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Stretchはこれまで、Spotほどには注目されてこなかった。当然といえば当然なのだが。というのも、1つにはBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)が数十年にわたる研究開発を経て、初めて商品化したロボットではなかったからだ。また、人目につかないところで箱を移動させるなど、舞台裏で活躍することを想定して設計されているからでもある。有名なSpotは、Hyundai(現代自動車)傘下のロボットメーカーBoston Dynamicsにとって、世間の注目を集め、ちょっとした論争を巻き起こす一種のブランドアンバサダー的な存在となっている。

同社のHandleプロジェクトから生まれたStretchは、ここ数カ月で限られた顧客に試験的に使用されている。同社はまた、1月にDHLと1500万ドル(約18億円)相当という大規模なロボット購入契約を締結した。その他、衣料品チェーンのGapやH&Mも初期の顧客だ。

3月30日、このシステムの販売が始まった。2023年か2024年まで納品されないので、予約受付中といった方が正確かもしれない。予想通り、同社はこの新型ロボットへの関心の主な要因として、現在進行中の労働問題を挙げている。

画像クレジット:Boston Dynamics

「人手不足とサプライチェーンの混乱は、モノの流れを維持するための課題を生み出し続けています」と、CEOのRobert Playter(ロバート・プレイター)は話す。「Stretchは物流業務をより効率的かつ予測可能なものにし、倉庫内で最も身体的負荷の大きな作業を担うことで安全性を向上させることができます。当社のアーリーアダプターの顧客の多くは、すでにこのロボットの大規模な導入を決定しており、Stretchが間もなくより広範囲に活用され、小売業者や物流会社が継続的に急増する商品需要に対応できるようになることを期待しています」。

これらのシステムが世界で活躍するのを見るのは興味深い。これまで私たちは主に、制御された環境下でのBoston Dynamicsの動画を見てきた。Stretchは厳しい競争に直面している。企業がAmazon(アマゾン)の巨大な自動化軍団に対抗するための足がかりを探す中で、倉庫や物流は近年ロボティクスで最も注目されている分野の1つとなっている。直近では、そうした企業は雇用のギャップを埋めるのに役立つシステムを探している。

画像クレジット:Boston Dynamics

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi