を受けて古さを感じない。ターボのスポーツは、走行安定性をはじめとする機能のバランスが優れ、価格はアウトランダーのPグレードよりも約200万円安い。
エクストレイルと比べても車両の性格が異なり、新型の登場を待つ必要はない。
●結論:アウトランダーPHEV…今は待ちか。判断難しい/フォレスター…今買っても後悔しないでしょう
■ホンダ新型SUV(2022年10月デビュー予想)vs トヨタ カローラクロス&マツダ CX-30
●現行カローラクロスとCX-30は買い?
今年の10月頃に、ヴェゼルとCR-Vの間に位置するSUVが登場するという情報がある。プラットフォームはシビックと共通で、ハイブリッドのe:HEVを搭載する。
ただしヴェゼルも空間効率が優れているから、コンパクトサイズながら、前後席の頭上と足元の空間はCR-Vと同等だ。内装も上質で、快適性に不満を感じない。
そうなるとホンダの新型SUVがヴェゼルを上まわる機能は、後席を使った時の荷室長と、動力性能や走行安定性だろう。
価格はヴェゼルe:HEV・Zが約290万円だから、新型SUVのe:HEVは、インサイトLXに近い330万円前後になりそう。
一方、カローラクロスは最上級のハイブリッドZが299万円だから、価格帯はヴェゼルに近い。割安感で新型SUVに勝てるため、今買ってもいいだろう。
CX-30も外観やディーゼルの搭載にほかにはない個性があり、新型SUVとは競合しにくい。
待つ必要はないが、2022年の10月から年末頃に改良を受ける。これを狙うなら、新型SUVと比べて買う方法もある。
●結論:カローラクロス&CX-30…今買っても後悔しないでしょう
■トヨタ 新型シエンタ(2022年8月デビュー予想)vs ホンダ フリード
●現行フリードは買いか?
新型ヴォクシーで売れ筋のハイブリッドは、価格が340万〜400万円だ。
安全面を中心に装備を充実させたが、価格も高い。そうなると割安なシエンタの役割は、従来以上に大切になる。
そこで今年8月の登場が予想されるという新型は、渾身の開発を行うはずだ。
そうなるとライバル車のフリードの買い方も影響を受ける。現行フリードは発売から5年以上を経過しており、ハイブリッドも世代が古くe:HEVではない。
WLTCモード燃費も20km/L前後で、設計の古さが散見される。
つまりフリードもフルモデルチェンジすべき時期にきている。ステップワゴンが新型ヴォクシー&ノアの登場に合わせてティザーキャンペーンを開始したように、新型シエンタの発売が近付くと、次期フリードも情報発信を始めるかもしれない。
コンパクトミニバンを買うなら、次期シエンタを待って判断したい。
●結論:フリード…今は待ちか。判断難しい
■スズキ 新型スイフト(2022年7月デビュー予想)vs トヨタ ヤリス&日産 ノート&ホンダ フィット
●現行ヤリス、ノート、フィットは買い?
今年7月には、新型スイフトの登場が予想される。
海外でも定番車種だから、走行安定性、乗り心地、燃費、安全装備などは向上させるが、車両の性格やサイズはあまり変えない。
全長は3900mm以下で、居住空間や荷室の広さも改善を加える程度だ。パワーユニットは1.2Lマイルドハイブリッドを改良して搭載する見込み。
そうなると新型スイフトの影響を最も強く受けるライバル車はヤリスだ。
全長は3940mmと少し長いが、4m以内には収まる。後席の足元空間は狭めで、基本的には2名以内の乗車で使うコンパクトカーだ。
スイフトに似た商品性で、ヤリスには乗り心地やエンジンノイズの不満が伴うから、新型スイフトのほうが満足度は高い可能性もある。ヤリスを買うなら新型スイフトと比べて判断したい。
ノートはハイブリッドのe-POWER専用車だから、商品の性格と価格帯がスイフトとは異なる。200万円以下のグレードは用意されず、全長も4mを上回る。
ノートとスイフトは直接的には競合しないから、新型スイフトと比べて選ぶ必要もないだろう。
フィットは全長が4mを下回り、1.3LのNAエンジンを搭載するホームの価格は約177万円だ。フィットのボディサイズと価格はスイフトに近い。
ただしフィットは空間効率を重視しており、身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ半に達する。
前後方向の足元空間は、CR-Vと同等だ。一方、現行スイフトの足元空間は、握りコブシ1つ半に留まる。
前述のとおり前席を優先させたコンパクトカーだから、ファミリー指向のフィットとは性格が異なる。つまりフィットも、新型スイフトの登場を待つ必要はない。
●結論:ヤリス…今は待ちか。判断難しい/ノート&フィット…今買っても後悔しないでしょう
■ホンダ 新型ステップワゴン(2022年5月デビュー予想)vs トヨタ ノア/ヴォクシー&日産 セレナ
●現行ノア/ヴォクシー、セレナは買い?
新型ステップワゴンは、すでにティザーキャンペーンを開始している。
新型ノア/ヴォクシーとの真っ向勝負を避けるため、内外装のデザインはシンプルで、リラックスできる雰囲気に仕上げている。
新型ステップワゴンはノア/ヴォクシー同様の3ナンバーボディとなり、さらにホンダの低床技術により車内はノア/ヴォクシーより車内は少し広くなりそうだ。
だが内外装の質感、各種安全装備と運転支援機能、燃費性能ではノア/ヴォクシーがかなり強力だ。
あの顔つきが気に入ったなら、ステップワゴンの登場を待たずに買っても損しない可能性が高い。
一方、セレナも2022年の9〜12月頃にフルモデルチェンジする予定。燃費を含めてe-POWERの機能を向上させ、現行型では曖昧な操舵感、プロパイロットの作動なども改善するはず。
新型セレナはノア/ヴォクシーとステップワゴンの後に登場するから、これらのライバル車に比べて商品力と割安感を強めないと、売れゆきを伸ばせない。
渾身の開発を行うため、セレナを買うなら可能な限り次期型を待ちたい。
●結論:ノア/ヴォクシー…今買っても後悔しないでしょう/セレナ…今は待ちか。判断難しい
■トヨタ 新型プリウス(2022年12月デビュー予想)vs ホンダ シビック
●現行シビックは買いか?
今年末には新型プリウスが発売されるが、スポーティなシビックの6速MTを買いたいユーザーは、待つ必要はないだろう。プリウスとは車両のキャラクターが大幅に異なるからだ。
しかし、上質なミドルサイズハッチバックが欲しいために、シビックのCVT仕様を買いたい場合は待つほうがいい。
今年インサイトが廃止され、シビックにハイブリッドのe:HEVが加わる見込みだからだ。これは新型プリウスのライバル車になる。
現行シビックは走行安定性が優れ、今年登場するe:HEV搭載車は、乗り心地にも配慮したバランスのいいクルマになる。
気になるのはシビックハイブリッドの価格で、仮に現行シビックに40万円が上乗せされると、360万〜400万円に達する。
しかし新型プリウスを意識して、ハイブリッドをガソリンターボのシビックに近い価格とすれば、上質感も踏まえると対抗できるだろう。
●結論:シビック…今買っても後悔しないでしょう
■スバル 新型インプレッサ(2022年8月デビュー予想)vs マツダ3
●現行マツダ3は買い?
今年8月には、インプレッサが新型にフルモデルチェンジする可能性が高い。
最近のスバル車は、よくも悪くもスポーティ感覚を強め、後方視界などが悪化してリラックス感覚も薄れた。その代わりに運転感覚は、機敏な方向へ発展している。
そうなるとインプレッサもスポーティ感覚を強め、マツダ3の性格に近づくことが考えられる。新型インプレッサを見てから、マツダ3を購入する方法もあるだろう。
またマツダ3は2021年10月に商品改良を行ったので、今年も10〜12月に、再び手を加えることが考えられる。
つまり今年の後半には、インプレッサのフルモデルチェンジとマツダ3の改良が実施されるわけだ。ミドルサイズ同士で比べて選びたい。
特にマツダ3の2Lガソリンエンジン搭載車を希望する場合、インプレッサと動力性能や価格が近似するので、待って選ぶ価値も高まる。
●結論:マツダ3…今は待ちか。判断難しい
■ダイハツ 新型ムーヴ(2022年6月デビュー予想)vs ホンダ N-WGN
●現行N-WGNは買いか?
今年の夏にはムーヴもフルモデルチェンジを行う予定。プラットフォームはタントなどと同様のタイプに刷新される。
ロッキー&ライズに搭載されるeスマートハイブリッドの軽自動車版も開発が進められているが、今年中の搭載は難しく、早くて2023年、あるいは2024年に追加されることになりそうだ。
今のムーヴは、タントやムーヴキャンバスのなかに埋もれた印象も受けるが、次期型は先進安全技術で存在感を強める。
そうなると全高が1600〜1700mmに位置する軽自動車のハイトワゴン全体に影響を与える。
N-WGNは燃料タンクを前席の下に搭載して、ハイトワゴンでは荷室が広く、後席の下には幅が約1mのワイドなトレイも装着した。
この機能は今後もN-WGNのセールスポイントであり続けるが、居住性、走行性能、乗り心地、燃費、安全装備などでは、次期ムーヴは強敵になるだろう。
この「買い待ち」は、正直なかなか難しい判断になる。
●結論:N-WGN…今は待ちか。判断難しい
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